【横浜セクハラ事件(身体接触・被害者の供述の重視)】

1 事案と責任の主要項目
2 事案の概要
3 事実認定の特徴=被害者の供述のみで認定

1 事案と責任の主要項目

職場のセクハラ事例の1つとして横浜セクハラ事件を紹介します。身体接触の違法性が認めれた事例です。特徴的な事実の判断・認定が行われました。
まずは,事案と責任の主要事項を整理します。

<事案と責任の主要項目>

性的会話 あり
身体を触れる あり
性行為 なし
期間 約4か月間
慰謝料 250万円
弁護士費用 25万円

※東京高裁平成9年11月20日;横浜セクハラ事件

2 事案の概要

事案全体の概要をまとめます。

<事案の概要>

あ 当事者

加害者A=男性・上司(営業所長)
被害者B=女性

い 事案の概要

ア 繰り返しの接触 AがBへの身体的接触を繰り返し行っていた
肩・紙・腰に触れる
肩を抱き寄せる
イ 強度の接触 AはBに20分程度抱きついて執拗に接触した
首筋にキスをした
被害者の顎を持って無理やりキスした
衣類の上から胸・下腹部・股間を触った
※東京高裁平成9年11月20日;横浜セクハラ事件

3 事実認定の特徴=被害者の供述のみで認定

裁判所は,加害者の主張を排斥し,強制的な関係,つまり違法性があると判断しました。この事実は,ほぼ被害者の供述のみで認定されました。

<事実認定の特徴=被害者の供述のみで認定>

あ 立証・証拠の概要

個々の行為についての立証・証拠について
ほぼBの供述だけであった
Aは全面的に否定していた
Aは『Bの供述内容の不自然な点(無抵抗態度)』を指摘した

い 被害者の供述内容の不自然な点

Bには身体的な抵抗がなかった
Bはその場から逃げ出さなかった
Bは悲鳴を上げて助けを求めることがなかった

う 裁判所の判断

Bの供述の信用性を認めた
供述どおりの事実を認定した
Aの供述の信用性を否定した
職場での性的侵害行為の際は無抵抗態度があっても不自然ではない
詳しくはこちら|職場の性的言動(セクハラ)の違法性判断基準と被害者の従属的態度
※東京高裁平成9年11月20日;横浜セクハラ事件

被害者の供述が重視されるのは,性的行為に関する認定ではよくあることです。
詳しくはこちら|性的侵害の事実認定の特徴(被害者の供述重視・合意に関する経験則)

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