1 高額所得者の基礎収入算定
2 貯蓄率の算定方法
3 住居費
4 教育費
5 社会活動費用・娯楽費用

1 高額所得者の基礎収入算定

高額所得者が関わる養育費・婚姻費用の算定方式は特殊です。
詳しくはこちら|高額所得者の養育費・婚姻費用は4つの算定方式がある
一方,算定方式以外にも特有の考慮すべき事項があります。
以下,順に説明します。
まずは,基礎収入の算定における特殊性です。

<高額所得者の基礎収入算定>

あ 公租公課

実額or税法などから算出した額による

い 給与所得者の職業費

標準的算定方式の統計を使用しても良い
→この場合,19〜20%となる

う 特別経費

次の事情から適切な額を控除すべきである
考慮する事情=同居中・現在の生活レベルなど
実際に要する費用そのものである必要はない
統計資料によることも可能である
→統計資料に考慮されていないものは別途考慮する

え 個別的考慮の例

子の教育費について
夫婦の合意によって統計的な金額以上に費やされている
→超過部分を考慮する
=婚姻費用の増額方向の事情となる

2 貯蓄率の算定方法

算定方式の中で,貯蓄率を反映させるものもあります。
詳しくはこちら|高額所得者の養育費・婚姻費用の算定・貯蓄率控除方式
実際に算定する際の注意や具体的な参考情報をまとめます。

<貯蓄率の算定方法>

あ 前提事情

貯蓄は高額所得者以外の世帯でも行われている

い 高額所得者の貯蓄率算定

貯蓄率の算定について
→標準的算定方式を超過する部分だけを算定する
必ず考慮するべきというわけではない

う 考慮する事情の例

ア 世帯構成
イ その他の具体的な事情

え 貯蓄率の参照データ

貯蓄率を考慮する場合
→家計調査年報などの統計による
そのままで利用できる統計はない

3 住居費

高額所得者に関する住居費は平均的ケースとは異なる扱いが必要です。

<住居費>

あ 従前の住居の維持

従前の住居に継続して居住する・維持することについて
→不相当でなければ,その維持費を加算する

い 新たな住居の確保

権利者が新たに住居を確保する場合
→住居を確保するための費用を認める
認める範囲は,その地位に相応しい程度の住居である
基本的には賃貸費用が限度となる

4 教育費

高額所得者に関する子供の教育費の扱いには注意が必要です。
平均的な家庭とは異なる扱いが要求されるのです。

<教育費>

あ 未成熟子の教育費

その地位に相応しい子の教育費を認める

い 教育費の具体的内容

次の費用も,状況によっては認められる
ア 家庭教師費用
イ 海外留学費用

5 社会活動費用・娯楽費用

高額所得者のケースでは,生活に必要な支出全般で特有のものがあります。
社会活動や娯楽も地位に応じて『必要』と言えることもあるのです。

<社会活動費用・娯楽費用>

あ 社会活動費用

社会的な活動に要する費用について
→事情によっては考慮することもある

い 娯楽費用と浪費

一般的に『浪費』は婚姻費用算定では除外する
社会的地位からみておかしくない程度の娯楽費用について
→『浪費』としては扱わない

<参考情報>

松本哲泓『家庭裁判月報 平成22年11月=62巻111号』最高裁判所事務総局p84〜86