1 有責配偶者からの離婚請求|概要
2 別居期間36年→認容
3 別居期間9年8か月→認容
4 別居期間8年→認容方向の差し戻し
5 別居期間2年4か月→棄却
6 将来の金銭支払不履行のリスク→棄却|概要
7 フランス人は自由奔放→認容|概要

1 有責配偶者からの離婚請求|概要

有責配偶者からの離婚請求は一定の事情があれば認められます。
3つの要件を基礎として判断します。
詳しくはこちら|有責配偶者からの離婚請求は3つの要件で判断される
本記事では具体的事例についての判断を紹介します。
判断基準の中で別居期間が分かりやすい事情です。
そこで,別居期間をタイトルにして整理します。
別居期間以外が重要ではない,という趣旨ではありません。

2 別居期間36年→認容

まずは離婚請求が認められた事例を順に紹介します。

<別居期間36年→認容>

あ 概要

同居期間=12年6か月
別居期間=36年
未成熟子の有無=無し

い 婚姻費用の不払い

相手方配偶者が,有責配偶者名義の建物を24万円で他に売却した
かねて有責配偶者から生活費を保障する趣旨で処分権を与えられていた
その代金を生活費に充てた
これ以外は,一切負担していない

う 裁判所の判断

離婚請求を認めた
※最高裁昭和62年9月2日

3 別居期間9年8か月→認容

<別居期間9年8か月→認容>

あ 概要

同居期間=17年2か月
別居期間=9年8か月
未成熟子の有無=無し

い 婚姻費用の不払い

教育費の一部を支出したほかは,一切負担していない

う 裁判所の判断

離婚請求を認めた
※最高裁平成5年11月2日

4 別居期間8年→認容方向の差し戻し

<別居期間8年→認容方向の差し戻し>

あ 概要

同居期間=23年
別居期間=約8年
未成熟子の有無=無し

い 婚姻費用の不払い

ア 昭和61年2月頃まで
月60万
イ 昭和61年2月から
月35万
ウ 昭和62年1月から
妻が不動産処分禁止仮処分を申し立てた
夫は仮処分を受けたことに立腹した
支払をしなくなった
エ 昭和63年5月から
婚姻費用分担調停が成立した
→月20万となった

う 裁判所の判断の結論

上告を棄却した
原審に差し戻した

え 裁判所の判断の実質的内容

ア 『差戻し』の趣旨
『3要件を満たさない』だけで棄却するべきではない
イ 実質的な判断内容
離婚請求を認容する方向性の判断である
※最高裁平成2年11月8日

5 別居期間2年4か月→棄却

これは離婚請求が棄却された事例です。

<別居期間2年4か月→棄却>

あ 概要

別居期間=2年4か月
未成熟子の有無=あり

い 特殊事情

妻が子宮内膜症にり患していた

う 裁判所の判断

離婚請求を棄却した
※最高裁平成16年11月18日

6 将来の金銭支払不履行のリスク→棄却|概要

特殊な個別的事情が大きく判断に反映した裁判例です。

<将来の金銭支払不履行のリスク→棄却|概要>

あ 別居期間

別居期間=9年4か月

い 特殊事情

『離婚請求者=夫』について
過去に婚姻費用の支払遅滞があった

う 裁判所の判断

夫の将来の金銭支払の不履行が不安視される
→離婚請求を棄却した
※仙台高裁平成25年12月26日
詳しくはこちら|有責配偶者の支払不履行リスクにより離婚請求を棄却した裁判例

7 フランス人は自由奔放→認容|概要

国民性が判断に入っている裁判例です。
強い批判もあります。

<フランス人は自由奔放→認容|概要>

あ 事案の概要

夫は妻に対して実力行使に及んだことがあった
フランス人の妻が別居後フランスに戻った
妻はフランス人男性複数人と不貞に及んだ
妻が離婚請求訴訟を提起した

い 裁判所の判断

フランス人は自由奔放な文化がある
夫にも破綻の有責性がある
→離婚請求を認めた
※東京高裁平成26年6月12日;不倫は文化判決
詳しくはこちら|フランス人の有責配偶者からの離婚請求を認めた裁判例

離婚を請求された者=夫の実力行使が指摘されています。
いわゆる『双方有責』の扱いとなっているとも言えます。
詳しくはこちら|双方有責における離婚請求

<参考情報>

日本司法書士会連合会『裁判実務ハンドブック』平成25年3月発行p52