1 医師の夫婦・家族|役職×家族構成|典型例
2 理事の地位の解消の必要性
3 理事の解任→社員総会の招集
4 従業員としての地位(雇用)の解消
5 理事に関するトラブル|典型例
6 理事に関するトラブル|解任
7 みずほ中央|医療法人・議事運営サポート

1 医師の夫婦・家族|役職×家族構成|典型例

医師の夫婦・家族では『役職』と家族構成が複雑になりがちです。
法的には『別問題』です。
しかし夫婦の解消=離婚,という状況では現実的に密接に関連します。
まずは典型的な状況をまとめます。

<医師の夫婦・家族|役職×家族構成|典型例>

人物 法律的な立場 実質的な立場
夫A 理事長 院長
妻B 理事 事務局長・在宅が多い
夫Aの父C 理事or役職なし 会長or役職なし
夫Aの母D 理事or役職なし Bのサポート役

上記は典型的な例です。
実際には妻が医療法人に雇用されているなど,バリエーションは多くあります。
いずれにしても法的には『夫婦の離婚』と『医療法人の理事,雇用関係』は別問題です。
離婚が成立しても,理事や従業員としての地位に変動はありません。
離婚後に『役職』『法的地位』が残ってしまうと不合理な状況となります。

2 理事の地位の解消の必要性

医療法人と理事は委任関係です。
平成19年の医療法改正により,現在では2年以下の期間が定められているはずです(医療法46条の2第3項)。
そこで,任期が満了した時点で理事としての地位が終了します。
実際には,任期満了前に解任することによって理事の地位を終了させます。

3 理事の解任→社員総会の招集

解任のためには,臨時社員総会を開催し,決議することが必要です。
まずは『(臨時)社員総会招集通知』を発送することから始まります。
そして社員総会を開催します。
社員総会では,総社員の過半数の出席,出席社員の過半数の賛成により決議が成立します。
ただし,任期中の解任の際は,残りの期間に相当する役員報酬について,損害賠償として請求することが認められることもあります。

4 従業員としての地位(雇用)の解消

医療法人が妻(や夫)を雇用している場合,これを解消するには,解雇が必要になります。
一般的には,解雇には大きなハードルがあり,容易には認められません。
実務では,金銭的な補償と引き換えに退職に合意してもらう,ということが多いです。
詳しくはこちら|解雇権濫用の法理;まとめ

以上のように,妻(や夫)が医療法人の理事や従業員となっている場合は,離婚の際に,これらの関係解消も同時に行うことが必要となるのです。

5 理事に関するトラブル|典型例

現実のケースでは『円満な協議』の前に『理事』に関する対立状況が生じることが多いです。
典型的に生じるパターンをまとめます。

<理事に関するトラブル|典型例>

あ 解任

不仲がきっかけとなり『理事を解任』する
ア 手続的な要件を欠くために『解任が無効』となる
イ 一定の金銭的清算が必要となることがある
それぞれの内容は後述する

い 役員報酬減額・不支給

一方的に役員報酬を減額する・支給しなくなる
→いずれも当然には認められない

う 『辞任』強要

『辞任』を強要する
=形式的な『辞任による退任』の形を作出する
→辞任の効力が否定されることがある

『あ』については次に説明します。
『い・う』については『会社の役員の解任』と同様です。
別記事で説明しています(リンクは後記)。

6 理事に関するトラブル|解任

理事の解任については『要件』は軽いですが『金銭的清算』が必要となります。

<理事に関するトラブル|解任>

あ 解任|要件

『解任』は社員総会の議決により決定できる
決議要件=出席者の議決権の過半数(の賛成)
定足数=総社員の過半数
※医療法48条の3第7項,9項,10項

い 解任×金銭的清算

合理的な理由がない場合
→損害賠償責任が生じる

う 損害賠償の内容|概要

ア 在任期間の役員報酬・賞与相当額
イ 退職慰労金相当額
※民法651条2項

実質的には『会社の役員の解任』と同様です。
会社の役員の解任に関する判例などが流用できます。
『解約の役員の解任』については別記事にまとめてあります。
詳しくはこちら|役員の解任|損害賠償・正当な理由|報酬減額・不支給|辞任強要

以上のように医療法人の理事は法律上の扱いが複雑です。
そして,夫婦間の協議・清算の交渉とのタイミングの調整が重要です。
細かいアクションの選択・判断が結果の有利/不利につながります。

7 みずほ中央|医療法人・議事運営サポート

みずほ中央では医療法人の議事運営のサポートの実績があります。

<みずほ中央|医療法人・議事運営サポート>

次の議事の事前準備・当日の臨場(立会)
ア 社員総会
イ 理事会

詳しくはこちら|起業・会社・法人運営における派閥争い・予防策|議事運営サポート
開催日当日は当然として,事前準備も重要です。
早めにご相談くださることをお勧めします。