1 不貞×未成年の子からの慰謝料請求|事案・主張
2 『ママを奪われたボクの哀しみ』排斥判例
3 夫婦トラブル×アドバイスが高度過ぎて違法事件
4 訴訟の請求額×認容額|処分権主義

1 不貞×未成年の子からの慰謝料請求|事案・主張

不貞行為の被害者は通常『配偶者を寝取られた者』です。
この点『未成年の子』から慰謝料が請求された事例があります。

<不貞×未成年の子からの慰謝料請求|事案・主張>

あ 事案

妻と婚外男性が不貞を行った
妻と婚外男性は同棲するに至った

い 『子』からの慰謝料請求

未成年の子が『円満な家庭・環境』を奪われた
→精神的苦痛を受けた
→婚外男性に対して慰謝料を請求する

う 奪われた家庭・環境

日常生活において母親から愛情を注がれること
母親の監護・教育を受けること

これに対して最高裁が判断をくだします(後記)。

2 『ママを奪われたボクの哀しみ』排斥判例

上記の事例について,最高裁は否定的な判断をします。

<不貞×未成年の子からの慰謝料請求|裁判所の判断>

あ 『愛情と因果関係』を語る

愛情を注ぎ,監護・教育を行うことは母親自らの意思によって行う
他の男性と同棲するかどうかに関わりない
仮に未成年の子が不利益を被ったとしても『相当因果関係』はない

い 基準|原則論

未成年の子からの慰謝料請求は認められない

う 基準|特殊事情による例外

不貞男性が害意をもって『子の監護を積極的に阻止した』場合
→未成年の子からの慰謝料請求は認められる
※最高裁昭和54年3月30日

3 夫婦トラブル×アドバイスが高度過ぎて違法事件

夫婦所トラブルへの『アドバイス』が違法となったケースを紹介します。

<夫婦トラブル×アドバイスが高度過ぎて違法事件>

あ 慰謝料額
請求額 認容額
1000万円 30万円
い 事案

夫と妻が別居に至った
夫が子供を連れ去った
妻がカウンセラーに相談した
カウンセラーが妻に『子供を連れ去る(取り戻す)』ことをアドバイスした
妻がアドバイスどおりに,子供たち夫のもとから連れ去った

う 裁判所の判断

カウンセラーが『妻の奪取行為を容易にする言動』をした
→アドバイスは違法である
→慰謝料を認めた
※名古屋地裁平成14年11月29日

直接的な当事者ではないのに『トラブルに巻き込まれた』状態となりました。
このケースでは『カウンセラー』が責任を負わされました。
この点弁護士は日常的にトラブルの当事者と接し,アドバイスを提供しています。
この判例に過剰反応する弁護士もいるようです。
つまり,優れたアドバイスをしにくくなる影響が生じているということです。
みずほ中央では,判例その他の『基準』を熟知してベストのアドバイスを徹底しています。

4 訴訟の請求額×認容額|処分権主義

訴訟提起における『請求額の設定』は重要な判断です。
民事訴訟法のルールが関係していますのでまとめます。

<訴訟の請求額×認容額|処分権主義>

あ 処分権主義

『請求額』を超える『認容』はできない
※民事訴訟法246条

い 認容額抑制現象

『認容額』=『請求額』であった場合
→次の可能性が残る
ア 『請求額』を上げておけばより高い認容額が獲得できた
イ 『請求額の設定』が『認容額』を抑制した

う 弁護士の責任論

請求額の設定が妥当ではなかった場合
→判断した弁護士の善管注意義務違反である
このように判断される可能性がある

え 『一部請求』作戦

『請求額の一部として』請求額を設定することが認められている
→この場合『事後的に追加の提訴』の可能性も残る

認容額と一致するような『請求額』を設定することは通常ありません。
仮にあったとすると弁護士の責任問題となり得ます。
実際に『認容額・請求額一致』となった判決も発覚しています。
(別記事『事例』;リンクは末尾に表示)