1 男女交際×金銭|後払い→支払を拒否されたら終わり
2 男女交際×金銭|先払い→サービス提供を拒否された終わり
3 男女交際×金銭|先払い→サービス提供拒否→返金請求NG
4 男女交際×不法原因給付→金銭の帰属|詐欺的愛人を助長する
5 詐欺的愛人の助長=公序良俗違反+不法原因給付|趣旨

1 男女交際×金銭|後払い→支払を拒否されたら終わり

男女交際に関係する金銭の動きは『無効』となることが多いです(別記事;リンクは末尾に表示)。
『無効』となると,その後の法律解釈・適用がちょっと複雑です。
本記事では男女交際に関する金銭の具体的な法律的扱いを説明します。
まずは『後払い』のパターンについてまとめます。

<男女交際×金銭|後払い→支払を拒否されたら終わり>

あ 前提事情

男女交際・交際の対価を約束した
女性がサービス(交際)を提供した
女性が男性に『対価』を請求した
例;約束した『月額』や『単発の料金』の請求

い 法的な判断

『合意・約束』は公序良俗に反する
→合意は無効である
→支払いの請求を認めない
※民法90条

う 法則として要約

『後払い』である以上『支払いを拒否』されたら終わり
提供しただけ無駄になった

2 男女交際×金銭|先払い→サービス提供を拒否された終わり

男女交際に伴って金銭が『先払い』された状態について,基本的事項をまとめます。

<男女交際×金銭|先払い→サービス提供を拒否された終わり>

あ 前提事情

男女交際・交際の対価を約束した
女性がサービス(交際)提供を拒否した

い 法的な判断|サービス提供の請求

『合意・約束』は公序良俗に反する
→合意は無効である
→男性は女性に『サービス提供』を請求できない
※民法90条

3 男女交際×金銭|先払い→サービス提供拒否→返金請求NG

金銭の先払いの後に『サービス提供拒否』という場合は『払った金銭』の扱いが問題になります。
これがトリッキーな動きを見せます。

<男女交際×金銭|先払い→サービス提供拒否→返金請求NG>

あ 前提事情

先払い→サービス提供拒否
上記の『前提事情』と同様である

い 原則論=不当利得返還請求権

合意は無効である
→既払いの金銭は『法律上の理由がない』=不当利得
→返還義務がある

う 特殊な扱い=不法原因給付

金銭支払の『原因が不法』である
→返還請求できない
※民法703条,708条

返還にブレーキをかける『不法原因給付』が変わった作用を及ぼしているのです。
『返還請求ができない』となると,最終的に金銭はどこに行くのか,が気になるところです。
法律的には,誰に帰属するのか,ということです。
次に説明します。

4 男女交際×不法原因給付→金銭の帰属|詐欺的愛人を助長する

男女交際に関して,不法原因給付が適用された場合の金銭の帰属について整理します。

<男女交際×不法原因給付→金銭の帰属>

あ 金銭の最終的帰属

財産を返還しなくて良い
→反射的に『財産を受け取った者に帰属』する
住居としての不動産の贈与などの事例について判例がある
※東京地裁平成19年1月26日
※最高裁昭和45年10月21日

い 最高裁のコメント・批判

ア 批判
『詐欺的愛人』『不倫ビジネス』を助長する
イ 最高裁の考え
積極的に助長する意図ではない
現行法の規定から導かれた結果である
悪法だと思うなら,民主的方法=国会で法改正をすべきである

批判もあるところですが,現行民法におけるルールを適用した結果なのです。
『詐欺的愛人』の助長,『不倫ビジネス』のマーケット拡大につながる現象です。

5 詐欺的愛人の助長=公序良俗違反+不法原因給付|趣旨

法律の解釈の結果『詐欺的愛人』が助長されることになっています。
この『変な結果』の根本的要因にさかのぼると『不法原因給付』という規定です。
公序良俗違反や不法原因給付という規定の趣旨をまとめておきます。

<詐欺的愛人の助長=公序良俗違反+不法原因給付|趣旨>

あ クリーンハンズの原則=スポット治外法権

『不法』が根本にある場合は,国家(裁判所)は力を貸さない
国家はノータッチの態度を取る
=スポット治外法権を作る

い クリーンハンズの対象

ノータッチの対象は次の両方を含む
ア 正方向
合意による義務の履行を強制する方向
イ 逆方向
合意により移転した財産の移転を解消=返還する方向

う 『有料の恋愛』→裁判所の扱い|まとめ

『有料の恋愛』は不合理・非常識である
→履行・返還のいずれにも介入・協力しない

要するに『治外法権』ゾーンが創設された状態なのです。
以上のようなトリッキーな法律や解釈については,活用・悪用するケースがよくあります。
いわゆる『(法的な)小悪魔戦術』の具体的な内容を,以下説明します。