1 『企業年金』×『年金分割』→適用されない
2 『公的年金』の資料収集|裁判所の『調査嘱託』が効果的
3 企業年金×調査嘱託|原則的対応
4 企業年金×調査嘱託|実務的な対応

1 『企業年金』×『年金分割』→適用されない

年金分割により公的年金受給の不公平は修正されるようになりました。
この点『企業年金』の不公平修正も課題となっています。

<企業年金×年金分割>

あ 適用の有無

年金分割制度は適用されない

い 不公平の修正方法

財産分与の算定で『上乗せ』をする

う 法的根拠

『企業年金受給における不公平』
→条文上の『その他一切の事情』の1つとする
※民法768条3項
※秋武 憲一ほか『離婚調停・離婚訴訟 (リーガル・プログレッシブ・シリーズ)』青林書院p179

2 『公的年金』の資料収集|裁判所の『調査嘱託』が効果的

国民年金,厚生年金という公的年金については,年金分割という制度があります。
離婚に際して年金分割を行う必要があります。
裁判所を通して行う資料収集の方法をまとめます。

<公的年金の資料収集|調査嘱託>

あ 前提状況

訴訟で相手(会社勤務)が年金に関する資料を提出しない

い 調査嘱託

裁判所に『調査嘱託』を申し立てる
→裁判所は強制的に年金事務所への照会を行うことができる
※民事訴訟法186条

3 企業年金×調査嘱託|原則的対応

企業年金について調査嘱託によって資料の開示を求めるという発想もあります。
この場合の一般的な扱い・傾向をまとめます。

<企業年金×調査嘱託|原則的対応>

あ 企業年金×調査嘱託

企業年金に関する資料の開示を求めて『調査嘱託』を申し立てる

い 裁判所の判断の傾向

企業年金については年金分割の制度がない
→調査の必要性がない
→採用(調査嘱託の実行を)しない傾向

これは原則的な扱いの傾向です。
実務ではもう少しバリエーションが生じます。
次に説明します。

4 企業年金×調査嘱託|実務的な対応

企業年金に関する調査嘱託について実務的な対応をまとめます。

<企業年金×調査嘱託|実務的な対応>

あ 裁判所が調査嘱託を行う可能性もある

企業年金の内容は,財産分与の一環として考慮する(前述)
→企業年金の資料は『審理に必要』である
→調査嘱託を実行する

い 相手が任意の開示に応じることもある

ア 会社勤務をする者の意向
『裁判所から勤務先に照会がなされること』を避けたいと考える傾向が強い
イ 任意の開示
実務上,会社に勤務する者が任意に開示する,ことも多い

裁判所や相手の対応はあくまで可能性として説明しました。
実際にはこのようにならないこともあります。
裁判所の態度・相手の態度・性格を考慮して最適な方法を選択すべきです。
徹底して最適な選択を行うことが有利な結果につながります。