子供の獲得(親権者)《子供を取り戻したい・確保したい》|専門弁護士ガイド

代表弁護士三平聡史1 親権者はどちらになるか?
2 監護権者とは?
3 親権者を決める『4つの原則』
4 急いで子供を取り戻す方法
5 離れている子供と会う方法
6 祖父・祖母も孫と面会できる?
7 子供の引渡の強制執行
8 国際的な子供の引渡請求

<子供を取り戻したい・確保したい>

子供を取り戻す手続は,離婚前の別居時離婚時で違います。
タイミングによって監護権者の指定または親権者の指定という手続になります。
実際には,子供の保護として特に急ぐという事情であることが多いです。
そのような場合は,審判前の仮処分として,1週間程度で裁判所に決定を出してもらう方法もあります。
また,一時的な面会だけを求める手続もあります。
一時的ではあるのですが,活用の仕方によっては,監護権者親権者の指定を獲得して,永久的に子供を取り戻すことにつながることもあります。
親権者や監護権者の指定では,子供の気持ちを聴取など,デリケートなことで結論が決まります。
みずほ中央法律事務所では,細かい有利な事情をしっかりと主張・立証して子供の獲得に最善手を取るよう徹底しています。
ノウハウの一部を次に説明しています。

1 親権者はどちらになるか?

離婚の際,大きな対立となるのが子供をどちらが引き取るかということです。
親権者の指定と言います。
親権者として指定されるためには子供にとって適任であることが重要です。
法律的には子の利益(福祉)という難しい言葉を使います。
この点,例えば不倫した親は,子供を引き取る親として不適切という誤解も多いです。
親権者の指定においては,このような離婚の原因となったことの責任は基本的に無関係です。
子の利益の内容については,後述します。
詳しくはこちら|親権者・監護権者の指定の判断要素や判断基準の全体像(子の利益と4原則)
詳しくはこちら|離婚要因の有責は親権者の判断には関係しない

2 監護権者とは?

離婚前の別居期間中は,まだ親権者の指定がされていません。
子供をどちらが引き取るかが未定となります。
そこで親権ではなく監護権者として指定する手続があります。
監護権者とは,離婚成立までの間の,暫定的なものです。
判断の方法や手続は,親権者の指定と基本的に同じです。
この段階で子供を獲得できると,その後,離婚が成立する時の親権者の指定でも有利になります。
その意味で,暫定的ではあっても,非常に重要なのです。
詳しくはこちら|親権者・監護権者の指定の手続(手続の種類や法的根拠)

3 親権者を決める『4つの原則』

親権者や監護権者を決める時の基準として『4つの原則』があります。

<親権者・監護権者指定の4つの原則>

ア 継続性の原則イ 子の意思の尊重ウ 兄弟姉妹不分離の原則エ 母親優先の基準

実際には,この4つの基準で少しでも有利な事情を主張,立証することが重要です。
例えば,子の意思については,単に家裁の調査官が子供から聴取することを待っているだけでは弱いです。
家裁の調査官への働きかけの内容や,タイミング良く面会交流の調停を並行して申し立てる,などの計画的な戦略が有利な結果につながります。
相手の弁護士がこれらの手続を熟知していないために,有利になる,ということがよくあります。
逆に,依頼される際の弁護士の選び方で結果が変わってしまう,ということもあるのです。
詳しくはこちら|親権者指定での『子の利益』では4つの原則が基準となる

4 急いで子供を取り戻す方法

親権者や監護権者の指定の手続で,うまく,親権者・監護権者の指定と勝ち取ったとしても,相手が子供を引き渡さない,ということもあります。
その場合は,子の引渡の調停・審判の手続が必要になります。
また,状況によっては,強制執行を申し立てる方法もあります。
一方,調停・審判で時間がかかると,子供が相手側の環境に慣れてしまうというリスクもあります。
そこで,最初から審判前の保全処分を申し立てる方法が効果的です。
2〜4週間程度で裁判所が結論を出します。
ここで子供を引き渡すという決定がでれば,最速での子供の確保ができることになります。
保全処分暫定的なものです。
しかし,結果的にこの暫定的な決定が,その後の審判や離婚訴訟での判断につながることも多いです。
子供の確保については,このように,最初の動きでその後の運命が決まります。
バラエティに富んだ手段について熟知している弁護士でないと,獲得できたはずの子供を獲得し損なうということになることもあるのです。
詳しくはこちら|子の引渡の手続(調停・審判・保全処分・親権・監護権者指定との関係)

5 離れている子供と会う方法

離婚後や別居中(離婚成立前)に,子供を引き取っていない親としては,少なくとも子供に会いたいと切実に思います。
これについて,法律的には子供との面会交流をする権利として認められています。
正確には,直接会うことに加えて,手紙やプレゼントを贈る,というような広い意味でのコミュニケーションができるとされています。
実際には相手(親)が面会させないようにする,妨害するということがよく生じます。
そのような時のために,家庭裁判所の面会交流の調停,審判という手続が用意されています。
調停や審判で面会の時間・場所が定められたのに相手の親が妨害するという時には,履行勧告強制執行などの対応手続があります。
細かい手続がたくさんあります。
慣れてないために,適切な手段を繰り出せない弁護士も少なくありません。
実際には,面会交流の調停や審判で,家裁の調査官と折衝し,観察の一環として試験的な子供をもう一方の親に引き渡すことが実現することもあります。
このように工夫を重ねて面会交流をしっかりと行った結果,その後の手続で親権を獲得することにつながったという実例もあります。
このように前後の一連の手続を全体として計画的に行うことで,子供を獲得できるかどうかが違ってきます。
詳しくはこちら|子供と親の面会交流の手続(調停・審判のプロセスと禁止する状況)
詳しくはこちら|面会交流妨害への履行勧告と間接強制(間接強制金の相場)
詳しくはこちら|別居後の子供の奪い合い(誘拐罪の成立・子を引き取る・子と面会する手続)
詳しくはこちら|家裁調査官による子供の意見の調査(真意を把握する工夫や心理テスト)
詳しくはこちら|両親の対立状況での子供の心理(親への迎合・忠誠葛藤や敵意の発生)
詳しくはこちら|試行的面会交流により母親の誘導を見抜いて親権者変更を認めた事例

6 祖父・祖母も孫と面会できる?

子供との面会交流の権利は,親権の一環です。
両親だけであって,祖父母は関係ないのが理論的な原則論です。
しかし,特殊な事情がある場合は,丁寧に主張・立証をすると孫と面会することを認めてもらえるケースもあります。
特殊であり,定型的ではないので,諦めてしまう弁護士が多いです。
特殊だからこそ,型にはまらない事情を説得的に主張すると,通る可能性が高まるのです。
詳しくはこちら|祖父母と孫の面会交流が認められることもある

7 子供の引渡の強制執行

親権者や監護権者の指定を勝ち取った場合でも,相手の親が引渡を拒否するというケースはありがちです。
そこであきらめてしまっては,せっかく獲得した親権者(監護権者)の指定の意味がありません。
強制執行の手続を取るべきです。
この子の引渡の強制執行については,実は裁判所の運用が画一的ではないのです。
罰金を課する,という生ぬるい方法しか取ってくれない場合もあるのです。
これを間接強制と言います。
一方で,執行官が直接相手の住居に赴いて子供を引き取るという直接強制をしてくれる場合もあります。
これは見解の違いもありますが,具体的な子供の環境によって判断される部分も大きいです。
慣れていない弁護士だと『裁判所の判断なので,申し立てて,裁判所の見解を待ちましょう』と受け身になってしまいます。
実は,プラスになる特殊事情をしっかりと把握し,書面にしてもれなく主張・立証するということを徹底すると,裁判所は主張に沿った判断をすることが多いのです。
なお,実際に直接強制となっても,執行官が家に赴いた時点で,ほとんどは観念して素直に子供を引き渡します。
直接強制とは言っても,『泣き叫ぶ子供の手を強引に引っ張る』という意味ではありません。
詳しくはこちら|子供の引渡しの強制執行は直接強制と間接強制がある

8 国際的な子供の引渡請求

夫婦で国籍が違う,あるいは,元々の居住国が違う,という場合は,子供の連れ去りが大問題になります。
つまり,片方の親が子供を国外に連れ去ってしまう,ということです。
離婚自体も複雑になりますが,子供を連れ戻すということだけでも,外国の裁判所が関与することになります。
国内のケースと比べて,国外への連れ去り,は一気にハードルが高くなるのです。
この点,平成26年にハーグ条約が締結され,子供の返還や面会の手続が利用しやすくなりました。
詳しくはこちら|ハーグ条約により国際的な子供の返還,面会交流がやりやすくなった

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