離婚原因|専門知識ガイド

代表弁護士三平聡史1 離婚原因とは?
2 3大離婚原因
3 不貞行為(不倫)
4 不貞発覚の証拠
5 暴力(DV,モラルハラスメント)
6 別居期間は何年必要?
7 有責配偶者・双方有責の場合は?
8 セックスレス(性交渉拒否)
9 嫁姑問題,精神病,認知症,借金

1 離婚原因とは?

離婚原因とは,例えば不貞(不倫)暴力などの離婚に至る原因です。
離婚の原因という,単純な言葉なので,誤解が多いです。
協議離婚の場合は離婚原因は必要ではないのです。
離婚原因が必要なのは,離婚訴訟(裁判離婚)の場合です。
離婚原因の内容については,条文に書いてありますが,非常に分かりにくいです。
詳しくはこちら|離婚原因の意味・法的位置付け
一般の方に分かるように説明を続けます。

2 3大離婚原因

(1)3大離婚原因

現実に離婚原因となる主要なものは3つだけです。

<3大離婚原因>

ア 不貞行為イ 暴力 DVや,言葉の暴力,モラルハラスメントといったものも含みます。
ウ 長期間の別居

この3つの離婚原因については,実際の内容・程度によって扱いが違います。
また,この3つ以外でも,離婚原因として認められることも有ります。
とにかく,実務上,この3つは非常に重いのです。
しかし,主張の組み立てと証拠の適切な選択とタイミング良い提出をしないと認められないことになります。

(2)それ以外の離婚原因は積み重ねで決まる

離婚原因としては,『性格の不一致』ということがよく言われます。
これ自体は,現実的な離婚原因にはなりません。
性格が合わない結果,暴力や不倫,別居などの具体的な大事件になるとか,小さなケンカが積み重なって初めて離婚原因となるのです。
詳しくはこちら|3大離婚原因の全体と『性格の不一致』の誤解

3 不貞行為(不倫)

配偶者以外の異性との性交渉を不貞(行為)と言います。
俗に言う不倫のことです。
これは,明確な離婚原因です。
この点,相手がいったん認めても,後から否定するということはよくあります。
実際には,次に説明する,証拠が重要になってきます。
詳しくはこちら|不貞行為は離婚原因となる,風俗,STD,自由意思なしの場合は別

4 不貞発覚の証拠

不貞行為が発覚する状況はいくつかあります。
発覚が記録になると,後から証拠として活きてきます。

<不貞の証拠のよくある例>

不倫相手と旅行やホテルに行った内容が判明するような場合です。
ア メール,メッセージ,カレンダーイ 撮影した写真,画像,動画ウ Facebookへの旅行先の画像アップ ・他のユーザーがアップした画像に写っている,タグ付けされている
・2人がアップした画像が一致している
 旅行先の風景,料理
エ 領収証,クレジットカード利用明細

また,証拠を獲得できたという場合でも,獲得方法が違法だと証拠として認められないということもあります。
証拠を集める段階から,離婚問題に慣れた弁護士のアドバイスが効果的です。
詳しくはこちら|不貞行為(不倫)の証拠(不倫・浮気が発覚する経緯)
詳しくはこちら|夫婦間の証拠争奪戦と違法収集証拠(メール・手紙など)

5 暴力(DV,モラルハラスメント)

暴力は,夫婦でもそうでなくても常識を外れた行為です。
離婚原因となります。
精神的な暴力,つまり,言葉の暴力離婚原因となることがあります。
『モラルハラスメント』と言うこともあります。
ただ,言葉の場合は,内容によっては小さいダメージということもあります。
内容がある程度ひどいものである場合に離婚原因となります。
いずれにしても,主張の組み立てや証拠の適切な選択とタイミング良い提出が認定のカギとなります。
詳しくはこちら|身体的暴力,精神的暴力は離婚原因に認められやすい;3大離婚原因
詳しくはこちら|嫁姑問題・浪費・行方不明などは程度によっては離婚原因となる

6 別居期間は何年必要?

不貞暴力などのハッキリとした大事件がないけども険悪というケースもあります。
このような場合は,別居期間が決め手となります。
通常は3〜5年程度の別居期間で『もう仲直りはないだろう』と判断されます。
つまり離婚が認められるということです。
詳しくはこちら|長期間の別居期間は離婚原因になる

7 有責配偶者・双方有責の場合は?

不貞行為など,離婚原因を作った責任がある者が離婚を請求する場合は別です。
自分勝手を許さないという考え方があるのです。
有責配偶者からの離婚請求と呼ばれる理論で,判例でも採用されています。
とは言っても一切離婚を認めないというわけではありません。
別居期間10〜20年程度で離婚が認められます。
ただ,『養っている子供がいない』などの一定の条件もあります。
実際には両方とも有責ということもよくあります。
この場合は,責任のバランスも関係してきます。
このような『有責』の事情・判断はもともと曖昧です。
事情の特定と立証のデキで大きく判断(結果)が変わってきます。
慣れていない弁護士は,『有責』の事情があると最高裁の基準を使えば良いと考えることも多いです。
実際には,『双方の有責』をしっかりと主張・立証しないと不利な結果につながってしまいます。
詳しくはこちら|有責配偶者からの離婚請求を認める判断基準(3つの要件)
詳しくはこちら|夫婦の両方が有責(双方有責)であるケースの離婚請求の判断枠組み

8 セックスレス(性交渉拒否)

性交渉拒否,いわゆる『セックスレス』でも,離婚原因となります。
ただし,何か理由がある,とか,拒否している期間などの事情で違ってきます。
セックスレスで大きな問題になるのが証拠です。
『拒否』とは言っても,実際のやりとりが,本当に『拒否』なのか,ということがハッキリしません。
また,相手に『拒否していない』と反論されると,立証が難しいです。
主張や立証をしっかりとできないと,離婚が認められない,ということになってしまいます。
詳しくはこちら|セックスレス(性交渉拒否)は程度によっては離婚原因となる

9 嫁姑問題,精神病,認知症,借金

実際に夫婦の仲が悪くなる原因はいろいろとあります。
多過ぎるのですが,3大離婚原因以外でよくあるものをまとめます。

<3大離婚原因以外の主な離婚原因>

ア 嫁姑問題イ 精神病ウ 認知症エ 借金

このようなものについては,多くの判例があります。
一言でまとめるとヒドい程度に達していると離婚原因として認められます。
実際には多くの細かい事情をうまく積み重ねると離婚原因になります。
主張や立証のウデによって結果が変わってくるところです。
詳しくはこちら|嫁姑問題・浪費・行方不明などは程度によっては離婚原因となる
詳しくはこちら|精神病×離婚原因|基本|判断方法|精神病の種類・程度・回復の見込

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