手続きの流れ|法定相続|代襲相続 |相続分の譲渡|相続分譲渡の課税関係|遺産の承継(相続対象財産)|同時死亡の推定 |脳死(死亡判断時点)|慰謝料の一身専属性
例えば遺産である収益不動産が,法定相続によりその子供A,B,Cの共有になった場合を考えます。
テナントからの家賃は子供それぞれが3分の1ずつを請求できる状態になります。実際にはAが代表としてテナントに家賃を請求し,もらった後にB,Cに3分
の1ずつ分配することが多いです。
維持費などの経費はAが支払った(いわば立て替えた)後にAがB,Cに対して3分の1ずつを請求することになります。
これだけでも煩雑ですが,実際には管理方法で共有者(A,B,C)の意見が相違するとさらに面倒になります。
例えば外壁工事を行い,Aが工事費を支払った場合,B,Cが工事は不必要だったと言って費用(の3分の1)を払わないというトラブルが生じることがありま
す。
また,家賃を値上げしようとしても,3人で意見が一致しない場合は値上げができません。家賃の値上げは「共有物の管理」に該当するので持分の過半数の同意
がないとできないのです(民法252)。
不動産を売却することを考えても,3人全員でなければ売却できません(民法251条)。なお,3分の1の「持分」を売却することは1人でもできますが,普
通買い手は付かないでしょう。
遺産の株式を法定相続によりその子供A,B,Cの共有になった場合を考えます。
例えば株式が120株あったとしても,A,B,Cそれぞれ40株ずつ承継する,ということにはなりません。
1つ1つの株式について,A・B・Cが3分の1ずつ所有(共有)しているという状態になるのです。
そうすると,株主総会で株主として投票(議決権行使と言います)する場合,ストレートに投票できません。
投票しようとするのであれば,A,B,Cの3人で,「権利行使者」を指定する必要があります(会社法106条)。
A,B,Cの3人で話し合いがまとまれば良いですが,3人とも自分が権利行使者になると主張した場合,権利行使者の指定自体ができません。
なぜなら,権利行使者の指定は持分の過半数の同意で決めることになっているからです(最高裁平成9年1月28日判決)。
遺産の預貯金が,法定相続により子供A,B,Cに承継された場合を考えます。
この場合はA,B,Cはそれぞれ,預貯金の3分の1をそれぞれ独立に承継することになります。
ですから,それぞれが単独で預貯金残額の3分の1の払い戻しを受ける権利があります。
ただし,実務上,金融機関から相続人全員の印鑑証明書を求められることが多く,スムーズに払い戻しを受けることは困難です。