婚約
- Q&A【婚約】
結婚を約束して交際してきたのに,彼から「別れる」と言われました。
結婚の約束は法律で保護されないのでしょうか。
- 婚約に基づいて結婚を強制することはできません。
婚約破棄は,債務不履行として損害賠償責任が生じます。
「結婚をする約束」のことを「婚約」と言います。
分析的に解釈すると,婚姻の予約契約,となります。
「婚約」として認められても,婚姻(結婚)を強制することはできません。
自由な意思が尊重されるからです(日本国憲法24条)。
とは言っても,責任のない自由,というわけではありません。
「婚約」を一方的・合理的理由なく破棄した場合は,債務不履行となります。
債務不履行によって生じた損害を賠償する責任が発生します(民法415条)。
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- Q&A【婚約の認定】
どのような場合に「婚約」として認められるのでしょうか。
- 両親への挨拶など,一定のイベントがポイントとなります。
理論的には,「結婚しよう」「結婚します」という口約束で婚約は成立します。
契約書などは必要ありません。
しかし,一言そのようなセリフのやり取りがあったからといって即婚約が成立するわけではありません。
2人が誠心誠意をもって「将来夫婦として生活する」という約束を交わした,という場合に限られます。
そして,結納,両親の同意などがなくても成立するとされています(大審院昭和6年2月20日等多数)。
しかし,実務においては,通常,言葉のやりとりだけではなく,客観的なイベントが重要な婚約認定のポイントとなります。
証拠上の問題や,「真意」と言えるかどうか,というハードルがある程度高いのです。
繰り返しですが,以下のイベントがないと婚約が成立しないわけではありません。
あくまでも「婚約が認定されやすくなる」という意味です。
<婚約成立の認定で重視される客観的イベント>
・婚約指輪を渡した
・結納を済ませた
・継続的な性的関係(妊娠・出産に至った)
ただし,避妊をしない性的関係があったが婚約が否定された裁判例もあります(後掲)
・親族・両親に結婚する旨挨拶した
・知人・友人に結婚することを説明(公表)した
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- [東京地方裁判所平成16年(ワ)第25008号、平成17年(ワ)第1335号損害賠償請求事件、損害賠償反訴請求事件平成18年1月16
日(抜粋)]
原告に対して原告と結婚すると明確な言葉によってはっきりと意思表示をし,そのことを前提とした何らかの具体的な行動をとった事実は認められず(原告と被
告とがそれぞれの両親や兄弟又は第三者に対して正式に婚約したと伝えた具体的な事実や,原・被告両名が婚約したとの共通の認識を持つに至るような何らか儀
式又は儀式的な出来事があった事実なども認められない。),結局,原告と被告との間に法的拘束力を持った婚約(社会的にも意味のあるものとして存在するに
至ったと認識できるような結婚の合意)が成立したとまで断定することはできない。
原告は,原告と被告とが避妊方法もとらずに頻繁に肉体関係を持ったことや原告と被告とが同棲と評価することのできるような生活を送っていたことなどを指
摘し,被告が原告と結婚することを前提に行動していたとして,被告の言動について種々主張し供述するが,原告が指摘する上記の事実などから直ちに被告が原
告に結婚を約束したと推認することはできないし,また,被告の主張・供述に照らすと,被告の言動に関する原告の供述をにわかに採用することもできない。
- Q&A【婚約が認定されなかった事例】
結婚の約束が真意ではないとして認められなかったケースはあるのでしょうか。
- いわゆる「ベッドの上での約束は無効」と要約される裁判例があります。
性的関係(情交関係)があり,口頭や手紙で「結婚する」という約束がされていたケースで,最終的に婚約が否定された裁判例が多数あります(後掲)。
理由を要約すると,男女間では,性的関係を持つ前後で,「結婚しよう」と話すことがあるが,これは「婚約」とは認めない,ということです。
つまり,このようなセリフは睦言(現代風に言えば”ピロートーク”)である→誠心誠意の約束ではない,ということです。
時代がやや古いだけに,「男性優位の不公平な判断」ではないかと言われることもあります。
ただ,詳細に読み返してみると,「婚約が成立した場合に発生する責任の重さ」から逆算して,婚約認定のハードルを上げた,ということが分かります。
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- [東京高等裁判所昭和27年(ネ)第2071号婚姻予約不履行に基く損害賠償請求控訴昭和28年8月19日(抜粋)]
被控訴人が控訴人の婚姻の申込に対し承諾したとはいえ、かくの如きことは本件当事者のような若い男女間には有り勝ちなことで、前示の各証拠を綜合するに双
方の一時の情熱に浮かれた行為と認められ、いまだ誠心誠意をもつて将来夫婦たるべき合意が成立したものとは認定し難い。要するに本件当事者のした約束は未
だ法律的保護に値する程度の確実な婚姻の予約とは判断し難い。
- [大阪地方裁判所昭和24年(タ)第35号慰籍料等請求訴訟事件昭和26年5月15日(抜粋)]
当時原告は当二十一年、被告は当二十五年であつて、前認定のような関係から互に懇親の間柄となり、当初は映画見物やハイキングを共にするに過ぎなかつた
が、遂には被告の誘うまま前記の旅館において情交関係を結ぶに至り、前後六七回に亘つてその関係を継続したものであるが、その相互の将来について語り合つ
たのは、ただ第二回目の関係の前に被告が前記旅館で「親が反対しても一緒になる」と言い、原告もまた「一緒にならう」と話したことがあるだけで、その他に
は第一回の関係に至るまでの間にも、また第二回の関係以後にも全然何等の話合をもしたことはないのであつて、
(略)
原被告の関係を考えて見れば、右第二回目の関係の前における被告の言も果してどれ程の真面目さを以つて語られ、原告もまたこれをどれ程の真面目さを以て受
けたものか、その前後の事情から考え合せ頗る疑問なきを得ないのであつて、結局右原被告の言は所謂閨房の睦言の類を出です、相互間真剣に将来婚姻に至るべ
きことを約し合つたものとは認めることはできないのであつて、所詮原被告の関係は単純なる双方合意の情交関係に過ぎなかつたものであり、原告妊娠後におけ
る被告の態度には道義上遺憾の点が少くはないが、しかもこれを法律上婚姻予約の不履行があるものとは考えることはできないのであつて、右不履行を原因とす
る原告の慰藉料請求は到底これを容れることはできない。
- [前橋地方裁判所昭和23年(ワ)第6号慰藉料並に不当利得金返還請求事件昭和25年8月24日(抜粋)]
たとえ被告が原告に宛て前記の如き文言ある手紙を書き送り、又原被告が將來夫婦となるべきことを語り合つたとしても、右は恋愛関係にある男女の睦言ともい
うべく、右事実を目して原被告間に誠心誠意を以て終生の結合を誓う婚姻予約が成立したものとは認め得られず、寧ろ右原被告間の関係は性的享楽を旨としたか
りそめの結合たる私通関係に過ぎないものと見るのが相当である。

婚約破棄
- Q&A【婚約破棄の「正当な理由」】
しっかりとした婚約が認められる場合,婚約を破棄すると責任が生じるということでしょうか。
- 婚約破棄が,一方的に正当な理由なく,行われた場合に債務不履行責任が
生じます。
基本的には,一方的に婚約を破棄された場合,債務不履行として損害賠償請求が可能です。
しかし,正当な理由がある場合は,債務不履行責任は生じません。
正当な理由の例を示します。
<婚約破棄の正当な理由の例>
・被害者に他に交際相手が居た
・被害者側が重要な事情についてウソを言っていた
例えば実際とはかけ離れた収入(給与)額を言っていたり,職業を偽っていたなどです。
・性的不能を隠していた
子孫を残す(出産)は夫婦の重要なイベントとして考えられています。
・被害者側が回復不能な病気にかかった
・被害者側の経済状態が日常生活に支障が出る程度に悪化した
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- Q&A【賠償の対象(損害の内容)】
どのような損害について賠償請求をできるのでしょうか。
- 慰謝料請求,その他の損害についての賠償請求が可能です。
賠償請求の対象となる「損害」は,債務不履行(つまり婚約破棄)と相当因果関係を持つ範囲の損害,となります(民法416条1項)。
常識的に,婚約破棄がなければ生じなかった被害だ,と言える範囲という意味です。
また,精神的な苦痛も対象となります。
精神的損害賠償を「慰謝料」と呼びます(民法710条)。
具体例としては次のとおりです。
<婚約破棄の損害賠償の内容(例)>
・結婚式場のキャンセル費用
・結婚に際して同居するために要した賃貸マンションの初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)
・同居のために購入した家具などの費用
・新婚旅行のキャンセル費用
・婚約指輪の購入代金
・精神的損害(慰謝料)
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- [民法]
(損害賠償の範囲)
第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
(略)
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財
産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
婚約破棄の慰謝料相場
- Q&A【婚約破棄の慰謝料相場】
婚約破棄による慰謝料としてはどのくらいが相場でしょうか。
- 被害者側の過失がゼロという前提では,統計上,30万~300万円程度
と広く分布しています。
このように,幅が広いのは,個別的事情による「精神的苦痛の程度」が大きく異なるからです。
<慰謝料額が大きくなる要素>
・女性が結婚を理由として,キャリアーをあきらめた(退職した)
・女性が妊娠(出産)している
・婚約破棄の理由が,「加害者が別の異性と交際を始めた」という悪質なものである
・婚約成立後長期間が経過しており,今後,被害者が別の異性と交際・結婚・出産することが困難になっている
<慰謝料が小さくなる要素>
・上記の逆のケース
・被害者側にも仲を悪くする原因があった
過失相殺(民法722条2項)と同じ考え方です。
・一応婚約は成立しているが,曖昧であり,周囲の認識もそれ程深いものではなかった
なお,「結婚の約束の具体的内容・程度」によってはそもそも「婚約」として認められないこともあります。
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認知と扶養請求権
- Q&A交際していた彼との間に子供ができました。しかし,彼が子供にかかる費用を出してくれません。
請求できないのでしょうか。
- 認知がされた後に請求できるようになります。
認知を受けるまでは,その子供には子供としての権利はありません。
(子供としての権利=相続権・扶養請求権)
法律上親子関係がないからです。
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認知届
- Q&A彼が子供を認知するのはどのような方法ですか。
- 認知届を彼(父)から市区町村役場に出してもらいます。
これによって,戸籍に「父」が記載され,法律上親子関係が認められるのです。
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審判認知
- Q&A彼が子供を認知してくれない場合,どうしたら良いですか。
- まずは認知の調停を家庭裁判所に申し立てます。
調停で合意が成立した場合,すぐに終了とはなりません。
家庭裁判所がその合意を正当かどうかチェックします。
そして正当であると認められる場合は認知が成立となります。
これを「審判認知」と呼んでいます。
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強制認知
- Q&A彼が調停で子供を認知してくれない場合は,どうしたら良いですか。
- 家庭裁判所に認知の訴えを提起します。
認知請求訴訟と呼ばれます。
訴訟では,被告が応じないとしても,強制的にDNA型鑑定などを行い,判決で判断を出します。
判決で認められた認知のことを「強制認知」と呼びます。
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扶養請求権の起算点
- Q&A彼が子供を認知してくれた場合,いつからの子供の生活費を請求できるのですか。
- 子供が生まれた時にさかのぼって請求できます。
請求できる時点は,認知された後,と大幅に遅いスタートです。
その代わりの手当として,効果は出生まで遡ります(民法784条)。
そうすると,扶養請求権,つまり養育費については,出生後の分すべてをまとめて請求できる状態になるのです。
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認知と相続権
- Q&A【認知と相続権】
「隠し子」として認知されないまま育ってきました。
父が亡くなったのですが相続できないのですか。
- 認知されないと相続権はありません。
「婚姻中以外に生まれた子」と父の関係は,「認知」されない限りは法律上の親子関係は認められません。
正確にはもっと細かいルールがあります。
代表的なものは,「婚姻中の妊娠(懐胎)」であれば「認知」不要,というルールです。
これは「嫡出推定」という規定です(民法772条1項)。
婚姻中の妊娠ではない場合,「認知」が必要となります(民法779条)。
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- [民法]
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
(略)
(認知)
第七百七十九条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
死後認知
- Q&A【死後認知】
父が亡くなった後から裁判で認知を求めることはできないのでしょうか。
- 父の死亡後3年までは,子供本人から認知の訴え(調停・審判)が可能で
す。
まさに,相続権を生じさせるために死後に認知請求をすることは想定されています。
そのため,死後3年までは認知の訴えを提起することが許されています(民法787条但書)。
なお,民法の条文上「訴え」と書かれていますが,実際には,調停前置主義(家事審判法18条1項)によって,最初は調停を申し立てることとされています。
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- [民法]
(認知の訴え)
第七百八十七条
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りで
ない。
- [家事審判法]
第十七条
家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、第九条第一項甲類に規定する審判事件については、この限り
でない。
第十八条 前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。
(略)
- Q&A【死後認知の被告】
父が亡くなった後から認知の訴えを提起する場合,被告は父の正妻などの相続人でしょうか。
- 検察官が被告となります。
家族関係の訴訟ですが,本来被告となるべき「父」が亡くなっています。
その場合は,検察官が被告となることになっています(人事訴訟法12条3項)。
相続権という意味では父の正妻や正妻との間の子供らも大きな利害関係を持っています。
しかし,認知の訴えでは,純粋に,生物学的・客観的に親子であるか否か,を確認するだけです。
やや形式的ですが検察官がそのチェック役を引き受けるのです。
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- [人事訴訟法]
(被告適格)
第十二条
人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者の一方が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、他の一方を被告とする。
2
人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者以外の者が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、当該身分関係の当事者の双方
を被告とし、その一方が死亡した後は、他の一方を被告とする。
3 前二項の規定により当該訴えの被告とすべき者が死亡し、被告とすべき者がないときは、検察官を被告とする。

遺言認知
- Q&A【遺言認知】
「死後認知」だと,検察官を相手に調停申立をするなど,面倒な手続きが必要ですね。
もっと簡略化できないのでしょうか。
- 父親が遺言で認知しておく方法もあります。
遺言であれば,内容が周囲に知られないで済みます。
遺言に書いて効力があることは限定されています。
その中に「認知」も規定されているのです(民法781条2項)。
亡くなるまで自分の子を戸籍に載せず,隠しておく,という一定のニーズを民法は織り込んでいるのです。
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- [民法]
(認知の方式)
第七百八十一条 認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。
- Q&A【遺言認知】
私には妻以外の女性との間に子供がいます。
今まで隠していましたが,亡くなった時には正式に相続権を与えたいです。
どうしたら良いでしょうか。
- 遺言で認知することが可能です。(前問同様)
遺言に認知する子を明記して,認知する旨記載しておきます。
これにより生前は隠しておき,かつ,死後,相続権を与えることができます。
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- Q&A【遺言認知の届出者】
遺言で認知をした場合,誰が戸籍に載せるための認知届を出すのでしょうか。
- 遺言執行者が認知届を提出します。
遺言執行者は,遺言の中で指定されていることもありますし,家庭裁判所に選任してもらうこともあります。
遺言で認知がされている場合,遺言執行者は,就任後10日以内に戸籍上の届出をすることになっています。
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- Q&A【認知の前提条件】
遺言認知をする場合,父となる者の妻(正妻)やその家族の了解を取らなくて良いのでしょうか。
- 必要ありません。
認知は,父・子の親子関係を認めるものです。
原則として,それ以外の者は手続きに関与しません。
ただし,仮に「母」が別の男性と結婚中に妊娠・出生したようなケースでは,「認知の調停」により,家庭裁判所がDNA型鑑定などで親子関係を確認する必要
が出てきましょう。
それ以外に,通常の場合の認知の前提条件,は同様に適用されます。
<認知の前提条件>
・子が成年
→子の承諾(民法782条)
・子が胎児
→母の承諾(民法783条1項)
・子が直系卑属(子や孫)を残して死亡しており,直系卑属が成年
→直系卑属の承諾(民法783条2項)
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内縁関係の成立要件
- Q&A【内縁関係の成立要件】
男女で同居していて,夫婦同然なのですが,婚姻届を出していません。
別れる時には,「夫婦」とは違う扱いになるのですか。
- 「内縁関係」として夫婦と同じ扱いになる可能性があります。
婚姻届を出してないところ以外は,一般の夫婦とまったく同じ,という場合は,極力「婚姻」と同様に扱う,という解釈がなされています。
「内縁」として認められれば,別れる時は離婚と同じような扱いとなります。
具体的に「内縁(関係)」として認められる要件は次のとおりです。
<内縁の要件>
次のような男女の関係を「内縁」として扱います。
1 婚姻意思を持っている
→社会的実質的に夫婦になりたい,という両者の合意
2 共同生活を営んでいる
3 社会的に夫婦と認められている
→社会通念上,夫婦共同生活と認められるような社会的事実の存在
(4 婚姻届を出していない)
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- Q&A【夫婦としての社会的実態】
「社会的に夫婦と認められている」というのは具体的にどのような状況なのでしょうか。
- 相互の親族への挨拶,冠婚葬祭への同席(2人での出席)などです。
具体的な関連する事情を挙げます。
<社会的に夫婦と認められている,と言える要素>
以下の要素を総合して判断します。それぞれが絶対的なものではありません。
1 結婚式を挙げた
結婚式を挙げていれば,これだけで「夫婦と認められた」と言えることが多いです。
ただし,逆に「結婚式を挙げていない」場合でも内縁関係が否定されることにはなりません。
他の同居の状況によって,内縁と認められることは十分にあり得ます。
2 長期間の同居
一般的には,3年以上の同居は「婚姻意思がある」という推定が働きます。
勿論,(単なる)同棲で3年以上継続することもあります。
あくまでも「推定」に過ぎません。
3 相互の親族の行事への出席
具体例としては,冠婚葬祭に,2人が揃って出席することが挙げられます。
通常,身内の冠婚葬祭に同伴する者は,「単なる交際相手」とは考えられません。
4 住民票において「未届の妻(夫)」として登録されている。
5 社会保険において第3号被保険者として登録している。
6 各種契約書の記載
例えば,賃貸マンションに同居しているケースで,賃貸借契約書に「内縁の妻」などと記載してある場合です。
公団住宅の申込書なども同様です。
7 内縁契約書を調印している。
相互に,「結婚した」ということは納得していても,理由があって敢えて婚姻届を提出しない,というケースはあります。
その場合は,事後的に言い分が違うことにならないよう,簡単でも良いので書面として記録しておくと良いでしょう。
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- Q&A【内縁とは似て非なる関係】
婚約と内縁は違うのでしょうか。
- 婚約,(一般の)同棲,私通関係,などは内縁と似ていますが法的には大
きく異なります。
内縁の要件が一部欠けると,内縁(=婚姻に準じた解釈)とは扱われません。
内縁と似ているけど異なるケースの典型例を示します。
<内縁としては認められないケース>
1 婚約
「共同生活」(の実態)がない場合です。
2 妾関係,私通関係,(単なる)同棲
性的関係・経済的支援関係などがあっても「婚姻意思はない」という場合です。
恋愛の延長上で結婚についてはまだ考えない状態で同居する「同棲」も内縁とは異なります。
実際には,同居(同棲)期間が長いなど,「婚姻意思の有無」が明確ではないケースもあります。
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住民票における「未届の妻(夫)」
- Q&A【住民票における「未届の妻(夫)」】
住民票に「未届の妻」として記録するというのはどのような制度なのでしょうか。
- 住民票上の「続柄」の欄に「妻(未届)」という記録を入れることができ
ます。
具体的には,新規または追加として,「世帯変更届」を役所に提出する際,「続柄」の欄に「未届の妻(夫)」として記載して提出します。
(具体的な記入欄は役所によって体裁が異なります)。
このようにして提出すると,役所サイドで住民票,住民基本台帳に「妻(未届)」のように記載(記録)してくれます。
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内縁関係に適用される規定
- Q&A【内縁関係に適用される規定】
内縁として認められると具体的にどのようなルールが適用されますか。
- 準婚関係,として貞操義務,相互扶助義務など一般の婚姻の規定が適用
(準用)されます。
内縁関係として認められた場合,婚姻関係に準ずる関係として扱われます(判例後掲)。
結果的に,婚姻に関する規定が基本的に適用(準用)されることになります。
ただし,「婚姻届」「戸籍」と直接関連する規定は適用されません。
<内縁に適用される規定>
・同居義務
・貞操義務
→違反については慰謝料請求権
・相互扶助義務(婚姻費用分担義務)
・日常家事債務の連帯責任
・内縁解消に伴う財産供与
<内縁に適用されない規定>
・氏(苗字)の変更
・親族関係の発生
・子の嫡出性
・成年擬制
・相続権
ただし,一定の範囲で限定的ですが認められることもあります(特別縁故者への相続財産分与;民法958条の3)。
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- [民法]
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三
前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故
があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
- [最高裁判所第2小法廷昭和32年(オ)第21号慰藉料請求事件昭和33年4月11日(抜粋)]
ところで、いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点
においては、婚姻関係と異るものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない。そして民法七〇九条にいう「権利」は、厳密な意味で権利と云えなくて
も、法律上保護せらるべき利益があれば足りるとされるのであり(大審院大正一四年(オ)第六二五号、同年一一月二八日判決、民事判例集四巻六七〇頁、昭和
六年(オ)第二七七一号、同七年一〇月六日判決、民事判例集一一巻二〇二三頁参照)、内縁も保護せられるべき生活関係に外ならないのであるから、内縁が正
当の理由なく破棄された場合には、故意又は過失により権利が侵害されたものとして、不法行為の責任を肯定することができるのである。されば、内縁を不当に
破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の不履行を理由として損害賠償を求めることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできるも
のといわなければならない。
- Q&A【公的手当等における内縁関係の保護】
内縁でも,公的な手当などで「配偶者」として扱ってもらえないのでしょうか。
- 一定の範囲で,内縁関係でも「配偶者」と同様に扱う規定があります。
例えば,労働基準法に基づく遺族補償については,内縁でも認められることがあります。
いわば公的機関も内縁関係を「公認」する傾向にあります。
<内縁関係を保護する公的制度の規定>
・厚生年金法3条2項
・国家公務員等共済組合法2条
・国民年金法4条
・労働基準法79条
・船員法93条
・健康保険法1条
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- [厚生年金法]
(用語の定義)
第3条
(略)
2 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。

内縁解消・内縁破棄
- Q&A【内縁解消時の清算】
内縁の男女が別れる時にはどんな清算が必要でしょうか。
- 財産分与,慰謝料,養育費の清算(取り決め)が必要となります。
離婚と同じような清算内容となります。
<内縁解消時の清算内容>
1 財産分与
実質的な内縁関係の2人の財産があれば,2人で分ける必要があります。
2 慰謝料
内縁解消について,いずれか一方に責任がある場合,精神的苦痛に対する損害賠償として慰謝料が発生します。
3 養育費
2人の間に子供が誕生していれば,引き取った方は,相手方に子供の扶養費用として養育費を請求できます。
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- Q&A【内縁関係解消の慰謝料】
内縁関係にあった男女が別れる時,慰謝料の問題にはならないのでしょうか。
- 内縁解消の経緯・理由によっては慰謝料が発生します。
厳密な理論としては,次の2つがあります。
<内縁破棄の法的構成>
・「婚姻の約束を破棄」(婚約破棄)として(同様に)考える
・「離婚」と同様に考える
いずれにしても,合理的な理由のない,一方的なものであれば,損害賠償請求権が発生します。
債務不履行または不法行為として捉えることになります(民法415条,709条)。
損害の内容としては,精神的苦痛に伴う慰謝料請求が主なものとなりましょう(民法710条)。
他にも個別的な損害が生じていれば,これも損害賠償請求の内容となります。
このような考え方は,離婚の場合と同じです。
平均的な慰謝料額は100万~300万円です。
個別的事情で大きく異なることもあります。
慰謝料が1000万円と認められた裁判例もあります(後掲)。しかしこれは特殊な場合です。一般的なものとは言えません。
平均的には,離婚の場合より若干低め,という程度です。
不貞行為が原因で別れるなど,他にも関与していた人への慰謝料請求もあり得ます。
典型例は,内縁関係を知った上で不貞行為に及んだ不貞相手への慰謝料請求です。
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- [東京地方裁判所昭和63年(ワ)第14052号慰謝料請求事件平成3年7月18日(抜粋)]
原告と被告が共に生活した期間が三○年にも及ぶこと、内縁関係の破棄が専ら被告の意向でされ、原告に責められるべき事情があるとは窺えないことなど諸般の
事情を考慮し、慰謝料額は、一〇〇〇万円をもって相当とするものと定める。
- Q&A【内縁解消時の財産分与】
内縁解消の際,2人の財産を分けることになるのですか。
- 内縁関係の両者の協力により築いた財産があれば,どちらの名義でも2人
で分ける必要があります。
形式的な名義がどちらであっても,実質的に共有と言えれば,内縁解消の際に,分けることになります。
夫婦の財産分与の考え方が適用されるのです(裁判例後掲)。
特殊な事情がなければ,分与割合=貢献割合は五分五分とされます。
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- [民法]
(財産分与)
第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
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前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる
処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3
前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方
法を定める。
- [広島高等裁判所昭和37年(ラ)第33号財産分与審判に対する即時抗告事件昭和38年6月19日(抜粋)]
財産分与の本質は、第一義的には離婚の際における夫婦共同生活中の財産関係の清算であり、第二義的には離婚後の扶養及び有責配偶者から無責配偶者に対する
離婚に伴う損害の賠償であると解されるが、そうだとすれば、財産分与は、離婚の解消を契機としてなされるものではあつても、現に存した夫婦共同生活関係を
最終的に規整するものともいうべく、かつこれによつて直接第三者の権利に影響を及ぼすものではないから内縁についてもこれを認めるのが相当である。
- Q&A【内縁解消と養育費】
内縁の関係を終わらせ,母が子を引き取った場合,養育費の請求はできるのですか。
- 養育費の請求は可能です。ただし,事前に認知を済ませておくべきです。
最初から父親が認知していれば特に問題はありません。
仮に認知されていない場合は,法的には「父と子の間の親子関係」は,ないものとして扱われます。
さらに,父親が認知に応じない場合は,最終的には,訴訟において強制的に認知を行うということも可能です(強制認知;民法787条)。
いずれにしても,父と子の間に親子関係が認められれば,子供を引き取った母親から「父親」に養育費の請求ができます。
金額の相場については,一般の夫婦の場合と同様です。
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内縁関係解消の手続き
- Q&A【内縁関係解消の手続き】
内縁関係にあった男女が別れる時はどんな手続きがあるのでしょうか。
- 「離婚」と違って,戸籍の公的手続きは適用されません。
内縁関係の破棄,つまり別れる,という局面では,「(一般の)夫婦の離婚」とは違う面があります。
「夫婦の離婚」の場合,戸籍上,離婚届を提出する必要があります。
しかし,内縁関係の解消,という場面では,戸籍上の届出は一切関係ありません。
話し合いさえつけば,内縁解消が成立します。
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- Q&A【内縁関係解消協議書】
話し合いで内縁関係を解消することになった場合,書面を作っておく必要があるのでしょうか。
- 法的に書面作成の義務はありません。ただ,内縁関係解消協議書を作成し
ておくとベターです。
話し合いで内縁関係を解消することとなった場合,特に決まったフォームの書面を作成することが義務付けられているということはありません。
しかし,合意した各種条件について,後でトラブルになるのを防ぐために書面にして調印しておくと良いでしょう。
タイトルに決まりはありません。
一般的には,「内縁関係解消協議書」などといったタイトルにしておきます。
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- Q&A【内縁関係調整調停】
内縁の解消の条件について,トラブルになったらどんな裁判を利用できますか。
- 家庭裁判所の内縁関係調整調停という類型の調停を利用できます。
正式な夫婦であれば,離婚条件でもめた場合は,家庭裁判所で離婚調停や訴訟を行う制度もあります。
内縁関係の場合は,家庭裁判所で「内縁関係調整調停」という申立をすることができます。
「内縁関係解消の調停」と呼ぶこともあります。
清算内容で話し合いが付かない場合や,内縁解消自体を片方が認めないという場合に利用できます。
調停での話し合いで内縁が解消された場合,条件などの合意内容については,調停調書として家庭裁判所が書面にしてくれます。
また,関係が悪化しているが,内縁を解消したくないので裁判所に仲裁して欲しい,という場合にも利用(申立)をすることができます。
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