親権者・監護権者
- Q&A【親権者・監護権者の指定】
離婚の時に,子供の親権者はどのように判断されるのでしょうか。
(離婚前の監護権者指定も同じ)
- 「子供にとってどちらが良いか」(子の利益・福祉)ということを総合的に判断します。
協議離婚,調停離婚の場合,親権者は,当事者(夫婦)で協議して定めます(民法819条1項)。
離婚,審判による離婚の場合,親権者は家庭裁判所が判断します(民法819条2項,5項,家事審判法24条)。
親権者・監護権者の指定における判断要素は,条文上詳しく規定されていません。
親権者変更に関して,考慮対象として「子の利益」が記載されているくらいです(民法819条6項)。
要は,子供にとって,どちらの親のもとで育てられた方が良いか,ということになります。
「子の福祉」という言い方をすることもあります。
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- [民法]
(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。 - [家事審判法]
第二十四条
家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衡
平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。こ
の審判においては、金銭の支払その他財産上の給付を命ずることができる。
(略)
- Q&A【「子の福祉」の判断要素】
「子の利益」とか「福祉」はどのように判断するのでしょうか。
- 父母,子供自身の事情について幅広い要素から判断します。
子の福祉について検討する場合の要素を整理すると次のようになります。
<親権者・監護権者の判断要素>
1 父・母の事情
・監護の意欲(子に対する愛情の度合い)
・監護に対する現在・将来の能力
親の年齢
親の心身の健康状態
時間的余裕
資産・収入などの経済力
実家の援助
・生活環境
住宅事情
居住地域
学校関係
・奪取の違法性
・面接交渉への許容性
2 子の事情
・子の年齢・性別
・子の意思
・子の心身の発育状況
・兄弟姉妹の関係
・環境の変化による影響の度合い
・親や親族との情緒的結びつき
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- Q&A【親権者・監護権者判断の原則論】
多くの事情を元に,どのように「子の福祉」について父・母に優劣を付けるのでしょうか。
- 骨子となる「考え方」がいくつか存在します。
これまでの判例の蓄積で,形成された基本的考え方(原則論)を示します。
いずれも根本的な考え方,骨子と言えるものです。
それぞれの「原則」だけで結論が決まるものではありません。
また,ここに挙げるものは代表的・典型的なものです。
これら以外にも判断の「骨子」となる理論・原則は存在します。
当然,全体の事情の中で,「原則」とは反対の結論となることもあります。ご注意ください。
<親権者・監護権者判断の原則論>
1 継続性の原則
実際にそれまでに子を監護してきた者を優先する,という原則です。
「現状維持」というものです。
子供の友人関係を含めて,親の事情で子供の環境をできるだけ変えない方が望ましい,という考え方です。
2 子の意思の尊重
当然,子供の発言1つで結論が決まるわけではありません。
また,子供の発言がどの程度の深い意味を持つか,ということを判断した上で考慮することになります。
審判,訴訟においては,子供が15歳以上の場合は,子供に意見を聞くのは義務とされています(人事訴訟法32条4号,家事審判規則72,70,50条)。
3 兄弟姉妹不分離の原則
兄弟姉妹を一緒に育てる方が子供にとって望ましい,という考え方です。
この原則については,「継続性の原則」と衝突することが良くあります。
4 母親優先の基準
特に子供の年齢が低い場合は,母親が育てることが望ましい,という考え方です。
最近の傾向としては,以前程重視されなくなってきています。
男女平等,という考え方が拡がっているからです。
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- Q&A【親権者・監護権者の簡易判断】
大まか・簡単な考え方はどのようなものでしょうか。
- 敢えて判断プロセスを簡略化したものを挙げます。
考え方の骨子(原則)の組み合わせをさらに整理して簡略化します。
実際の訴訟・審判では,このような簡易な判断方法を用いるわけではありません。
あくまでも目安として考えて下さい。
<親権者・監護権者の簡易判断方法>
子供の年齢別
1 0~10歳
母が指定される可能性が高い。
2 10~15歳
父・母に優劣が付けられない場合には母とされる可能性が高い。
3 15~20歳
子供自身の意見が尊重される。
4 20歳以上
成人に達しているので「親権者」を決める必要はない。
「親権」が存続するのは子供が20歳になるまでです(民法4条,818条1項)。
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- [民法]
(成年)
第四条 年齢二十歳をもって、成年とする。
(親権者)
第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
(略)

養育費
- Q&A【養育費の相場】
養育費の相場はどのくらいなのですか。
- 養育費は養育費算定表に基づいて算定されます。
算定表は,父・母の収入から具体的な養育費の金額を一定の計算式で求めたものをまとめたものです。
養育費の支払いは月払いが基本とされており,一般的な家庭の場合は子供一人につき2~3万円になることが多いでしょう。
養育費の合意の有効性
- Q&A離婚の際,「養育費の請求はしない」という約束をしました。
その後請求するのはやはり無理でしょうか。
- 請求できます。「請求しない」という約束は無効です。
養育費の性質は,子供が親から「扶養を受ける権利」です。
(正確には,扶養請求権と養育費は微妙に違いますが,ここでは同視して考えても問題ありません)
これは「処分」できないとされています(民法881条)。
理由は,「一身専属権」と言って,身分に基づく重要な権利だからです。
次のとおり,「処分」の1つである「放棄」も否定されるのです(後掲裁判例)。
<処分の具体例>
・債権譲渡
・放棄
・相続
・差押
・相殺
ただし,仮に親権者側だけで十分扶養できるだけの経済状態であれば,「扶養の分担の合意」として有効と考えられることもあります(民法878条)。
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- 【民法881条】
扶養を受ける権利は、処分することができない。
【民法878条】
扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家
庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき
者の順序についても、同様とする。
- 【大阪高等裁判所昭和52年(ラ)第545号子の監護に関する処分審判に対する即時抗告申立事件昭和54年6月18日(抜粋)】
抗告人及び相手方の当審における各陳述によると、相手方は、昭和五一年二、三月ころ、それまで抗告人が手許で養育していた事件本人の長女紀子を抗告人か
ら引取り、すでに相手方において養育していた事件本人の長男一弘ともども以後養育することになつたところ、紀子を引取る際、抗告人から養育料や生活費とい
うことで三〇万円位を受領したこと、その折相手方は抗告人に対し、もう養育費などは請求しないと言明したこと、相手方がこのような言明をしたのは紀子を引
取る際に悶着があり、それ以上事柄をこじらせないで解決するのに最上と考えたからであることが認められる。なるほど右認定の事実によれば、子の養育費の負
担につき、養育義務者である父母の間で、母から父に子の養育費を請求しないとの合意が成立していると認められるのであるが、しかしながら右合意は養育義務
者間でのみの合意であつて、これによつて子に対する扶養の義務を免れさせる効果をもつものではない。すなわち右合意により父たる抗告人の事件本人未成年者
両名に対する扶養義務が消滅するわけではなく、母である相手方が両名を扶養する能力を欠くときは、父である抗告人から未成年者両名に対する扶養義務が果さ
れなければならない。もとより右合意の存在は本審判における扶養料の額を定めるについて有力な斟酌事由となるにとどまるというべきである。本件においてみ
るならば、抗告人と相手方間で授受された右養育料の金額、その後における相手方及び未成年者両名の生活環境、相手方の収入等に照らし、右合意が存在するか
らといつて、原審判認定の扶養料の額を不相当ということはできない。
- Q&A離婚の際,養育費の金額を決めて離婚協議書に書きました。
その後,元妻から「あの金額では足りない」と増額を要求されています。
増額に応じなくてはならないのでしょうか。
- 特別な事情がない限り,増額に応じる必要はないです。
ただし,「相場」(適正な金額)より極端に低い場合は,合意は無効→増額に
応じるべき,と考えられます。
「養育費の合意」自体は尊重されます。
しかし,極端に低い金額だった場合は,「子供の扶養請求権を不当に『処分』した」ということになり,無効となることもあります(民法881条)。
「早く離婚を成立したかったから夫の言いなりになって低い養育費で合意した」という主張もよくあります。
どのような状況で合意したのか,脅されるなどの事情があったかどうか,も有効性に関係します。
これに関連する裁判例があります(後掲)。
やや古いケースですが,この件では,「養育費(養育料)」と「(子供の持つ)扶養料」は別だという理論を採用しています。既払いの養育費の控除も否定して
いる部分については,一般化できないと思われます。
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- 【仙台高等裁判所昭和56年(ラ)第46号扶養料請求申立審判に対する即時抗告申立事件昭和56年8月24日(抜粋)】
然し、原審判も述べるとおり、前記和解は抗告人と相手方母との間に成立したもので、抗告人と相手方との間に直接の権利義務を生じせしめたものではないか
ら、右和解が養育料折半の趣旨で成立したとしても相手方に対しては何らの拘束力を有せず、単に扶養料算定の際しんしやくされるべき一つの事由となるに過ぎ
ないし、また抗告人が相手方母に対し前記和解に基づく養育料を支払つたからといつて当然に本件扶養審判において差引計算をしなければならぬ筋合のものでも
ない。
四 その他記録を精査するも原審判にはこれを取消変更すべき違法、不当の事由は存在しない(なお別紙抗告理由1に記載されている点は抗告人においてもこれ
を問題とすることは本意でないというのであるから、当裁判所も右の点については判断を示さない)。
- Q&A養育費の合意が,極端に低い金額だと無効になるのであれば,もらう側にとって,中途半端に低い金額より
も極端に低い金額やゼロにした方が無効になるので有利なのですか。
- 結果的にそのような法則になりそうです。
しかし,意図的に極端な内容の合意をすることには注意が必要です。
養育費の合意が無効であれば,事後的に,調停・審判によって「適正な額」を決めてもらえることになります。
「中途半端に低い金額の合意」よりも有利のように感じられます。
しかし,実際に,養育費の合意について有効・無効が判断される際には「合意に至った経緯・意図」も関係します。
敢えて無効となることを意図して,極端に低い金額やゼロという合意をした場合は,「有効」となる可能性もあります。
「法の悪用」として権利濫用に該当する可能性があるからです。
実際には,「合意に至った意図」などは厳密に再現できるわけではないので,「極端な金額やゼロでの合意」イコール「無効」となる可能性は高いでしょう。
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- <養育費の合意の有効性;まとめ>
適正な額→有効
極端に低い額→無効の可能性あり
ゼロ→原則無効

養育費の相殺禁止
- Q&A離婚した(元)妻が慰謝料を払っていません。妻へ払うべき養育費を止めても良いでしょうか。
- 養育費を支払う義務は消えません。相殺できません。
形式的には,慰謝料と養育費を,相互に払いあう関係,になっています。
通常であれば,相殺ができる状態です。
しかし,養育費(扶養請求権)については,相殺が禁止になっています。
重要な一身専属権として差押が禁止されています(民法881条)。
差押禁止債権については,(債務者側=養育費を支払う側からの)相殺が禁止されています(民法510条)。
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- 【民法510条】
債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
過去の養育費請求
- Q&A【養育費の消滅時効】
夫と離婚した時に,子供の養育費の取り決めをしたのに払ってくれなくなりました。
約10年間経ちます。
請求できるのでしょうか。
- 5年以内の部分について請求できると思われます。
養育費を含む,扶養請求に関する権利については,定期給付債権(民法169条)として,5年の消滅時効が適用されると考えられています。
判例などではないですが,実務上の解釈の主流です。
この解釈によれば,5年以内のものはまだ生きていますが,経過期間が5年を超過しているものについては,消滅時効が完成しているということになります。
なお,正確には,消滅時効が完成していても,「請求」自体は可能です。
これに対し,相手方が消滅時効を「援用」して初めて正式に請求できなくなる,ということなのです(民法145条)。
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- [民法]
(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
(定期給付債権の短期消滅時効)
第百六十九条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。
- Q&A【過去の養育費の請求対象期間】
離婚する時に,養育費の取り決めをしていないままでした。
10年くらい,私(元妻)が子供を養ってきました。
夫は一向に養育費を払ってくれません。
夫に今までの養育費を請求することはできないのでしょうか。
- 過去の養育費請求は可能です。ただし,遡れる期間は決まっていません。
考え方として,夫(扶養義務者)が払うべき金額を含めて,妻(もう1人の扶養義務者)が払った,ということになります。
そうすると,「立替金」という性格になります。
そして,「貸金」と同じように,地方裁判所(または簡易裁判所)に提訴するということになりそうです。
しかし,裁判所は,一般の「立替金」「貸金」と同視しない考え方を採っています。
つまり,「家庭」の問題として,家庭裁判所で扱うということです。
詳しく言えば,妥当な金額を定めることや,遡る期間を調整することも含めて,家庭裁判所が裁量によって決める,ということです(判例,裁判例後掲)。
結局,養育費の金額だけではなく,「どのくらい遡るのか」も含めて,家庭裁判所が個別的事情を元に決定する,ということです。
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- [最高裁判所第2小法廷昭和41年(オ)第783号養育料償還等請求事件昭和42年2月17日(抜粋)]
扶養義務者の一人のみが扶養権利者を扶養してきた場合に、過去の扶養料を他の扶養義務者に求償する場合においても同様であつて、各自の分但額は、協議が整
わないかぎり、家庭裁判所が、各自の資力その他一切の事情を考慮して審判で決定すべきであつて、通常裁判所が判決手続で判定すべきではないと解するのが相
当である。本件において通常裁判所である原審が分担の割合を判定したのは違法であつて、この点に関する論旨は理由があり、原判決の求償請求を認容した部分
は破棄を免れない。そして、原審の認定したところによると、未だ分担についての審判はないというのであるから、上告人の扶養義務は具体的に確定していない
ものというべく、被上告人の求償請求は理由がない。
[東京高等裁判所昭和57年(ラ)第413号扶養料請求申立審判に対する即時抗告申立事件昭和58年4月28日(抜粋)]
ところで 本件のように親(父)が未成熟子を扶養する関係(夫婦間も同様)においては、扶養権利者が要扶養状態にあり、扶養義務者に扶養能力のあることと
いう要件が具備すれば、扶養権利者からの請求の有無にかかわらず、具体的な扶養義務、扶養請求権が発生すると解すべきであり、扶養審判において、裁判所
は、その裁量により相当と認める範囲で過去に遡った分の扶養料の支払を命じることができるというのが相当である。けだし、親の未成熟子に対する扶養義務
(いわゆる生活保持義務)は、その身分関係の発生により当然に生じるべきものであって、親は、未成熟子と別居すれば未成熟子が要扶養状態にあることは当然
知りうべきであり、その具体的な請求権の発生を扶養権利者の請求に係らせる必要はないからである。
[宮崎家庭裁判所平成3年(家)第2059号、平成3年(家)第2060号親権者変更申立事件、養育料請求申立事件平成4年9月1日(抜粋)]
(4) 最後に,養育料支払いの始期について検討するに,養育料の支払義務は,事件本人が要扶養(要監護養育)状態にあり,義務者たるべき相手方に支払い
能力があれば存在するとみられるところ,裁判所はその裁量により相当と認める範囲で過去に遡った養育料の支払いを命じることができると解される(扶養につ
き同旨,東京高裁昭和58年4月28日決定。家裁月報36巻6号42頁)。
- Q&A【裁判所の認める請求対象期間】
裁判所の判断としては,現実的にどの程度遡って養育費を認めることになりそうでしょうか。
- 資力などにおいて特に問題がなければ,申立の前5年まで,という解釈が
有力でしょう。
遡る期間についても含めて,裁判所に大きな裁量があります。
裁判所が判断する要素しては,「現実の支払能力」が大きいです。
特に,「不払い期間」が長期間に及ぶ場合,累積額が多額となるので,資力は現実的な問題となり得ます。
逆に言えば,資力において,義務者(請求を受けた方)に問題がなく,かつ,不払いを正当化できるような特殊事情がないならば,遡ることについて制限は少な
いです。
その一方で,扶養義務を「定期給付債権」と考えるのが一般的ですので,これ自体は5年の消滅時効が適用されます。
この実質的な「期間制限」を流用する形で,「申立時より5年前」まで遡る範囲で過去の養育費を認めた裁判例があります(後掲)。
また,実務上,「申立時まで」遡るとする裁判例も散見されます。
さらに遡及する時点について,他の時点を採る裁判例も数多くあります。
ただし,多くの裁判例では,その案件特有の特殊事情の影響を強く受けています。
敢えて,特殊事情の少ない案件の裁判例をまとめると,「申立時より5年前」が多く,次に「申立時」というものが続くという傾向が見て取れます。
なお,以前(明治時代)には,「請求時」まで遡る,という判例がありましたが,当時は,家事審判法などの法律の状況が現在とは異なっているため,現時点で
先例性はあまり残っていないと思われます(大判明治34年10月3日)。
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- [東京高等裁判所昭和60年(ラ)第292号扶養審判に対する抗告事件昭和61年9月10日(抜粋)]
四 当裁判所も、前記事件本人の生活費用については、相手方春子が本件調停の申立をした昭和五七年六月から五年前に遡つた昭和五二年六月以降の分について
各当事者の費用の負担額を定め、相手方らが既に支出した事件本人の生活費用のうち抗告人が負担すべき部分について、相手方らから抗告人に対する求償を認
め、将来の生活費用についても、相手方春子がすべて現実の支弁を担当することを前提として、抗告人に同様の給付を命ずるのが相当であると判断する。その理
由は、次に付加するほか原審判理由3(1)(2)((2)の最後の三行を除く。)と同じであるから、これを引用する。
抗告人は、審判手続において扶養料の求償ができるのは、請求時以降の分に限られるべきである旨主張する(抗告理由3)。しかしながら、要扶養者の扶養料
のうち本来他の扶養義務者が負担すべき額を現実に支出した扶養義務者は、その扶養料を負担すべき扶養義務者に対しこれを求償することができ、この求償請求
に関し審判の申立があつた場合どの程度遡つて求償を認めるかは、家庭裁判所が関係当事者間の負担の衡平を図る見地から扶養の期間、程度、各当事者の出費
額、資力等の事情を考慮して定めることができるものと解するのが相当であつて、

再婚の期間制限(待婚期間)
- Q&A【待婚期間】
離婚後,別の異性とすぐに結婚できるのですか。
- 男性は即可能,女性は6か月間ブランクが必要です。
女性のみ,「前婚の解消」から6か月間再婚が禁止されています(民法733条1項)。
これは,仮に「出産」があった場合に,「ブランク」が短いと,どちらが父親か分かりにくくなる,ということが理由です。
「父親と子供の親子関係」が「推定」されるのは次の3つです(民法722条)
1 婚姻中に「妊娠」(懐胎)した場合(1項)
2 婚姻成立から200日経過後に「出産」した場合(2項)
3 婚姻解消から300日以内に「出産」した場合(2項)
ここで,「離婚」→「再婚」というプロセスを考えると,「3」と「2」が関係します。
結果的に,「100日間」は「ブランク」を空けないと,「3」と「2」が重複してしまうことになるのです。
理論的には,ブランク(待婚期間)は100日で良い,と言えます。
「6か月」と規定している民法733条については,改正すべきだという意見が強くありますが,未だ改正には至っていません。
一方,男性には,このような「妊娠」という仕組みがないので,再婚の期間制限はありません。
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- 【民法】
(再婚禁止期間)
第七百三十三条 女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
- Q&A【待婚期間の例外】
女性は必ず再婚までのブランクを6か月取らないといけないのですか。
- 妊娠している,という場合は待婚期間の制限はありません。
既に妊娠している状態であれば,通常,当時の夫の子であると考えられます。
そこで,「生まれた子供の父親が分からなくなる」という心配は解消されます。
そのため,妊娠中の場合は,待婚期間の制限は適用されません(民法722条2項)。
結局,離婚後すぐに別の男性と結婚できます。
なお,仮に妊娠した子が「後の夫」だった場合でも,「待婚期間の適用除外」になります。
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- 【民法(抜粋)】
722条
2 女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

嫡出推定
- Q&A【嫡出推定】
実は,前の夫とは,既に別に暮らしていて,離婚条件を話し合っている間に,離婚届を出すのが遅くなりました。
その間に両方とも別の異性と交際していました(それぞれ了解しています)。
私(女性)は離婚届を出す時点で別の男性の子を妊娠していました。
すぐに再婚して問題ないのですね。
- 待婚期間の制限は適用されません。
しかし,前の夫の子という推定が働いてしまいます。
妊娠した子が「前の夫の子」ではなくても,「待婚期間」(再婚禁止期間)は適用除外にになります。
そこで,離婚後すぐに結婚できます。
しかし,前の夫の子という推定が働いてしまいます。
まさに民法722条1項の,ごく一般的なケースに「形式的に」該当してしまうのです。
そのままだと,戸籍上,父親は前の夫,ということになってしまいます。
法律的に「嫡出の推定」と呼んでいます。
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- 【民法(抜粋)】
(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
(略)
嫡出否認
- Q&A【嫡出否認】
本来の父親ではない人が戸籍上の父親になるのを防げませんか。
- 嫡出否認の調停,審判が必要です。
嫡出の「推定」はやっかいです。
くつがえすためには,家庭裁判所での嫡出否認の調停,審判が必要です。
逆に,この手続きを行えば戸籍上,「前の夫」を父親にしないで済みます。
また申立の期間制限として,前の夫が(自分の子ではない)子供の出生を知ってから1年以内,とされています(民法777条)。
なお,条文上「訴え」とされていますが,当事者が納得している場合は,調停を行い,成立時に家事審判に切り換える,ということによりよりスピーディーに済
ませる運用がなされています。
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- 【民法】
(嫡出の否認)
第七百七十四条 第七百七十二条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
(嫡出否認の訴え)
第七百七十五条
前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなけ
ればならない。
(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第七百七十七条 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。
- Q&A【実際の父親との嫡出推定】
前の夫について「嫡出否認」が完了した後は,実際の父親と私(母)が結婚すれば,戸籍上,父親と子供ということになりますか。
- なりません。原則として,実際の父親が「認知」する必要があります。
仮に,「実際の父親」との婚姻後200日以上が経過した時点で出生した,という場合は,「実際の父親」との親子関係の推定を適用できます。
この場合は,自動的に戸籍上「親子」となります。認知不要です。
これに該当しない場合は,「親子関係の推定」が適用されません。
その場合は,父親が「認知」をする必要があります。
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- 【民法(抜粋)】
722条
(略)
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
懐胎時期に関する証明書
- Q&A【懐胎時期に関する証明書】
私(女性)は,夫と離婚しました。
離婚後,別の男性と交際し,妊娠,出産しました。
ただ,困ったことに,離婚から300日以内に早産したのです。
前の夫の子として推定されてしまうのでしょうか。
- 「離婚時には妊娠していなかった」場合は,「懐胎時期に関する証明書」
の提出により,「前の夫の子」という推定を否定することができます。
法律上,離婚から300日以内の出産,については,前の夫の子としての推定が及んでしまいます(民法772条2項)。
従って,「嫡出否認」という裁判所の手続きが必要なはずでした。
しかし,負担が重いということで,もっと簡易な手続きが導入されました。
平成19年5月以降は,「懐胎時期に関する証明書」を添付して出生届を提出すれば,「前の夫の子」としての推定が適用されないという扱いがなされるように
なりました(法務省の通達)。
これが適用されるのは「離婚時には妊娠していなかった」場合のみです。
離婚時に既に妊娠していた場合(民法772条1項)は,前の夫の子との推定を否定するためには,正式な「嫡出否認」の調停・審判などが必要です。
他の書面による簡略化した手続きはありません。
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- 【民法】
(嫡出の推定)
第七百七十二条(略)
2
婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
嫡出推定を覆すための認知調停
- Q&A【母の申立により嫡出推定を覆す】
以前の夫と離婚して,別の男性(現在の夫)と再婚しました。
現在の夫の子が生まれたのですが,妊娠は離婚前でした。
前の夫の子という推定に該当しています。
前の夫が嫡出否認の調停を申し立ててくれれば良いのですが,一切協力してくれません。
どうしたら良いでしょうか。
- 親子関係不存在の調停,または,(現在の夫を相手に)認知の調停,を行
うことになります。
嫡出否認は,「誤った嫡出推定が及んでしまう人」つまり「前の夫」が申立人となります。
そこで,「前の夫」が申し立ててくれないと手続き自体が始まりません。
そのような場合は,次の2つの手続きを取るしかありません。
いずれも,「母」が申立人になれます。
前の夫が協力してくれなくても,申立を行うことができます。
<前の夫の協力なしでできる調停(いずれか)>
1 (実際の父親を相手に)認知の調停
2 親子関係不存在確認の調停
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- Q&A【認知の調停】
前の夫の子という推定を否定するための認知の調停とはどのような手続きですか。
- 真実の父親を相手方として,母が「親子関係の存在」を主張して申し立て
る調停です。
真実の父親を戸籍上載せることに問題がない場合はこの手続きが非常に便利です。
既に母と「真実の父親」と結婚しているような場合が,この調停が利用される典型例です。
正確には,申立人は,子,です。子の法定代理人として,母が申し立てる,という形です。
とにかく,見た目としては,「仲の良い夫婦」が「申立人」,「相手方」として調停を行うのです。
非常に違和感があります。
当然,調停での話し合いでは,双方が「親子関係を認める」ということで一致しているのが通例です。
しかしこれだけでは終了となりません。
DNA型鑑定などで,医学的・科学的に親子関係を鑑定します。
その結果,親子関係が認められれば,家庭裁判所が「認知の審判」を行います。
これにより,「真実の父」を親とする出生届が提出できるのです。
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親子関係不存在確認の調停
- Q&A【親子関係不存在確認の調停】
親子関係不存在確認とはどのような手続きでしょうか。
- 「母」が申し立て,家庭裁判所が親子関係がないことを判断する手続きで
す。
真実の父親を戸籍上載せることに問題がある場合にこの手続きが利用されます。
親子関係不存在確認の調停は,「母」が申立人になれます。
相手方が「前の夫」です。
仮に前の夫が協力しなくても一方的に母の方から申立ができます。
また,DNA型鑑定などの調査の結果「親子関係はない」と判断できれば,審判という形で決定してくれます。
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- Q&A【前の夫が非協力的+真実の父親も隠しておきたい場合】
前の夫が協力してくれないので,私(母)から,親子関係不存在確認の調停を起こしました。
しかし,前の夫は裁判所に来てもくれません。当然,DNA型鑑定にも協力してくれません。
どうしたら良いでしょうか。
- 「真実の父親」には,「隠しておく」前提で協力してもらう方法が考えら
れます。
親子関係不存在確認の調停において,前の夫がDNA型鑑定を拒否するような場合は実際には手続きを進めるのは困難となります。
家事事件においては,一般の民事訴訟のような「欠席判決」(擬制自白)という制度は適用されません。
結局,DNA型鑑定などにより客観的な裏付けがないと裁判所は判断してくれないのです。
ここはアイデア勝負です。
「真実の父親」に協力してもらい,DNA型鑑定により親子関係を証明し,結果的に「前の夫」との親子関係が否定される,と科学的・論理的に判断してもらう
方法が考えられます。
あくまでも家庭裁判所での判断は「前の夫と子の間に親子関係はない」ということです。
「真実の父親」が認知したことにはなりません。
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親子関係判定のためのDNA型鑑定
- Q&A【調停前置主義】
嫡出否認などの裁判をする場合は,訴訟を申し立てて親子関係の証明をすることになるのですか。
- 最初に調停を申し立てます。その後,審判となるのが通常です。
嫡出否認,親子関係不存在確認,認知に関する申立は,「人事に関する訴訟事件」に該当するので,(正式)訴訟の前に調停を申し立てることになっています
(家事審判法17条,18条)。
これを「調停前置主義」と呼んでいます。
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- [家事審判法]
第十七条
家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。但し、第九条第一項甲類に規定する審判事件については、この限り
でない。
第十八条 前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。
○2
前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家庭裁判所の調停に付しなければならない。但し、裁判所が事件
を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。
- Q&A【親子関係立証のためのDNA型鑑定】
嫡出否認などの調停で,当事者が合意すれば,調停成立となって完了するのですか。
- 関係者全員が納得している場合でも,DNA型鑑定が必要となります。
嫡出否認,親子関係不存在確認,認知などの調停では,当事者が親子関係を認めるか認めないか,最初から意見が揃っていることがあります。
単に「誤った推定」を覆すという目的だけで調停申立をするというケースが多いのです。
では,申立人・相手方で親子関係の有無を確認して調停成立になりそうですが,家事調停(審判)ではそのようになりません。
客観的な裏付けで確認・証明する必要があるのです。
家事審判法23条で,「必要な事実を調査した上」で審判を行う,と規定されています。
これは,単に当事者の合意だけでは足りず,科学的調査が必要,という意味です。
親子関係など戸籍に関する事項は,万一当事者で結託して不正が行われると,「公的手当・扶助などの不正受給」ということに直結します。
そのため,当事者の意向だけで完了,ということはできないのです。
親子関係の確認の具体的方法としては,現在はDNA型鑑定が利用されています。
結局,手続きの流れは次のようになります。
<手続きの流れ>
調停→DNA型鑑定→審判
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- [家事審判法]
第二十三条
婚姻又は養子縁組の無効又は取消しに関する事件の調停委員会の調停において、当事者間に合意が成立し無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合
には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、正当と認めるときは、婚姻又は縁組の無効又は取消しに
関し、当該合意に相当する審判をすることができる。
○2 前項の規定は、協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消し、認知、認知の無効若しくは取消し、民法第七百七十三条
の規定により父を定めること、嫡出否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停について準用する。
- Q&A【DNA型判定の方法】
親子の鑑定で,具体的に,採血などが必要なのでしょうか。
- 通常,頬の内側(口の中)の角質をスプーン状のものですくい取るだけで
す。
現在は,科学的鑑定の方法が進化しています。
スプーン状のもので頬の内側を「すくい取る」程度で,必要な検体が採取されます。
痛いとか跡が残る,ということはありません。
母・子と,父(または父であることを否定する者)からそれぞれ検体を採取します。
それを分析・鑑定を行う機関に送付し具体的な分析・鑑定が行われます。
なお,検体採取過程で「人違い」が起きたら鑑定が大なしになります。
そこで,検体採取の時は,身分証明がしっかりと行われます。
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- Q&A【DNA型鑑定の費用】
DNAの鑑定は高額なのでしょうか。誰が負担するのでしょうか。
- 通常は申立人が負担します。10~20万円程度が相場です。
以前はDNA型鑑定と言えば,ごく一部の刑事事件で用いられるという希少なものでした。また,「誤判定」も生じました。
(DNAは遺伝子内の塩基配列の整合性を比較するものなので,正確にはDNA「型」鑑定と呼ぶべきだと思います)
しかし,現在は,広く普及しており,費用も以前よりは低額化しています。
なお,民事裁判の一般的なルールとして,申し立てる方が費用を負担することになります。
家事調停(審判)では,裁判所が鑑定する業者に発注することになります。
費用だけ当事者(申立人)が負担するという形です。
ちなみに,私的に,ごく一般的にDNA型鑑定を行う場合,10万円前後が相場です。
裁判所用の鑑定の方が高いのです。
裁判所用の鑑定の場合,「鑑定書」というしっかりした書面を作るので,高くなるのです。
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民法772条による無戸籍児
- Q&A【戸籍の訂正】
前の夫の子ではないけど,推定が働くからといって,仮に前の夫を父とする出生届を出すとどうなりますか。
- 後日,家庭裁判所の審判書を添付して手続きをすれば「戸籍の訂正」がな
されます。
訂正されるのは当然です。
ポイントは,「戸籍上,真実の父親ではない人が記録として一生残ってしまう」ということです。
一方で,真実の父親を「父」として記載した出生届は受理されません。
「推定上の父と違う」ということになるからです。
いくつかの裁判手続きによる審判書を添付すれば受理されますが,審判が言い渡されるまでに一定の時間を要します。
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- Q&A【民法772条による無戸籍児】
形式的な,推定上の父親を子供の戸籍に載せないために,出生届を提出しないとどうなりますか。
- 裁判手続きが終了し,審判書を添付して出張届を提出すれば,最初から,
戸籍上「真実の父親」が記載されます。
なお,嫡出否認,親子関係不存在確認の審判書を添付した場合は,「父」を空欄としたままの出生届を提出することができます。
この結果,「真実の父親ではない前の夫」を戸籍上残さないことになります。
このように,家庭裁判所の手続きが終わるまでの間,子供について「無戸籍」としているケースが結構あります。
これを「民法772条による無戸籍児」と呼ぶこともあります。
この変な「ブランク期間」の原因をたどっていくと,「民法772条による嫡出推定」に行き着くからです。
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- Q&A【出生届未提出の不利益】
出生届を出さないでおくと,何か不利なことはないのでしょうか。
- 公的手当類,公的証明の手続きにおいては,救済措置が準備されていま
す。
厚生労働省,総務省では,「民法772条による無戸籍児」のために,救済的取扱がなされています。
1 児童手当等
児童手当,児童扶養手当,保育所入所,母子健康等の児童福祉行政上のサービス
→戸籍・住民票等の記録がなくても,他の書面で親子関係が確認できれば適用・利用が認められています。
2 住民登録・住民サービス
→戸籍の記録がない場合でも,認知・親子関係不存在確認の調停に関する書類を提出すれば(申し立てていることが判明すれば)住民登録を認める取扱がなされ
ています。
3 パスポート(旅券)
海外に行かなくてならない,という特別な理由がある場合は,一定の書類を提出することにより子供名義でのパスポートの発給を受けることができます。
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- Q&A【出生届未提出の罰則】
出生届を提出するのは義務ではないのでしょうか。
- 法律上,出生後14日以内の届出が義務付けられています。
戸籍法上,出生後14日以内の届出が義務付けられています(戸籍法49条)。
そして,この義務に違反した場合は,「5万円以上の過料」がペナルティーとして課せられています(戸籍法135条)。
しかも,嫡出否認の訴え中であっても,出生届の義務は免除されないという規定もあります(戸籍法53条)。
そもそも,なぜ「無戸籍児」のケースが見られるかと言えば,民法772条の推定のためです。
出生届の義務を杓子定規に適用すれば「戸籍上,明らかに父ではない人を父として記録し,一生残す」ことを強要することになります。
また,児童手当,住民登録などの運用においても,公的な部分で,「無戸籍児」を追認している取扱も多いです。
そこで,戸籍法135条の罰則については「正当な理由」として,「父子関係の推定を覆す各種手続きの審理待ち」ということも含まれると考えることもできま
しょう。
このように考えると,嫡出否認に言及している戸籍法53条は違和感を醸し出しているように思えます。
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- 【戸籍法】
第49条 出生の届出は、14日以内(国外で出生があつたときは、3箇月以内)にこれをしなければならない。
2 届書には、次の事項を記載しなければならない。
1.子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別
2.出生の年月日時分及び場所
3.父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍
4.その他法務省令で定める事項
3 (略)
第53条 嫡出子否認の訴を提起したときであつても、出生の届出をしなければならない。
第135条 正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、5万円以下の過料に処する。

婚姻準正
- Q&A【準正】
新たな夫が認知して,ようやく子供と父親が戸籍上親子になりました。
この場合「結婚中の子」として認められるのでしょうか。
- 「準正」により「嫡出子」として認められます。
法律上,結婚中の子供,と結婚外の子供,が区別されています。
<婚姻中か否かによる子供の呼称>
結婚中の子供=「嫡出子」
結婚外の子供(婚外子)=「非嫡出子」
嫡出子か非嫡出子かによって,相続などで一定の区別(差別)があります。
平等原則違反という意見も強いですが,未だ民法は改正されていません。
ただ,認知後に父親と母親が結婚した場合でも,逆に結婚後に父親が認知した場合でも,「嫡出子」として認められます(民法789条)。
これを「準正」と呼んでいます。
「出生の時点では非嫡出子だった」という理由で区別(差別)を受けることはありません。
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- 【民法】
(準正)
第七百八十九条 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
3 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。
「母」の認知
- Q&A【「母」の認知】
母親は「自分の子供かどうか」迷うことはないと思います。認知するということはあり得ないのでしょうか。
- 母の認知,ということは通常あり得ません。
民法779条には「父又は母が」認知できる,と規定されています。
これについてはいくつか見解があります。
ごく例外的な,捨て子→後から猛烈に後悔→再会,といった場合は認知が必要かもしれない,という見解もあります。
しかし,判例では,自然分娩という事実があるのだから,認知しなくても,当然に母・子の関係は法的に親子関係が生じる,という認知不要説を取っています。
(最高裁判所昭和49年3月29日,最高裁判所昭和54年3月23日)
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- [民法]
(認知)
第七百七十九条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
代理母の場合の親子関係
- Q&A【代理母の場合の親子関係】
「代理母」の場合,分娩した母,と,生物的な母(卵子提供者)が異なります。
どちらが母になるのでしょうか。
- 判例では,「分娩した母」が法的な母親となる,とされています。
生物学が先行して,法律の整備が遅れている分野です。
「代理母」か「卵子提供者」のどちらが「法律上の母」(戸籍上の母)になるか,争われた有名な裁判があります。
最高裁まで争われ,その結果,「分娩した母」が法律上の母となる,という結論になりました(判例後掲)。
最高裁としても,今までに迷うことがなかった,新たな問題であったため,対応に苦慮したようです。
「本来先に国会で決める(立法する)べきだ」というメッセージを添えているあたりで「悩み」が垣間見えます。
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- 【最高裁判所第2小法廷平成18年(許)第47号市長村長の処分に対する不服申立て却下審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事
件平成19年3月23日(抜粋)】
子を懐胎し出産した女性とその子に係る卵子を提供した女性とが異なる場合についても,現行民法の解釈として,出生した子とその子を懐胎し出産した女性との
間に出産により当然に母子関係が成立することとなるのかが問題となる。この点について検討すると,民法には,出生した子を懐胎,出産していない女性をもっ
てその子の母とすべき趣旨をうかがわせる規定は見当たらず,このような場合における法律関係を定める規定がないことは,同法制定当時そのような事態が想定
されなかったことによるものではあるが,前記のとおり実親子関係が公益及び子の福祉に深くかかわるものであり,一義的に明確な基準によって一律に決せられ
るべきであることにかんがみると,現行民法の解釈としては,出生した子を懐胎し出産した女性をその子の母と解さざるを得ず,その子を懐胎,出産していない
女性との間には,その女性が卵子を提供した場合であっても,母子関係の成立を認めることはできない。
もっとも,女性が自己の卵子により遺伝的なつながりのある子を持ちたいという強い気持ちから,本件のように自己以外の女性に自己の卵子を用いた生殖補助
医療により子を懐胎し出産することを依頼し,これにより子が出生する,いわゆる代理出産が行われていることは公知の事実になっているといえる。このよう
に,現実に代理出産という民法の想定していない事態が生じており,今後もそのような事態が引き続き生じ得ることが予想される以上,代理出産については法制
度としてどう取り扱うかが改めて検討されるべき状況にある。この問題に関しては,医学的な観点からの問題,関係者間に生ずることが予想される問題,生まれ
てくる子の福祉などの諸問題につき,遺伝的なつながりのある子を持ちたいとする真しな希望及び他の女性に出産を依頼することについての社会一般の倫理的感
情を踏まえて,医療法制,親子法制の両面にわたる検討が必要になると考えられ,立法による速やかな対応が強く望まれるところである。

再婚・養子縁組と養育費
- Q&A離婚して相手方(妻)が子供の親権を持つことになりました。
将来妻が別の男性と結婚したら,子供は養子になるのでしょうか。
- 養子縁組をしない限りは養子にはなりません。
元妻が再婚しても,子供(いわゆる連れ子)と新たな夫の間には「親子関係」はありません。
「お父さんと呼ぶ」というのは家庭内の人間関係であって,法的・理論的な関係とは別なのです。
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- Q&A再婚した男性と妻の連れ子が養子縁組をするとどうなりますか。
- 相続権,扶養義務などが生じます。
相続権を与えるために養子縁組をするケースもよくあります。
養子縁組をすると,法律上,実際の親子(実子)と同じ状態になります(民法809条)。
関係する規定のうち代表的なものは次のとおりです。
<親子関係において適用される規定>
・監護・教育の権利・義務(民法820条)
・扶養義務(民法877条1項)
・相続権(民法887条1項)
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- Q&A再婚した男性と連れ子が養子縁組をする手続きはどのようなものですか。
- 市区町村役場への届出だけです。証人2名の署名・押印が必要です。
一般的には,養子となる者が未成年者の場合は家庭裁判所の許可が必要です。
しかし,「配偶者の卑属(子)」の場合は家庭裁判所の許可は不要です(民法798条)。
養子縁組の届出用紙に養親,養子の署名・押印をして,さらに証人2名も署名・押印をする必要があります。
これを市区町村役場に届け出れば,受理され,戸籍に登録されます。
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- Q&A私の子が離婚した元妻の再婚相手と養子縁組をしました。養育費は影響を受けますか。
- 養育費の減額請求が可能でしょう。
ちょっと複雑な関係になります。
整理して考えます。
その子供には法律上の「親」が3名居ることになります。
「扶養義務者」が3名存在することになります(民法877条1項)。
ところで,従前決定した養育費の金額は,「扶養義務者が2名」を前提としています。
扶養義務者が1名追加となったので,生活費(扶養の費用)の分担方法は変化します。
協議によってこの「分担方法」を決め直すのが理論的です。
仮に協議がまとまらない場合,家庭裁判所に「養育費変更の申立」をすることができます。
家庭裁判所で協議が整えば良いですが,整わない場合,審判として裁判所が金額を決定することになります。
この場合の算定方法に明確な基準・決まりはないのが現状です。
敢えて,公平に考えると,次のようになると思います。
実際には,養親の方が優先,という裁判例があります(別項目で解説)。
次の式は,養親の収入が,子供の養育には不十分である場合にはストレートで使えるでしょう。
<養育費算定方法>
母(元妻)と再婚相手の2人の親を1グループ(母グループ)として,収入を合計する
父の収入 と 母グループの収入 から,一般的な算定式を用いて分担額を算定する
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- Q&A私の子が,離婚した元妻の再婚相手と養子縁組をしました。
私と新たな養親でどちらが優先して扶養すべきでしょうか。
- 新たな養親,に優先的な扶養義務があります。
養親ができた場合でも,実親の扶養義務が消滅するわけではありません。
しかし,裁判例では,優先順序として,「養親」が1次的,とされています(後掲)。
新たな養親は,扶養義務を「積極的に」負担しています。
実際に,通常は同居しているのが通例です。
そこで,「最優先」とされるのです。
勿論,「優先」である養親の扶養が不十分であれば,実親の扶養義務の割合が,結果的に大きくなることになります。
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- 【仙台高等裁判所昭和36年(ラ)第100号扶養審判に対する即時抗告事件昭和37年6月15日】
元来養子と実親との血族関係は養子縁組によつて何らの影響を被むることなく従前のまゝ継続し、従つて養子に対する実親の扶養義務も縁組にかかわりなく依
然として存続するものではあるが、未成熟子の養子が実親との共同生活を離れ、養子との新たな共同生活に入るような普通一般の縁組の場合には、その当事者の
意思からいつても、養子制度の本質からいつても、未成熟養子に対する扶養義務は先ず第一次的には養親に存し、実親の扶養義務は次順位にあるものと考えてよ
いであろう。
しかし本件においては前記のように、ウメは養母であると同時に実母であつて、養子縁組といつてもその実態はもともとウメの非嫡出子にすぎなかつた相手方
を、ウメの嫡出子とするための意義しかもたず、いわば名を養子制度に借りたという程度のものでしかない。従つて相手方に対する抗告人とウメとの扶養義務に
へき右普通一般の養子縁組の場合と同様その間に順位を考えることは不当であり、抗告人にとつては嫡出子であり、抗告人にとつては非嫡出子ではあるが、いず
れも実親であることから見て、その扶養義務に先後はなく同順位であり、各自いわゆる生活保持義務としてその資力に応じて相手方が自ら自活の道を立てること
ができるまでその扶養料を分担すべきものと解するのが相当である。
【札幌家庭裁判所小樽支部昭和46年(家)第277号調停条項変更申立(扶養に関する処分)事件昭和46年11月11日】
そこで養親と実親との未成熟子に対する扶養義務の順位について考えるに、一般に民法上扶養義務の順位については明文の規定が存しないが、現在の養子制度
は未成年子の保護養育を主たる目的とし、縁組は子の福祉と利益のためになされなければならないものであり、未成年子との養子縁組には子の養育を、扶養をも
含めて全面的に引受けるという合意が含まれているものと解される。換言すれば養子縁組には親子の愛情による結合と親の愛情をもつて監護養育の実質が伴わな
ければならないものであり、縁組には養親がかような結合と実質を伴つた親としての役割を果すという合意が含まれているものと解される。従つて実親との関係
は扶養をも含めて一定の範囲で制限されるものと考えることができ、養親が資力がない等の理由によつて充分に扶養の義務を履行できない場合を除いては、実親
の扶養義務は順位において養親のそれに後れるものと解すべきである。即ち、養子の実親は養親と同程度ではあるが、次順位で扶養義務を負うものと解すべきで
ある。
【長崎家庭裁判所昭和51年(家)第87号養育料増額申立事件昭和51年9月30日】
申立人両名は自己の直系卑属(孫)であり、未成熟子である事件本人を養子とし、一体的共同生活を営んでいるものであるから、このような場合、事件本人の実
母も申立人らと生活を共にしながら、事実上事件本人に対する監護権を代行しているとしても、通常一般の縁組と同様、未成熟子である事件本人の福祉と利益の
ために、親の愛情をもつてその養育を、扶養をも含めて全面的に引受けるという意思のもとに養子縁組をしたと認めるのが相当であつて、このような当事者の意
思からいつても、養子制度の本質からいつても、事件本人に対する扶養義務は先ず第一次的に養親である申立人両名に存し、養親が親としての本来の役割を果し
ているかぎり、実親の扶養義務は後退し、養親が資力がない等の理由によつて充分に扶養義務を履行できないときに限つて、実親である相手方は次順位で扶養義
務(生活保持の義務)を負うものと解すべきである。
また、家庭裁判所の許可を要せずして養子縁組をすることができるような場合に、もし養親たるべき者の養子縁組の意思が、未成熟子の親権者となつていない
実親からの扶養料を目当てにし、或いは実親の資力如何によつて左右されることがあるとすれば、それは養子縁組の本質に反するものであるのみならず、親権者
でない実親にとつても、資力が充分あつて家庭的、人格的諸事情にも欠けるところがなく、しかも子を引取る意思を有しているのにかかわらず、養子縁組につき
その意思を何ら問われることもないままに縁組が結ばれて、養親と同順位で生活保持の義務を負うに至ることは不合理であつて、この点からも、実親の扶養義務
は第二次的なものとするのが妥当といわなければならない。
- Q&A離婚時に「(元)妻が再婚したら,養育費は打ち切る」という書面に調印してあれば,養育費支払いを
止め
ても良いのですね。
- 養育費支払義務は消滅しない可能性があります。
簡単に言えば,再婚相手の収入が低くて,父(元夫)が養育費支払いを打ち切った場合に子供が苦境に陥る,という場合は,「養育費を打ち切る」という合意は
無効となる可能性が高いです。
その理由は,養育費をもらう,というのは子供の権利だからです。
権利者以外が勝手に合意して,権利者が困るというのは不合理だ,ということです。
逆に,再婚相手が裕福で,養育費を打ち切っても特に困ることはない,という場合は,「打ち切る」という合意は有効と考えられるでしょう。
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- Q&A戸籍の届出で「証人」が必要な場合はどのようなものがありますか。
- 婚姻,離婚,養子縁組,離縁 の4つです。
要は,結婚とその解消,養子縁組とその解消,ということです。
条文では,民法739条,764条,799条,812条で規定されています。
これらはいずれも「2名の当事者の意思の合致だけで成立する」イベントです。
ちょっと視点を変えると「虚偽の届出」がしやすいのです。
裁判所や役所による「意思の合致」に関する証明書の添付が必要とされていないからです。
勿論,証人含めて結託すれば「虚偽の届出」は,物理的には可能でしょう。
しかし,その場合,証人含めて「公正証書原本不実記載等」の犯罪が成立します。
刑法157条1項で,法定刑は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金,とされています。
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子供との面会(面接交渉権)
- Q&A
離婚後も子どもと面会することは可能ですか。
- 可能です。
同居していない親には,面会したり,電話や手紙などの方法で連絡をとるなど,子どもと接する権利が認められています。
これを面接交渉権といいます。
しかし,この権利は子どもにとって有益なものとなるよう保護されているので,子どもの利益と福祉を基準として認められます。
- Q&A離婚して,子供を妻が引き取ることになっています。
子供との面会について書面にしておいた方が良いでしょうか。
- 離婚協議書などの書面に調印しておく方がベターです。
親権については,双方で合意に至ったとしても,その後子供との面会について,トラブルになることもあります。
そこで,面会の頻度や場所などについて書面にしておく方が良いです。
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- Q&A子供との面会について書面にする場合,どのような内容を書くべきでしょうか。
- 面会の頻度・場所,場合によっては電話や手紙での連絡も盛り込むこ
とも
あります。
当然ですが,面会については,その時点における,子供本人の意向や心身のコンディションで実施方法を考えるべきです。
そこで,大まかな頻度だけ特定しておく条項を使うケースが比較的多いです。
典型的なケースの1例のサンプルと,場合によっては盛り込む項目のリストを以下示しておきます。
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- 【面接交渉の条項サンプル】
※甲=夫,乙=妻,丙=子供
乙は,2か月に1回程度,甲が丙と面接交渉することを認める。その具体的な日時,場所,方法等については,丙の情緒安定に十分に配慮しつつ,甲・乙間で誠
実に協議して定める。
- 【面接交渉に関する協議事項サンプル】
・面会の頻度(例;○か月に1回)
・面会場所(例;レストランや遊園地など)
・面会場所までのアクセス方法(連れて行くor迎えに行く)
・面会時間(例;3時間,とか,夏休みには2泊3日,とか)
・面会時刻(例;偶数月の第1日曜日)
・連絡方法
・子供と手紙・メールのやりとりを認めるか
・学校行事への参加(例;授業参観,運動会等父母の参加する行事への参加)
・子供の都合が悪い場合(拒否した場合)の対処法(例;別の日程に変更する)
- Q&A離婚をして妻が子供を引き取りました。
子供との面会については離婚協議書に書いてあります。
しかし,妻が一向に子供に会わせません。
養育費の支払いを止めたいのですが,大丈夫でしょうか。
- 子供との面接交渉と養育費はまったく別モノです。
仮に養育費支払いを止めると差押を受ける危険性があります。
お気持ちとしては,子供との面会と養育費が引き換え交換,という感覚はおありと思います。
しかし,法的にはまったく別のものです。
「相殺」とか「同時履行(交換条件)」というようなことは理論としては成り立ちません。
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- Q&A(元)妻が子供に会わせてくれません。どうしたら良いでしょうか。
- まずは,子供との面接交渉の調停,を家庭裁判所に申し立てます。
子供との面接交渉の調停で,元奥様と協議をして,具体的なお子様との面接の方法などについて定めます。
仮に協議がまとまらない,とか,元奥様が調停に出席しない,ということがあれば,家庭裁判所は「審判」として適切な面会方法について決めてくれます。
なお,既に離婚の調停や訴訟を行っていて,調停調書・和解調書・判決書に面接交渉のことが書いてあれば,重ねて面接交渉の調停を行う必要はありません。
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面接交渉権の強制執行
- Q&A面接交渉の調停(審判)をした後も,元妻は頑として子供に会わせません。
どうしたら良いでしょうか。
- 履行勧告か強制執行の手続きを利用します。
履行勧告というのは,家庭裁判所が相手方に対し,文字どおり「履行を勧告」してくれる手続きです。
正式な書面で通知することがほとんどです。
しかし,これは強制力がありませんので,あくまでも「促す」だけです。
手軽な手続きです。
最初にとりあえず,トライアルで利用してみる,という使い方は良いと思います。
また,より正式な手続きとして「強制執行」を家庭裁判所に申し立てるということも可能です。
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- Q&A子供との面会の強制執行を申し立てるとどのようにして実現してくれるのですか。
- 面会を拒否し続けた場合,一種の「罰金」を払うよう命じてくれます。
正確には,期限までに履行(子供との面会をさせること)をしない場合は,「間接強制金」を払うことを裁判所が命じるのです。
さすがに,直接裁判所から執行官が元奥様のところに行って,子供を抱きかかえてきてくれるわけではありません。
ペナルティ(間接強制金)でプレッシャーをかけるという趣旨です。
心理的プレッシャーをかけて,その結果履行することを狙う,という間接的な方法です。
「間接強制」と呼ばれています。
子供との面会,という類型では間接強制という方法が採られることになっています(後掲裁判例)。
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- 【大阪高等裁判所平成13年(ラ)第1295号間接強制申立却下決定に対する執行抗告事件平成14年1月15日(抜粋)】
すなわち,家庭裁判所の調停又は審判によって,面接交渉権の行使方法が具体的に定められたのに,面接交渉義務を負う者が,正当の理由がないのに義務の履行
をしない場合には,面接交渉権を行使できる者は,特別の事情がない限り,間接強制により,権利の実現を図ることができるというべきである(家事審判法15
条,21条但書き参照)。
3 上記1の事実によれば,相手方は,抗告人との間で,成立した調停において,面接交渉について具体的な合意をしながら,平成13年5月以降,2度の履行
勧告を受けながら,義務を履行していないのであるから,抗告人が相手方に対し,間接強制の申立てをすることは許されるというべきである。
4 以上のとおりであるから,これと異なる原決定は相当でないから取り消すこととし,さらに,間接強制の申立てに対する決定をするには,相手方の審尋が必
要であるから(民事執行法172条),本件を原審裁判所に差し戻すこととする。
- Q&A子供との面会をさせない場合の間接強制金の金額はどのくらいになるのですか。
- 養育費と同程度,ということが多いです。
裁判所は,「面会させない場合のペナルティ」として,相手方にとってプレッシャーとなるような金額を定めます。
要は,相手方の経済状況によって変えるわけです。
収入が特に高い場合は,20万円という例もあります。
平均的には3~5万円程度ということが多いです。
養育費の金額と同じということが多いです。
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- Q&A間接強制の命令が出た後も,元妻は子供との面会をさせません。
どうやって間接強制金を払わせるのでしょうか。
- 相手方名義の財産を差し押さえることになります。
最後は,例えば相手方名義の預貯金や給与を差し押さえるということになります。
預貯金も収入も,その他めぼしい財産がない,という場合,実際には「相手方の逃げ得」という状況になります。
後は,そのような非常識かつ裁判所をバカにした態度を延々と続けるような場合は,「親権者の変更」が認められる可能性も出てくるでしょう。
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- Q&A子供との面会が認められないということはないのでしょうか。
- 特殊な事情があり,子供本人にとってその時点では父(または母)と
の面
会は支障があるという場合は,面会が認められないこともありま
す。
面接交渉が認められない典型例は次のようなものです。
<面接交渉が制限される例>
・同居の時点(以前)から子供に接する態度が良くなかった
・子供に暴力をふるう危険性がある
・子供が拒否している
・親同士の対立が激しい→面会により悪口を吹き込むなどの危険性がある
・面会を求める理由が不適切(母(または父)の現在の状況をさぐる目的など)
・面会を認めた場合に,母(または父)が危害を受ける危険性がある
・子供の情緒不安定を招来する(母(または父)の再婚など)
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子供の苗字
- Q&A
離婚後に子供の苗字を変更することができますか。
- 妻が子供を引き取った場合でも,夫の姓を名乗ることになります。
そのような場合,家庭裁判所の許可が出れば親子で同じ姓を名乗ることができるようになります。

