弁護人
- Q&A
依頼を受けたらどんなことをしてくれますか。
- A 起訴の有無によって変わります。
1 依頼者がまだ起訴されていない場合
・被疑者と面会し,事件詳細の聴取,今後の手続き説明,体調・精神状態の確認
激励・家族からの伝言伝える。
・証拠収集
・示談交渉
・勾留阻止に向けて交渉
・勾留が決定してしまったら,決定に対して不服申し立て。
・勾留が取り消されない場合,勾留期間が延長されないようにする。
2 依頼者が既に起訴されている場合
・証拠収集
・示談交渉
・勾留されている場合,保釈に向けて活動。
・被告人と面会し,裁判の方針相談,精神状態のケア,体調確認。
・検察が提出する証拠の精査,検察の主張に対する反論
- Q&A
刑事さんから「弁護士付けると不利になるからやめといた方が」と言われたけどどうでしょうか。
- A 弁護士に依頼して不利になる事はなく,むしろ早い段階で依頼するほうが,不起訴に向けた活動ができたりするので望ましいです。
国選弁護と私選弁護
- Q&A
国選弁護人と私選弁護人との違いは何でしょうか。
- A 国選弁護人は原則,起訴されてから国が選任しますが,私選弁護人は起訴される前でも選任できるため,不起訴や起訴猶予に向けて動く事がで
きます。
なお,対象事件によっては被疑者段階でも国選弁護人が付される事もあります。
- Q&A
被疑者段階で国選弁護人を付けることができるのはどんな案件ですか。
- A 被疑者国選の対象事件は,死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる事件です。
- Q&A
国選弁護の場合,国が選任するので,被疑者・被告人はお金を払わなくて良いのですよね。
- A 被疑者・被告人が費用を負担することもあります。
確かに,国が選任して,国が報酬を国選弁護人に支払います。
しかし,この「費用」は「訴訟費用」の一環となり,被疑者・被告人が負担することもあります。
まず,「刑の言渡」があった時は,原則として被告人負担で,例外として貧困で厳しい時は免除とされています(刑事訴訟法181条1項)。
そして,被告人に負担させる場合は,「裁判」をすることになっています(刑事訴訟法185条)。
具体的には,判決主文(懲役~年,など)の後に「訴訟費用は被告人の負担とする」とか読み上げられることになります。
次に,被疑者国選についても,その後起訴されれば,訴訟費用の一環に組み入れられます。
被疑者国選が付いて,起訴されなかった場合は,検察官が裁判所に申立(請求)をすれば,裁判所が負担させるべきかどうかを判断することになっています(刑
事訴訟法187条の2)。
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- Q&A
実際に,どのような場合に,国選弁護の費用を被告人が負担するのでしょうか。
- A 実情として,経済的に支払が可能かどうか,をベースにして判断されます。
さらに大雑把な傾向は次のとおりです。
懲役(禁固)刑で実刑 → 被告人の負担なし
執行猶予 → 被告人が負担する
要は,その後刑務所に行くかどうか,とリンクしている傾向にあるわけです。
社会に戻された場合は,働けるから支払える,という趣旨です。
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- 【参考条文 刑事訴訟法(抜粋)】
181条
刑の言渡をしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが
明らかであるときは、この限りでない。
185条
裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用を負担させるときは、職権でその裁判をしなければならない。この裁判に対しては、本案の
裁判について上訴があつたときに限り、不服を申し立てることができる。
187条の2
公訴が提起されなかつた場合において、訴訟費用を負担させるときは、検察官の請求により、裁判所が決定をもつてこれを行う。この決定に対しては、即時抗
告をすることができる。
- Q&A
「訴訟費用」を被告人が負担する場合,国選弁護人の報酬以外は含まれないのですか。
- A 「訴訟費用」には国選弁護人の報酬以外に,証人の旅費・日当なども含まれます。
「訴訟費用」の内容を列挙すると次のとおりです。
<訴訟費用の内容>
証人の旅費,日当,宿泊料
鑑定人,通訳人,翻訳人の鑑定料等
国選弁護人の旅費,日当,宿泊費,報酬
- Q&A
訴訟費用の負担を命じられた場合,撤回してもらうことはできないのですか。
- A 「訴訟費用の負担の裁判」自体に対しては,単独で不服申立できません。
「執行免除」の申立という制度はあります。
執行免除の申立,という制度があります(刑事訴訟法500条)。
免除されるためには,「貧困のため完納できない」ということを立証しなくてはなりません。
この申立期間は判決確定後20日以内となっています。
例えば判決確定後1か月金策を頑張ったけどダメだった,という場合は既に申立ができなくなっています。注意が必要です。
- 【参考条文 刑事訴訟法(抜粋)】
500条
訴訟費用の負担を命ぜられた者は、貧困のためこれを完納することができないときは、裁判所の規則の定めるところにより、訴訟費用の全部又は一部につい
て、その裁判の執行の免除の申立をすることができる。
2 前項の申立は、訴訟費用の負担を命ずる裁判が確定した後二十日以内にこれをしなければならない。
逮捕・勾留
- Q&A
どのような場合に逮捕されるのですか。
- A 逃亡の可能性,がポイントとなります。
逮捕されるかどうかは,罪の内容も重要ですが,それだけで決まるわけではありません
,罪を認めているかどうか,示談しているかどうか,職業,同居人などがポイントとなります。
・罪の内容→重い罪→逃亡する可能性大→逮捕される方向
・前科や前歴がある→今回は罪が重くなる→逃亡する可能性大→逮捕される方向
・罪を認めない(否認)→逃亡する可能性大→逮捕される方向
・示談成立→罪が軽くなる
・反省している→逃走しない→逮捕されない方向
・職場で責任ある立場にある→その地位を捨てる可能性は低い→逃亡の可能性小→逮捕されない方向
・妻子と同居している→その環境を捨てる(壊す)可能性は低い→逃亡の可能性小→逮捕されない方向
なお,実務では最近運用が変わってきており,全体的に以前よりは逮捕しない傾向になりつつあります。
- Q&A
逮捕された場合,いつ家に帰してくれるのでしょうか。
- A 次のように身柄拘束の時間制限が決まっています。
48時間以内に検察官に送致されなければ釈放されます。
検察官送致の後,釈放又は24時間以内(逮捕から72時間以内)に検察が勾留を請求できます。
裁判官が勾留の必要ありと判断すれば,原則10日間勾留されます。
やむをえない事由があれば,さらに勾留が10日間延長されます。
- Q&A
逮捕(勾留)された場合にできる事は何でしょうか。
手紙,面会等について気になります。
- A 接見禁止の場合,一般の方の手紙受け渡しや面会はできなくなります。
ただし,弁護士であれば,強力な接見交通権がありますので,被疑者,被告人と,立会人なしで迅速に接見できます。
また,弁護士であれば,手紙を渡す事や,伝言も可能です。
起訴便宜主義
- Q&A【起訴便宜主義】
警察から捜査を受けてましたが,その後裁判にならなくて済むということがあるのですか。
- A 検察は起訴するかしないかの裁量があります。起訴しないこともあります。
裁判にかける(公判請求や略式起訴)か,かけないか,は検察官が判断します(起訴独占主義;刑事訴訟法247条)。
その検察官の判断には広い裁量が認められています(起訴便宜主義;刑事訴訟法248条)。
統計上,検察官は立件された事案の半数程度を不起訴処分としています。
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- 【刑事訴訟法】
第二百四十七条 公訴は、検察官がこれを行う。
第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。
不起訴処分
- Q&A【不起訴処分の種類】
どのような場合に起訴されなくて済むのでしょうか。
- A 証拠がない,証拠があるけど不十分,証拠は十分だけど被疑者の状況などから政策的に起訴は止めておく,という3種類に分けられます。
<不起訴処分の種類>
1 起訴猶予
証拠は十分ではあっても,被疑者の状況から,敢えて手続きを終了させて,「自発的更正」に期待する,というものです。
条文(刑事訴訟法248条)では,次のような判断要素が記載されています。
<起訴猶予の判断要素>
・被疑者の性格,年齢,境遇
・犯罪の軽重
・情状
・犯罪後の情況
2 嫌疑不十分
証拠が乏しい場合は,仮に公訴提起をしたとしても,立証不十分で無罪となる可能性があります。
仮に無罪ということになれば,重大な人権侵害であり,政府が刑事補償の責任を負うという大問題になります(憲法40条,刑事補償法)。
そこで,検察官は公訴提起の際は証拠が揃っているかどうかを慎重に検討するのです。
なお,この場合,検察内部での裁定(決裁)においては,「嫌疑不十分」という主文になります(事件事務規程72条2項18号)。
【日本国憲法】
第40条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
【事件事務処理規定72条2項18号】
(18)嫌疑不十分 被疑事実につき,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき。
3 嫌疑なし
証拠がないために不起訴処分とすることです。
典型例は,「真犯人が発見された」場合,つまり,「誤認捜査・逮捕」だった場合です。
【事件事務処理規定72条2項17号】
(17)嫌疑なし 被疑事実につき,被疑者がその行為者でないことが明白なとき又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なとき。
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- Q&A【起訴猶予獲得のポイント】
どのようにしたら起訴猶予を勝ち取れますか。
- A 示談・被害弁償の努力がポイントです。弁護人のがんばりどころです。
起訴猶予となれば,裁判を受けること自体から解放されます。
実質的には「無罪判決以上」とも言えましょう。
重要なポイントをまとめます。
<起訴猶予を獲得するポイント>
・被害が大きくない
・被害弁償をしている
・被害者の処罰感情の程度が低い
・前科・前歴がない(少ないか,あっても長期間が経過している)
・強く反省している態度が表れている
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- Q&A【不起訴処分と前科】
捜査を受けました。弁護士からアドヴァイスをもらって,正直に自白して反省していました。
不起訴処分にしてもらえました。
前科がついてしまうのでしょうか。
- A 前科にはなりません。
「起訴猶予」の場合は,証拠は万全だけど政策的に起訴しない,という趣旨です。
犯行自体は明白になっています。
しかし,「前科」とは,有罪判決を受けた場合のことです。
起訴猶予は判決ではありません。裁判所ではなく検察官の判断です。
「前科」に該当することはありません。
だからこそ,不起訴処分の獲得は非常に貴重なのです。
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- Q&A【不起訴処分告知書】
不起訴処分というのは判決書みたいな書類でもらえないのですか。
- A 不起訴処分告知書,という書面で検察官から発行してもらえます。
不起訴処分,というのは検察官の職務として大きなものです。
当然,被疑者を含む当事者にとっても重大な意義のあるものです。
そこで,書面で結果を受け取ることができるようになっています。
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- 【刑事訴訟法】
第二百五十九条 検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない。
第二百六十条
検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人
に通知しなければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも、同様である。
第二百六十一条 検察官は、告訴、告発又は請求のあつた事件について公訴を提起しない処分をした場合において、告訴人、告発人又は請求人の請求があるときは、速やかに告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。
【事件事務規程】
(処分通知)
第58条 検察官が刑訴第260条の規定により処分の通知をする場合には,処分通知書(様式第96号)による。

再起
- Q&A【不起訴と一時不再理(再起)】
不起訴処分,が決定された後はその件でやっぱり裁判にかける,ということにはなりませんか。
- A 不起訴処分後に公訴されることもあります。
有罪や無罪の判決が確定したら,その後に裁判をやり直すことは禁じられています。
二重の危険を排除するという趣旨の制度で,「一時不再理」と呼ばれています(憲法39条,刑事訴訟法337条1号)。
しかし,「不起訴処分」は検察官の処分です。裁判ではありません。
「確定」という概念もありません。
そこで,再び捜査,起訴するということは法的に禁じられていません。
特殊な事情がある場合は,後日捜査が再開され,公訴されることもあります。
これを「再起」と呼んでいます。
典型例(極端な例)は,被害者への攻撃的なこと(報復)をしている,などです。
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- 【日本国憲法】
第39条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
【刑事訴訟法(抜粋)】
第三百三十七条 左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。
一 確定判決を経たとき。
【事件事務規程(抜粋)】
第2条 事件の受理手続は,次の場合に行う。
(6)不起訴処分又は中止処分に付した事件を再起するとき。
公判
- Q&A
刑事裁判にはどの位時間がかかりますか。
- A 単純な事案では起訴後3か月程度で判決が言い渡されています。
これは,事実に争いがなく,情状面が審理のメイン,という単純な場合の平均的な例です。
事件の種類や内容によって大きく違う場合もあります。
- Q&A
刑の重さはどのように決まるのですか。
- A 情状が重視されます。
まず,法令によって,『○○罪を犯した者は○年以上○年以下の懲役』というように刑の範囲が決まっています。
その上で,一切の事情(情状)を考慮して量刑が決定されます。
一切の事情とは,犯行の動機や犯行方法,被告人の年齢,前科の有無,反省しているかどうか等です。
執行猶予
- Q&A
執行猶予がつくとどうなりますか。
- A 執行猶予がつくと,猶予期間に再度犯罪を犯したりしなければ執行を免除されます。
例えば,懲役3年執行猶予1年の場合,刑の言い渡しから再犯せずに1年を経過すれば,執行を免れます。
つまり,判決後すぐに釈放され,刑務所に行かなくても良いことになります。
保釈
- Q&A
保釈が認められる場合はどんな場合ですか。
- A 証拠隠滅や逃亡の恐れがなければ認められることになっています。
しかし,実際には,重大犯罪で刑が重いと予想される場合や無職の場合などは,逃走してもおかしくないと判断されて保釈を認めないという可能性が高くなりま
す。
- Q&A
保釈金は返してもらえるのでしょうか。
- A 裁判が終わるまで逃亡や証拠隠滅等をしなければ,有罪でも無罪でも返還されます。
逃亡したりすると,没収されることになります。
保釈保証金相場
- Q&A
保釈金はどのくらいの金額ですか。
- A 初犯で,平均的な事情であれば,150万円~200万円程度になることが多いです。
正確には保釈保証金と言います。
保釈保証金の金額は,被告人の経済状況や予想される刑の重さによって変わってきます。
逃亡等を断念する程度の金額,とされています。
具体的には,初犯で,平均的な事情であれば,150万円~200万円程度になることが多いです。
あくまでも平均的なケースですので,実際には上下に大きくぶれることもあります。

