1 自家用自動車の共同使用許可の廃止
2 自家用自動車の共同使用の規制の趣旨
3 過去の共同使用の具体例
4 共同使用の規制の必要性の変化
5 共同使用の規制の廃止
6 平成18年改正前の道路運送法の条文規定
7 シェアリングエコノミーによる共同使用の復活(概要)

1 自家用自動車の共同使用許可の廃止

以前は『自家用自動車の共同使用』について法規制がありました。
平成18年に廃止され,現在に至っています。
本記事では自家用自動車の共同使用の規制について説明します。
まずはこの規制が廃止された時期についてまとめます。

<自家用自動車の共同使用許可の廃止>

あ 許可制の廃止

『自家用自動車の共同使用』について
以前は許可が必要であった
※道路運送法79条(平成18年改正前)
平成18年の道路運送法改正によって廃止された

い 道路運送法平成18年改正の時期

平成18年5月19日公布
平成18年10月1日施行
※道路運送法施行期日政令(平成18年政令275号)

2 自家用自動車の共同使用の規制の趣旨

複数人で1台の自動車を利用すると,運転した者が対価をもらう,ということが生じやすいという背景があると考えられていました。
これが共同使用を規制する理由でした。

<自家用自動車の共同使用の規制の趣旨>

あ 運送事業との類似性

自家用自動車の共同使用について
当事者が多数にわたる場合
自動車の保守・納税その他の管理関係を明確にするため
特定の者を選びその任務に当たらせることが必要となる
運送事業に類似してくることが多くなる

い 運転者派遣の可能性

管理人が法人であり,運転者の派遣を行う場合
→その実質は運送事業と差がなくなる

う 規制の理由

自家用自動車の共同使用について
事業許可の脱法行為として行われるリスクがある
→運送事業を許可制とした趣旨を没却することになる
※国土交通省自動車交通局旅客課『Q&A 改正道路運送法の解説』ぎょうせい2006年p103

3 過去の共同使用の具体例

実際に共同使用の許可を得て運用された具体例を紹介します。

<過去の共同使用の具体例>

あ 自動車提供の持ち回り

従業員の送迎を共同で実施する
目的=輸送の効率化・経費の削減

い 複数事業者による使用

ア 発想
遊休時間帯に自動車を他の輸送のために活用する
イ 具体例
幼稚園バスとしての遊休時間帯について
→スイミングスクールの送迎に使用する
※国土交通省自動車交通局旅客課『Q&A 改正道路運送法の解説』ぎょうせい2006年p104

4 共同使用の規制の必要性の変化

共同使用の規制が運用されている間に,社会・経済は大きく発展しました。
これが,規制の必要性がなくなることにつながります。

<共同使用の規制の必要性の変化>

あ 社会の変化(※1)

モータリゼーションが進展した
自動車が広く一般に普及した
自動車の保有,使用は容易となった
→『自動車を共同で使用する』ニーズが減少した

い 改正前の規制緩和の状況(※2)

有償貸渡事業の参入規制が免許制から許可制に緩和された
一定の条件さえ満たせば参入が可能(自由)となっていた
→『有償貸渡の許可を仮装して避ける』ニーズが減少していた
※改正前の道路運送法80条
※国土交通省自動車交通局旅客課『Q&A 改正道路運送法の解説』ぎょうせい2006年p104

5 共同使用の規制の廃止

前記のような社会の変化によって,共同使用の規制は必要なくなり,廃止されることになりました。

<共同使用の規制の廃止>

あ 仮装的『共同使用』の実用の消滅

社会の変化や規制緩和(前記※1,※2)により
『自家用自動車の共同使用』を仮装するケース(い)は想定しにくい

い 仮想的な共同使用の活用の内容

実態は有償貸渡や運送事業の許可を要するサービスである
形式的に『自家用自動車の共同使用(の許可)』を用いる
要するに脱法行為である

う 許可制の廃止

自家用自動車の共同使用の許可制について
引き続き参入規制を維持する必要はなくなった
→許可の制度を廃止した
※国土交通省自動車交通局旅客課『Q&A 改正道路運送法の解説』ぎょうせい2006年p104

6 平成18年改正前の道路運送法の条文規定

現在の道路運送法には『共同使用』の規定は既に存在しません。
平成18年前の共同使用の規定を紹介します。

<平成18年改正前の道路運送法の条文規定>

(共同使用の許可)
79条 自家用自動車を共同で使用しようとする者は,国土交通大臣の許可を受けなければならない。
2 国土交通大臣は,自家用自動車の共同使用の態様が自動車運送事業の経営に類似していると認める場合を除くほか,前項の許可をしなければならない。

7 シェアリングエコノミーによる共同使用の復活(概要)

社会は絶えず変化します。
現在はシェアリングエコノミーが普及しています。
自動車のシェアリングサービスもその1つです。
以前,社会でニーズがなくなった『自動車の共同使用』が復活したような状況です。

<シェアリングエコノミーによる共同使用の復活(概要)>

あ 高度成長期

自動車が広く一般に普及した
自動車を所有することがありふれたことになった
→『自動車を共同で使用する』ニーズが減少した
→平成18年に自動車の共同使用の許可制が廃止された
詳しくはこちら|自家用自動車の共同使用許可の廃止(平成18年改正の経緯)

い シェアリングエコノミーの普及

財産を『所有する』こと自体の価値・優越感は減少してきた
ITの爆発的な普及により『貸し借りのマッチング』が容易になった
財産を所有せず『シェアする』ことが普及している
詳しくはこちら|シェアリング・エコノミー|基本|定義・マーケット・法規制
→『自動車を共同で使用する』ニーズが急増している
詳しくはこちら|カーシェア(自動車の貸し借り)全般のメリットと普及

いったん高度成長期に終わった流行りがITの普及で復活したといえましょう。
自動車のシェアリングについての現行法の規定との抵触は不明確としか言いようがありません。
これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|CtoCカーシェアと法規制(共同使用・使用者・『業』の解釈と考察)