1 出資金・預り金の規制の立法趣旨
2 出資金・預り金に関する罰則の法的性質
3 旧貸金業取締法と出資法の関係

1 出資金・預り金の規制の立法趣旨

出資法では出資金・預り金が規制されています。
本記事では出資金・預り金の規制の制度の趣旨について説明します。
まずは,立法趣旨についてまとめます。

<出資金・預り金の規制の立法趣旨>

あ 出資金の受入制限の立法趣旨

元本保証を禁止する趣旨
→虚偽の説明で出資者の判断を誤らせることを防止する
一般大衆が不測の財産的損害を被ることを早期に防止する
『誇大広告禁止の規定』と呼ばれることもある
※津田実『出資の受入,預り金及び金利等の取締等に関する法律』曹時6巻7号p25

い 預り金の禁止の立法趣旨

次の2つの趣旨がある
『ア』が主なものである
ア 一般大衆の財産の保護
預金などをする一般大衆の地位を保護する
→『あ』と同内容である
イ 社会の信用制度・経済秩序の維持
一定の事業を免許や認可を受けた金融機関に限定している
例;銀行・信用金庫
→この制度を保護する
※最高裁昭和36年4月26日
※田中晴雄『出資法による預り金の規制と憲法29条の関係〜『不特定かつ多数の者』の意義』/『判例経済刑法大系第2巻』日本評論社p95〜
※鶴田六郎『出資の受入,預り金及び金利等の取締等に関する法律2条1項にいう『預り金』に当たるとされた事例』捜研33巻4号p27参照
※京藤哲久『出資法の預り金・出資金規制について』/『西原春夫先生古稀祝賀論文集第3巻』成文堂p343〜
※真島信英『出資法第2条における預り金の禁止』亜細亜法学43巻2号p75〜

2 出資金・預り金に関する罰則の法的性質

出資金・預り金ともに違反行為には罰則が適用されます。上記の立法趣旨から,罰則の法的性質は,抽象的危険犯と位置付けられています。

<出資金・預り金に関する罰則の法的性質>

立法趣旨はいずれも社会全体の法益保護である
→罰則は抽象的危険犯である
※野村稔『経済刑法の論点』現代法律出版p142〜
※中空壽雅『テナントから出資金の名目で預り金を受入れた行為と出資法2条』/『判例経済刑法大系第2巻』p131参照

3 旧貸金業取締法と出資法の関係

過去に,旧貸金業取締法で預り金が規定されていました。その後,出資法に規定され,旧貸金業取締法は廃止されたという経緯があります。
2つの法律における規定はまったく同じではありません。しかし,実質的には違いはないと考えられます。そのため,旧貸金業取締法に関する裁判例などの解釈論は,現在の出資法の規制にも流用できると言えます。

<旧貸金業取締法と出資法の関係>

あ 解釈論

出資法2条2項2号の『借入金・社債』は例示である
実質的な『預金』の機能・サービスを規制するものである
→『預り金』の意義は旧貸金業取締法と出資法に実質的差異はない
※齋藤正和『新出資法〜条文解釈と判例解説〜』青林書院p95
※高橋幹男『最高裁判例解説刑事篇昭和31年度』法曹会p295参照

い 実務的な意義

従前の旧貸金業取締法に関する判例の解釈論について
→現在の出資法の解釈でも流用できる