【宅建業法|『媒介』×情報提供行為|タネ屋|競売物件紹介の特殊性】

1 媒介×情報提供行為|基本
2 情報提供|実例|タネ屋|事案
3 情報提供|実例|タネ屋|行政判断
4 情報提供|実例|サービスセンター
5 媒介×競売物件の紹介

1 媒介×情報提供行為|基本

宅建業法の『媒介』の定義は解釈が問題となることが多いです。
詳しくはこちら|宅建業法|『媒介』定義・解釈論・認定の傾向|法的性質
『媒介』の解釈の中で『情報提供』の位置付けをまとめます。
最近の新たなビジネスモデルで問題となることがよくあります。

<媒介×情報提供行為|基本>

あ 前提事情

物件の取引に関する情報を提供するだけの行為
契約成立に向けた交渉・あっせんを含まない

い 提供情報|内容

売り情報・買い情報
賃貸の希望

う 『媒介』該当性

『紹介』そのものである
→『媒介』には該当しない
※宅建業法2条2号
※岡本正治ほか『改訂版逐条解説宅地建物取引業法』大成出版社p70
※岡本正治ほか『全訂版 不動産仲介契約』大成出版社p104

2 情報提供|実例|タネ屋|事案

『タネ屋』に関する行政判断があります。
まずは事案内容をまとめます。

<情報提供|実例|タネ屋|事案>

あ サービス内容

Aが宅建業者に物件情報を提供する
情報提供者A=宅建業者ではない
提供情報=宅地建物の売買・交換・賃貸などの情報
専門的に反復・継続する
宅建業者から報酬or謝礼を受ける

い ネーミング

いわゆる『タネ屋』である
※昭和28年7月10日住企発第42号建設省住宅局長回答
※昭和38年10月8日建設計第108号建設省住宅局長回答

3 情報提供|実例|タネ屋|行政判断

上記事案についての行政の判断をまとめます。

<情報提供|実例|タネ屋|行政判断>

あ 行政判断|原則

Aは取引に直接関与しない場合
→『媒介』に該当しない
=宅建業とは言えない
※昭和28年7月10日住企発第42号建設省住宅局長回答

い 行政判断|例外

Aが宅建業者と共同して取引行為に関与する場合
→宅建業に該当する

う 行政の心配・注意

『タネ屋』の類は,実際には独立して業を行いやすい
その危険性も大である
→取締上特段の留意を願いたい
※昭和38年10月8日建設計第108号建設省住宅局長回答

4 情報提供|実例|サービスセンター

『サービスセンター』が問題となった事案を紹介します。

<情報提供|実例|サービスセンター>

あ 事案・概要

新聞販売店において
読者へのサービスセンターを開設した

い サービス内容=広告内容

土地・建物の売買・賃貸の申し込みを受付ける
期日ごとに全申し込み一覧表を印刷する
氏名の掲載・公表は含まない
全読者にお知らせする
希望者はセンターに申し出れば相手を紹介する
料金・謝礼金は一切不要である

う 行政判断

相手方の氏名の『紹介』程度では情報提供に過ぎない
→『媒介』に該当しない
事業の実態を検討して判定を行う必要がある
※昭和34年7月27日住総発第601号建設省住宅局住宅総務課長回答

5 媒介×競売物件の紹介

『競売物件』の紹介・入手サポートのサービスがあります。
これについては,特殊性から『媒介』が否定されています。

<媒介×競売物件の紹介>

あ 事案

競売物件について
Aは次のような業務を行った

い サポート業務|内容

紹介
現地案内
物件説明
買受手続の助言

う 裁判所の判断|評価

Aが次のような業務を行う余地はまったくない
ア 買受希望者と裁判所の間に立つイ 価格・買受条件の交渉・調整をする

え 裁判所の評価|結論

『媒介』には該当しない
一種のコンサルティング業務である
宅建業法の規制対象外である
※岡山地裁昭和54年9月27日

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