【渋谷区ラブホテル建築規制条例|同意申請・調査・勧告・中止命令】

1 渋谷区ラブホテル建築規制条例|趣旨
2 定義|ホテル等/ラブホテル
3 規制適用除外となる構造・設備
4 ラブホテル建築規制条例|同意申請|基本
5 立入調査・改善勧告・中止命令
6 建築中止命令違反|ペナルティ
7 立ち入り調査拒否|ペナルティ
8 施行時期・経過措置|既得権発生

1 渋谷区ラブホテル建築規制条例|趣旨

渋谷には多くのラブホテルがあります。
一方,渋谷区には,ラブホテルの建築規制のルールがあります。
まずはこの条例の趣旨をまとめます。

<渋谷区ラブホテル建築規制条例|趣旨>

ラブホテルの営業を行う施設の建築に対し必要な規制を行う
→良好な生活環境及び教育環境の実現を目的とする
※渋谷区ラブホテル建築規制条例1条

『民泊』は,通常この趣旨とは合致しません。
しかし状況によっては思わぬ抵触を生じる可能性もあります。
規制内容を以下,順に説明します。

2 定義|ホテル等/ラブホテル

最初に用語の定義を整理します。

<定義|ホテル等/ラブホテル>

あ ホテル等

旅館業法におけるホテル営業・旅館営業・簡易宿所営業のための施設
施設全体がシングルカプセル形態の簡易宿所営業を除く
※渋谷区ラブホテル建築規制条例2条1号
※本記事では『ホテル』という呼称を用いる

い ラブホテル

次のすべてに該当する
ア 『ホテル等』に該当するイ 専ら異性を同伴する客に利用させることを目的とするものであるウ 一定の構造・設備(※1)のうちいずれかを有しない ※渋谷区ラブホテル建築規制条例2条2号

条例の名称・定義語として『ラブホテル』の語が用いられています。
定義の内容は宿泊施設の利用目的で判別することになっています。
そのため『民泊』であっても,評価次第で該当する可能性もあるのです。

3 規制適用除外となる構造・設備

上記の『ラブホテル』の定義で『除外される構造・設備』があります。
『除外される構造・設備』の内容についてまとめます。
仮に『異性同伴目的』の施設であっても,次の『すべて』をクリアすると建築可能となります。

<規制適用除外となる構造・設備(上記※1)>

あ 玄関

外部からフロント及びロビーを見通すことができる
営業時間中に自由に出入りすることができるもの

い フロント

受付・応接の用に供する帳場・フロントなど

う ロビー

自由に利用することができるロビー・応接室・談話室など

え 食堂

食堂・レストラン・喫茶室・これらに付随する厨房・配膳室など

お 会議室

会議室・集会室・大広間など
会議・催物・宴会などに使用する施設のこと

か 通路共用構造

帳場・フロントから各客室に通じる廊下・階段・昇降機などがある
これを利用客が通常使用する構造

き 1人部屋が3分の1以上

小規模個室の床面積の合計が全客室の床面積合計の3分の1以上である構造
小規模個室
ユニットバスを備えている
床面積が18平方メートル以下である

く ダブルベッドが5分の1以下

ダブルベッドが総客室数の5分の1以下である
幅1.4メートル以上のものである

け 窓ガラス遮蔽なし

客室の外部に面する窓ガラスが透明ガラスである
自然光を遮蔽するフィルムが貼りつけてられていない構造

こ 清楚設備

客の性的感情を刺激しない清楚な内部設備
例;内装・照明・装置・装飾品など

さ 素朴な概観

概観が素朴である
青少年の健全育成及び附近の住民の生活環境を損なわない
※面積・階数について一定の制限がある
※渋谷区ラブホテル建築規制条例別表第1

4 ラブホテル建築規制条例|同意申請|基本

ラブホテル建築規制条例の運用の内容を説明します。
まず,ホテル建築時に『同意申請』が必要となります。
ラブホテルに限らず,ホテル全般について同意申請という手続が必要となります。

<ラブホテル建築規制条例|同意申請|基本>

あ 同意申請

ホテルの建築主は予め区長に同意の申請を行う
※渋谷区ラブホテル建築規制条例3条

い 不同意|基準

次のいずれかに該当する場合
→区長は同意できない
ア 建築物がラブホテルに該当するイ 建築物の建築予定場所が禁止エリアに該当する ※渋谷区ラブホテル建築規制条例5条

う 禁止エリア

ア 住居専用地域イ 文教地区 ※渋谷区ラブホテル建築規制条例別表第2

『ラブホテル』に該当すると,場所に関わらず『同意』が得られないのです。
つまり,新たにラブホテルを建築できない状態,と言えます。

5 立入調査・改善勧告・中止命令

ホテル建築時の同意制度には取り締まるルールもあります。

<立入調査・改善勧告・中止命令>

あ 立ち入り調査

区職員は,ホテル・敷地への立ち入り調査をすることができる
※渋谷区ラブホテル建築規制条例10条

い 改善勧告・建築中止命令

ア 前提事情 次のいずれかに該当する
・『同意』を得ないでホテルを建築する者
・虚偽の同意申請によりホテルを建築する者
イ 改善勧告・建物中止命令 区長は改善勧告・建築中止命令を行うことができる
※渋谷区ラブホテル建築規制条例11条1項

6 建築中止命令違反|ペナルティ

ホテル建築の同意制度における違反についてはペナルティがあります。
まずは『建築中止命令』に違反したケースについてまとめます。

<建築中止命令違反|ペナルティ>

あ 違反行為

建築中止命令に応じなかった

い ペナルティ|公表

違反事実が公表される
※渋谷区ラブホテル建築規制条例11条2項

う ペナルティ|罰則

法定刑=懲役6か月以下or罰金50万円以下
両罰規定あり
※渋谷区ラブホテル建築規制条例13条1項,14条

7 立ち入り調査拒否|ペナルティ

次に『立ち入り調査』を拒否した場合のペナルティをまとめます。

<立ち入り調査拒否|ペナルティ>

あ 違反行為

立ち入り調査を拒否・妨害・忌避した

い 罰則

法定刑=罰金10万円以下
両罰規定あり
※渋谷区ラブホテル建築規制条例13条2項,14条

8 施行時期・経過措置|既得権発生

ラブホテル建築規制条例の施行時期・経過措置をまとめます。

<施行時期・経過措置>

あ 施行時期

施行日=平成18年12月15日
※渋谷区ラブホテル建築規制条例附則1条,施行規則附則

い 経過措置

次のいずれかに該当する場合
→条例の規定を適用しない
ア 条例施行時に既に存在するホテルイ 条例施行後の改築 ※渋谷区ラブホテル建築規制条例附則2条

条例施行以降は『新たなラブホテル建築』ができません(前述)。
一方で,既存のラブホテルは規制されません。
マーケットとしては既存のラブホテルの経営権の価値高騰が生じます。
供給が大きく制限される『ショートスクイーズ』の状態と同様になるのです。

<渋谷区ラブホテル建築規制条例・施行規則|オリジナル>

外部サイト|渋谷区|ラブホテル建築規制条例・施行規則

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