1 期間計算|一般ルール・基本
2 期間計算|一般ルール・具体例
3 末日が休日・繰り下げルール
4 期間計算|『休日』×解釈論|古い判例
5 期間計算|『休日』×解釈論|現在の解釈
6 期間計算|『休日』×解釈論|典型例
7 期間計算|『休日』×解釈論|『慣習』関連
8 期間計算|『休日』×解釈論|時効→適用なし

1 期間計算|一般ルール・基本

多くの場面で『期間』が使われます。
期間切れになると一定のアクションが取れなくなるというルールは多いです。
この『期間計算』についての一般的なルールがあります。
本記事では『期間計算』のルールについて説明します。
まずは基本的事項をまとめます。

<期間計算|一般ルール・基本>

あ 日・週・月・年による期間設定

ア 初日不参入
※民法140条
イ 末日の終了時に満了する
※民法141条

い 週・月・年による期間設定

ア 暦に従って計算する
※民法143条1項
イ 応答日の前日に満了する
※民法143条2項

2 期間計算|一般ルール・具体例

上記の期間計算のルールはちょっと分かりにくいです。
具体例を使って説明します。

<期間計算|一般ルール・具体例>

あ 設定された期間・例

『7月6日から2か月』

い 計算プロセス

ア 起算点=7月7日
初日を参入しない
イ 応当日=9月6日
『7日』の『前日』なので『6日』となる
ウ 満了時点=9月6日が終了する瞬間
24時(23時59分の1分後)ということである

3 末日が休日・繰り下げルール

期間計算には例外的なルールもあります。
末日が休日の場合の特別な扱いです。

<末日が休日・繰り下げルール>

あ 前提事情

期間の『末日』が次の両方に該当する
ア 次のような『休日』である
・日曜日
・国民の祝日
・その他休日
イ 『取引をしない慣習』がある
末日の『休日』は,その日に取引をしない慣習がある

い 繰り下げルール

『末日=休日』の終了をもって満了する
『休日』が連続する場合は一連の休日の最終日となる
※民法142条

4 期間計算|『休日』×解釈論|古い判例

期間計算における『休日』ルール(前記)の解釈論を説明します。
まずは古い判例を整理します。

<期間計算|『休日』×解釈論|古い判例>

旧民事訴訟法156条2項の『休日』の解釈に関する判例がある
ア 1月2・3日→該当する
※最高裁昭和33年6月2日
イ 12月29日・30日・31日→該当しない
※最高裁昭和43年1月30日
※最高裁昭和43年4月26日
※最高裁昭和43年9月26日

これらの解釈が現在でもそのまま使われるわけではありません。
現在の解釈論については次に説明します。

5 期間計算|『休日』×解釈論|現在の解釈

『休日』ルールの現在の解釈論をまとめます。

<期間計算|『休日』×解釈論|現在の解釈>

あ 解釈論の構造

現行の民事訴訟法95条3項に期間計算の規定がある
民法142条の解釈もこれが基準となると思われる

い 民事訴訟法・期間計算の規定

次の日が休日と同等の日として規定されている
ア 日曜日
イ 土曜日
ウ 国民の祝日
エ 年始3日
1月2日・3日
1月1日は国民の休日なので記載なし
オ 年末3日
12月29日・30日・31日

現在の解釈はこのようになります。
これは『土日祝日・年末年始は送金できない』という常識が反映されていると言えましょう。
今後はICTの発達により,この常識が過去のものになるはずです。
例えばビットコインなどの仮想通貨やいろいろな決済サービスが急速に普及しつつあります。
このような社会的な進化が常識・『慣習』を大きく変えてゆくでしょう。

6 期間計算|『休日』×解釈論|典型例

『休日』ルールが適用される具体例を説明します。

<期間計算|『休日』×解釈論|典型例>

あ 期間設定

解除通知ができる期間が設定された
期間の末日=期限が年末年始に到来する
具体的には12月29日〜1月3日のことである

い 期間満了タイミング

解除通知ができるタイミング
→1月3日24時
4日に日付が変更する直前という意味

う 結論

解除通知が1月3日の24時までに相手に到達すれば良い
なお,状況により『発送』で足りることもある

7 期間計算|『休日』×解釈論|『慣習』関連

『休日』ルールは『慣習』によって判断します(前記)。
この『慣習』についての解釈論もいくつかあります。

<期間計算|『休日』×解釈論|『慣習』関連>

あ 一方当事者・ローカル慣習

当事者の一方のみ・ローカル慣習でも適用される
※大判明治36年5月5日
↑注意;こどもの日として国民の祝日になったのは昭和24年である
それより前なので官公署・裁判所は休日ではなかった

い 商取引以外

商取引に限らない
公証人や執達吏の執務に関しての慣習であっても適用される
※大判明治37年10月22日

う 個人的休養日

個人的に特定曜日を休みにしている(取引しない)場合
→適用されない
※『論点体系判例民法1総則』第一法規p305

8 期間計算|『休日』×解釈論|時効→適用なし

期間計算の『休日』ルールには重大な例外があります。
時効期間の計算です。

<期間計算|『休日』×解釈論|時効→適用なし>

時効期間の計算の場合
→期間計算の『休日』繰り下げルールは適用されない
※大阪地裁昭和48年9月4日;手形金債権の消滅時効について
※水戸地裁平成21年2月17日;租税の還付請求権の時効について

時効期間は『休日による繰り下げ』が適用されません。
誤解して『時効を完成させてしまった』ということが生じないように注意を要します。