【為替取引・資金移動業の規制の基本(銀行法の免許・資金決済法の登録)】

1 『銀行業』の定義
2 『為替取引』の解釈や具体例(概要)
3 資金移動業の参入規制=登録制
4 資金移動業の登録要件|適正な財産的基礎・体制整備など
5 資金移動業の主要な行為規制|資産・情報管理など
6 収納代行・代金引換サービスの為替取引該当性(概要)

1 『銀行業』の定義

本記事では『送金』や『収納代行・代金引換』などの法規制について説明します。
法律上『為替取引』について規制があります。
まずは『為替取引』に関する規制について説明します。

<『銀行業』の定義>

あ 『銀行業』の定義

為替取引を行うこと
→『銀行業』の中の1つである
※銀行法2条2項2号

い 銀行業の参入規制=免許制

銀行業を行うには内閣総理大臣の免許が必要である
※銀行法4条1項

う 違反に対する罰則

免許を受けないで銀行業を営んだ場合
法定刑=懲役3年以下or罰金300万円以下
※銀行法61条1号

『為替取引』の事業を行う場合は原則として銀行業許可が必要です。

2 『為替取引』の解釈や具体例(概要)

銀行法には『為替取引』の具体的な説明や定義の規定がありません。
これについては,判例で基準が示されています。
判例や実際に使われているサービスの具体例は別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|『為替取引』の解釈と実際の具体的サービス(振込・送金・代金取立)

3 資金移動業の参入規制=登録制

『為替取引』については原則的に銀行法の許可が必要です(前記)。
要するに『銀行だけ』しか行えない,ということになります。
この銀行法の規制について,取引金額100万円以下に限定して,資金移動業として緩和されています。

<資金移動業の参入規制=登録制>

あ 『資金移動業』の定義

為替取引を業として営むこと
銀行許可を受けた者は除く
取引額の上限は100万円相当である
※資金決済法2条2項
※資金決済法施行令2条

い 資金移動業の参入規制

資金移動業を行うには内閣総理大臣の登録が必要である
=登録があれば『銀行業許可』は不要である
※資金決済法37条

この『登録制』は『銀行法許可』よりも大幅に取得しやすいものです。
登録が認められる要件について,次に説明します。

4 資金移動業の登録要件|適正な財産的基礎・体制整備など

資金移動業の登録の要件についてまとめます。

<資金移動業の登録要件>

あ 基本的事項

一定の『登録拒否事由』がない限り登録は認められる

い 登録拒否事由|概要

ア 適正な財産的基礎 資金移動業を適正かつ確実に遂行できる財産的基礎
※資金決済法40条1項3号
イ 適正な体制整備 資金移動業を適正かつ確実に遂行できる体制の整備
※資金決済法40条1項4号
ウ 法令遵守体制 法律上の業務規制を遵守できる体制の整備
※資金決済法40条1項5号

『財産を扱う』事業については共通する要件です。
『適正な財産的基礎・体制整備』などは評価が大きく影響します。
行政庁の裁量が大きいです。
事業者からすれば,営業開始時点の予測可能性が低いとも言えます。

5 資金移動業の主要な行為規制|資産・情報管理など

資金移動業の規制は『登録』だけではありません。
登録取得後の業務運営における一定のルールがあります。
主要なものをまとめます。

<資金移動業の主要な行為規制>

あ 資産保全義務

※資金決済法43条〜

い 情報の安全管理義務

※資金決済法49条

う 行政庁による監督に服する

※資金決済法52条

え 本人確認義務など

※犯罪収益移転防止法,外為法

6 収納代行・代金引換サービスの為替取引該当性(概要)

ところで,収納代行・代金引換という決済に関するサービスも実際に広く使われています。
これらのサービスについても為替取引に該当するように思えますが,一般的な解釈としては該当しないとされています。
これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|収納代行・代金引換サービスの法規制(為替取引に該当しない)

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