1 『業』『営業』解釈論|はじめに
2 医師法|『医業』解釈|判例
3 貸金業法|『業』解釈|条文・文献
4 貸金業法|『業』解釈|判例
5 銀行法|『営業』解釈|文献
6 金融商品販売法|『業』解釈|文献
7 古物営業法|『営業』解釈|判例
8 出資法|『業として』解釈|概要
9 宅建業法|『業』解釈|概要
10 旧たばこ専売法|『小売人』解釈|判例
11 動物愛護法|『業』解釈|文献(概要)
12 廃棄物処理法|『業』解釈|文献
13 薬事法|『業』解釈|文献
14 旅館業法|『営業』解釈|行政見解
15 旅行業法|事業性・解釈|通達
16 参考|商法|『業とする』解釈|文献

1 『業』『営業』解釈論|はじめに

いろいろな法規制で『業』『営業』という定義が登場します。
詳しくはこちら|業法一般|『業』解釈論|基本|反復継続意思・事業規模・不特定多数
本記事では判例・通達・文献などの見解を集約・整理します。
基本的に法律名の50音順で並べます。

2 医師法|『医業』解釈|判例

医師法の『医業』の解釈を示した判例を紹介します。

<医師法|『医業』解釈|判例>

あ 解釈対象文言

『医業』
※医師法17条

い 解釈内容

反覆継続の意思で医行為に従事すること
※仙台高裁昭和27年7月4日;医師法違反・無免許営業
※名古屋高裁昭和26年1月29日;医師法違反・無免許営業

3 貸金業法|『業』解釈|条文・文献

貸金業法における『貸金業』の定義をまとめます。

<貸金業法|『業』解釈|条文・文献>

あ 『貸金業』の定義

金銭の貸付け又は金銭の貸付けの媒介で『業として行う』もの
※貸金業法2条1項

い 『業として行う』の解釈

金銭の貸付け又は金銭の貸付けの媒介を反復継続し,社会通念上,『事業の遂行』とみることができる程度のものをいう
※上柳敏郎・大森泰人『逐条解説・貸金業法』商事法務p52

『不特定多数』は独立した項目・基準として登場していません。

4 貸金業法|『業』解釈|判例

これに関する判例があります。

<貸金業法|『業』解釈|判例>

あ 『反復継続の意思』が必要

反復継続し,社会通念上事業の遂行とみることができる程度のものをいう

い 『不特定多数』である必要はない

(貸付の)相手が不特定多数の者であることを要しない
※改正前の『貸金業等の取締に関する法律』2条
※最高裁昭和28年2月3日
※最高裁昭和30年7月22日
詳しくはこちら|『貸金業』を行う場合は貸金業登録が必要,例外もある

判例上『不特定多数』という基準が積極的に排除されています。
ただ,実務的には『事業の遂行』の程度の判断において,貸付け相手が『不特定多数』かどうかも影響すると思われます。
『対公衆性』は,『事業の遂行』の程度の判断要素の1つと言うことができるでしょう。

5 銀行法|『営業』解釈|文献

銀行法における『銀行業』の解釈論を紹介します。

<銀行法|『営業』解釈|文献>

あ 『銀行業』の定義

預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け若しくは手形の割引とを併せ行い,又は,為替取引を行う『営業』をいう
※銀行法2条2項

い 『営業』の解釈

営利の目的をもって同種の行為を組織的・集団的に反復継続して行うことを言う
行為の相手方は特定の者ではなく不特定多数でなければならない
※小山嘉昭『詳解銀行法』金融財政事情研究会p63

6 金融商品販売法|『業』解釈|文献

金融商品販売法における『金融商品販売業』の解釈論をまとめます。
この解釈では『不特定多数』が独立した基準として登場していません。

<金融商品販売法|『業』解釈|文献>

あ 『金融商品販売業』の定義

金融商品の販売等を『業として』行うこと
※金融商品販売法2条3項

い 『業として』の解釈

同種の行為を反復継続して行うことが,社会通念上,『事業の遂行』とみることができる程度のものであることをいう
※松尾直彦『逐条解説新金融商品販売法』金融財政事情研究会p106

う 参考|公的見解|中間整理

外部サイト|金融法委員会|金融商品取引業における『業』の概念についての中間論点整理|平成24年9月15日

7 古物営業法|『営業』解釈|判例

古物営業法における『営業』の解釈論を紹介します。

<古物営業法|『営業』|判断>

あ 解釈対象

『営業』
※旧古物商営業法6条

い 解釈内容

営利の目的で所定の行為を反復継続することを営む意思をもってなすこと
実際の行為は1回でも認定できる
※最高裁昭和31年3月29日

8 出資法|『業として』解釈|概要

出資法における『業』の解釈論の概要をまとめます。
この解釈の中には『営業』と使い分ける見解もあります。
なお『預り金』の定義の中に『不特定かつ多数』が相手であることが含まれています。
このような細かい規定・解釈は別に説明しています(後記)。

<出資法|『業として』解釈|概要>

あ 預り金禁止の構成要件

業として預り金をする
他の法律に特別の規定のある者を除く
※出資法2条1項

い 『業として』の解釈

反復継続の意思をもって預り金をすることをいう
『反復継続して預り金をする意図の下に』
※東京高裁昭和35年11月21日

う 営利目的の要否

営利の目的について
→構成要件には含まれない
=不要である
※津田実『出資の受入,預り金及び金利等の取締等に関する法律』曹時6巻7号p31

これは概要をまとめたものです。詳しい内容は別に説明しています。
詳しくはこちら|出資法の『預り金』規制の『業として』の解釈論

9 宅建業法|『業』解釈|概要

宅建業法も『業』としての一定の行為・取引が規制されています。
この解釈論については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|宅建業法『業』解釈論|基本|業として/業を営む|判例

10 旧たばこ専売法|『小売人』解釈|判例

『業』の解釈論に関する古い判例もあります。
既に廃止されている『たばこ専売法』の解釈を示すものです。
条文上『業』という言葉はありません。
『小売人』という言葉の解釈です。
実質的には『業』と同様の解釈論が用いられています。

<旧たばこ専売法|『小売人』解釈|判例>

あ 解釈対象

『製造たばこの小売人』
※たばこ専売法29条;既に廃止されている

い 解釈内容

反復継続してする意思の下に,これを他に販売する(こと)
※最高裁昭和32年7月9日

11 動物愛護法|『業』解釈|文献(概要)

動物愛護法の『業』の解釈論を紹介します。

<動物愛護法|『業』解釈|文献(概要)>

あ 『第1種動物取扱業』の定義

動物の販売,保管,貸出し,訓練,展示を『業として』行うこと
※動物愛護法10条1項

い 『業として』の解釈

次の態様で営利をもって扱うこと
ア 社会性
特定かつ少数の者を対象としたものでないこと
イ 反復継続的にor多数の動物
ウ 有償・無償の別を問わない

う 頻度・取扱量の目安(文献)

年間2回以上or2頭以上
※動物愛護論研究会『改正動物愛護管理法Q&A』大成出版会p37
詳しくはこちら|第1種/第2種動物取扱業の定義と参入規制(登録/届出制)

12 廃棄物処理法|『業』解釈|文献

廃棄物処理法の要許可事項の規定をまとめます。

<廃棄物処理法|『業』解釈|文献>

あ 一般廃棄物処理業の要許可事項

一般廃棄物の収集又は運搬を『業として』行う者
→市町村長の許可を受けなければならない
※廃棄物処理法7条1項

い 『業』の解釈

廃棄物の収集又は運搬を特定又は不特定の人を対象に社会性をもって反復継続して行うことを意味する
有償・無償を問わない
※廃棄物処理法編集委員会編『廃棄物処理法の解説 平成21年度版』日本環境衛生センターp85

13 薬事法|『業』解釈|文献

薬事法の『業』の解釈論を紹介します。

<薬事法|『業』解釈|文献>

あ 医薬品製造販売の要許可事項

医薬品等について一定の許可を受けたものでなければ、『業として』製造販売してはならない
※薬事法12条1項

い 『業として』の解釈1

反復継続して不特定多数の人 に供給する目的をもって製造販売を行うことをいう
研究や治験のために製造し供給する場合や,病院の製剤室でその病院の患者(特定人)用に製剤し供給する場合には該当しない
※青柳健太郎『薬事法・薬剤師法・毒物及び劇物取締法解説第20版』薬事日報社p86

う 『業として』の解釈2

ある者の同種の行為の反復継続的遂行が社会通念上事業の遂行とみることができる程度のものである場合を言う
具体的事情から,社会通念上,『事業の遂行とみられる程度の社会的地位を形成するかどうか』によって決定する
※薬事法規研究会編『逐条解説 薬事法4訂版』ぎょうせいp231

なお『薬事法』は平成26年に法律の名称自体が変更されています。
現在は『薬機法』という名称となっています。

14 旅館業法|『営業』解釈|行政見解

旅館業法では『旅館業』という定義があります。
この定義に『営業』という用語が使われています。
厚生労働省の見解がいくつかあります。
ちょっと複雑です。
詳しくはこちら|旅館業の定義|『営業』解釈論

15 旅行業法|事業性・解釈|通達

旅行業法について通達で解釈が示されています。

<旅行業法|事業性・解釈|通達>

あ 基本的事項

次に該当するような場合
→行為の反復継続の意思が認められる
→事業性が認められる

い 事業性認定要素

ア 宣伝・広告
旅行の手配を行う旨宣伝,広告をしている
イ 店舗・看板
店を構え,旅行業務を行う旨看板を掲げている
※平成17年2月28日国総旅振386号旅行業法施行要領『第1 1 7)』

16 参考|商法|『業とする』解釈|文献

商法でも『業とする』という規定があります。
他の業法による規制とはちょっとニュアンスが異なります。
参考として解釈論を紹介します。

<参考|商法|『業とする』解釈|文献>

あ 商法|条文・規定

商人とは,自己の名をもって商行為をすることを業とする者をいう
※商法4条1項

い 解釈内容

『営業とする』と同義である
利益を得る目的をもって同種の行為を反復継続することをいう
※田邊光政『商法総則商行為第2版』新世社p32
※服部栄三『商法総則第2版』青林書院p174
※関俊彦『商法総論総則』有斐閣p108