1 『保険募集』該当性区別基準
2 監督指針による『保険募集』の定義
3 保険契約の締結の『代理・媒介』の判断基準
4 募集人との『一体性・連続性』の判断
5 募集関連行為の意味と具体例
6 保険募集・募集関連行為に該当しない例
7 監督指針・パブコメへの回答の情報ソース
8 宅建業法の『媒介・代理』の解釈論(参考)

1 『保険募集』該当性区別基準

『保険募集』に該当する行為は登録が必要になるなど,保険業法の規制の対象となります。
詳しくはこちら|保険販売・法規制・基本|販売フロー・紹介ビジネス・紹介料相場
本記事では『保険募集』の判断基準・解釈について説明します。
まずは『保険募集』の定義や基本的な意味をまとめます。

<『保険募集』該当性の一般的な基準>

あ 条文上の定義

『保険募集』とは
保険契約の締結の代理又は媒介を行うことをいう
※保険業法2条26項

い 一般的な基準
『情報提供』の範囲内 保険募集に該当しない
『特定の保険商品への誘導』 保険募集に該当する

このように『保険募集』の範囲・解釈がやや曖昧です。
この点,平成28年の保険業法改正に伴い,金融庁の監督指針が改正されました。これにより『保険募集』の範囲がより明確になっています。以下,監督指針を紹介・説明します。

2 監督指針による『保険募集』の定義

平成28年に金融庁が作った監督指針の中に『保険募集』の定義があります。

<監督指針による『保険募集』の定義>

あ 保険契約の締結の勧誘
い 保険契約の締結の勧誘を目的とした保険商品の内容説明
う 保険契約の申込みの受領
え その他の保険契約の締結の代理又は媒介(後記※1)

※保険会社向けの総合的な監督指針II -4-2-1(1)1

この中で判断が曖昧になりがちなのは『え』の『代理・媒介』です。
ところで『保険募集』の定義は保険契約の『代理・媒介』です(前記)。『え』の定義はストレートに『保険募集』の実質的な判断と言えます。この内容については次に説明します。

3 保険契約の締結の『代理・媒介』の判断基準

保険契約締結の『代理・媒介』の実質的な判断基準を説明します。監督指針だけでなく,パブコメに対する金融庁の回答でも説明が加えられています。
このような行政の公的見解をまとめます。

<保険契約の締結の『代理・媒介』の判断基準(※1)>

あ 基本的判断要素

保険契約締結までの一連の行為の中において
対象行為の位置付けを踏まえた上で
『い・う』の要件に照らして総合的に判断する

い 募集人との『一体性・連続性』

保険募集人と対象行為の一体性・連続性を判断する(後記※2)

う 具体的な保険商品の推奨・説明

対象行為の中に具体的な保険商品の推奨・説明が含まれている
説明の程度が判断に影響する
※保険会社向けの総合的な監督指針II -4-2-1(1)2
※金融庁・パブコメ『203』

4 募集人との『一体性・連続性』の判断

『代理・媒介』の判断基準の中に『一体性・連続性』があります(前記)。この判断についての金融庁の説明内容をまとめます。

<募集人との『一体性・連続性』の判断(※2)>

あ 基本的事項

対象行為と保険会社or保険募集人による募集行為について
一体性・連続性を推測させる事情がある場合
→『代理・媒介』を肯定する方向に働く

い 一体性・連続性を推測させる事情の例

ア 募集人から報酬を受け取る
報酬額の水準が判断に影響する
いかなる体系の報酬であっても含まれ得る
イ 募集人と資本関係などがある
人的関係・親族関係も含まれる
例;役職員の 出向・派遣
※パブコメへの回答『190,191,243』

5 募集関連行為の意味と具体例

監督指針では『保険関連行為』という行為を整理しています。『保険募集』には該当しないので登録などは不要であるが,一定の監督が必要となるというものです。

<募集関連行為の意味と具体例>

あ 募集関連行為の意味と規制

保険募集プロセスの一部の行為である
『保険募集』に該当しない
→保険会社による委託先の管理が必要となる

い 募集関連行為の例

ア 保険商品の推奨・説明なし
契約見込客の情報を保険会社or保険募集人に提供する
保険商品の推奨・説明を行わない
イ 情報の転載
商品情報の提供を主たる目的としたサービスである
保険会社or保険募集人からの情報を転載するにとどまる
例;保険の比較サイト
※監督指針II-4-2-1(2)注1

う 保険募集に該当する例

『ア・イ』については保険募集に該当する可能性がある
ア 偏った商品の推奨
特定の保険会社の商品(群)のみを見込客に対して積極的に紹介する
保険会社or保険募集人から報酬を得る
イ 具体的保険商品の推奨・説明
商品情報の提供を主たる目的としたサービスを提供する
保険会社or保険募集人から報酬を得る
具体的な保険商品の推奨・説明を行う
例;保険の比較サイト
※監督指針II-4-2-1(2)注2

6 保険募集・募集関連行為に該当しない例

監督指針では,保険募集・募集関連行為のいずれにも該当しない行為も示しています。保険業法による登録や監督などの規制が適用されない行為を明示したものです。

<保険募集・募集関連行為に該当しない例>

あ 基本的事項

『い』の各行為について
→基本的に保険募集・募集関連行為のいずれにも該当しない

い 保険募集・募集関連行為に該当しない例

ア チラシ配布
商品案内チラシを単に配布する
保険会社or保険募集人の指示を受けている
イ コールセンターのオペレーター
コールセンターのオペレーター業務
事務的な連絡の受付や事務手続について説明する
ウ 金融商品説明会
金融商品説明会において
一般的な保険商品の仕組み・活用法などの説明を行う
エ 広告掲載
保険会社or保険募集人からの広告を掲載する
※監督指針II-4-2-1(2)注3

7 監督指針・パブコメへの回答の情報ソース

以上の説明で用いた公的見解の情報ソースをまとめておきます。

<監督指針・パブコメへの回答の情報ソース>

あ 監督指針の情報ソース

金融庁
平成28年9月
保険会社向けの総合的な監督指針
外部サイト|金融庁|保険会社向けの総合的な監督指針・平成28年9月

い パブコメへの回答の掲載ウェブサイト

金融庁
平成27年5月27日
『平成26年改正保険業法(2年以内施行)に係る政府令・監督指針案』に対するパブリックコメントの結果等について
外部サイト|金融庁|監督指針案に対するパブリックコメント・結果

う パブコメへの回答の資料のソース

別紙1
コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方
外部サイト|金融庁|別紙1・金融庁の考え方

8 宅建業法の『媒介・代理』の解釈論(参考)

別の法規制でも『媒介・代理』の該当性は問題になります。代表的なものは宅建業法です。
法律が違うと解釈の内容も異なります。ただ,共通することもあるので参考になります。
詳しくはこちら|宅建業法|『媒介』定義・解釈論・認定の傾向|法的性質
詳しくはこちら|宅建業法|『代理』定義・内容|媒介との違い