1 コンプライアンス体制構築の権限|取締役会
2 コンプライアンス体制構築×不備の責任|権限の裏返し
3 コーポレート・ガバナンス・コード|趣旨・成立
4 コーポレート・ガバナンス・コード|適用場面
5 コーポレート・ガバナンス・コード|コンプライアンス関係

1 コンプライアンス体制構築の権限|取締役会

事業活動において『コンプライアンス』が重視されています。
そこで会社法でも『コンプライアンス体制構築』が要請されています。
まずは『権限』についての規定をまとめます。

<コンプライアンス体制構築の権限>

あ 法律上の表現

『業務の適正確保体制の整備』

い 取締役設置会社の場合

取締役会の専決事項
=取締役への委任ができない
※会社法362条4項6号

う 取締役会非設置会社の場合

通常の業務執行
→取締役の過半数で決する
特定の取締役に委任することができない
※会社法348条2項,3項4号

2 コンプライアンス体制構築×不備の責任|権限の裏返し

コンプライアンス体制構築に不備が問題なるケースが多いです。
この場合『コンプライアンス体制』の不備自体の責任が生じます。
当然『体制構築の権限』を持っている者が責任を負うことになります。

<コンプライアンス体制構築×不備の責任>

あ 責任の主体|基本

ア 取締役会設置会社
取締役会の構成員=取締役個人
イ 取締役会非設置会社
意思決定の構成員=取締役個人

い 責任を負う取締役|原則

それぞれの取締役が全額の損害賠償責任を負う
各取締役の責任は連帯債務となる
※会社法430条

う 責任を負う取締役|個別事情・例

取締役Aは『適正な体制構築の提案』をした
しかし過半数の反対で決議=実現できなかった
Aは責任を負わないこととなる可能性が高い

以上の権限や責任は『株式会社一般』のものです。
一方,上場企業については,別のルールとの抵触も問題となります。
コーポレート・ガバナンス・コードについて次に説明します。

3 コーポレート・ガバナンス・コード|趣旨・成立

コーポレート・ガバナンス・コードの基本的事項をまとめます。

<コーポレート・ガバナンス・コード|趣旨・成立>

あ 上場企業×内部統制

上場企業の株式は一般の方が取引をする
=一般の方が株主となる
→特に適法性維持・内部統制の確立が要請される

い 金融庁|コーポレート・ガバナンス・コード原案

企業の適法性確保・内部統制に関するルールの案を作成した
想定=これをベースにして東京証券取引所が適用する
※コード原案『15』項
外部サイト|金融庁|コーポレート・ガバナンス・コード原案
東京証券取引所の上場企業が対象となる予定

う 東京証券取引所|コーポレート・ガバナンス・コード

平成27年6月1日から適用している
外部サイト|株式会社東京証券取引所|平成27年6月1日

4 コーポレート・ガバナンス・コード|適用場面

コーポレート・ガバナンス・コードが具体的に適用される場面を整理します。

<コーポレート・ガバナンス・コード|適用場面>

あ 基本事項

日本取引所グループの上場審査基準・上場廃止基準
→コーポレート・ガバナンス・コードが含まれている(後記)

い 適用の具体例

コーポレート・ガバナンス・コードの違反行為がある場合
・上場できないことがある
・上場廃止となることがある

う 上場審査基準の1つ

コーポレート・ガバナンス・内部管理体制が適切に整備され,機能している

え 上場廃止基準の1つ

特設注意市場銘柄の指定要件に該当する
内部管理体制等について改善の見込みがない

5 コーポレート・ガバナンス・コード|コンプライアンス関係

コーポレート・ガバナンス・コードの内容は幅広いです。
ここでは『コンプライアンス体制』に関するものを紹介します。

<コーポレート・ガバナンス・コード|コンプライアンス関係>

あ 原則4-3.取締役会の役割・責務(3)

ア 位置付け
取締役会の主要な役割・責務の1事項
→独立した客観的な立場から,経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと
イ 業績評価
適切に会社の業績等の評価を行う
ウ 人事への反映
『イ』の評価を経営陣幹部の人事に適切に反映する
エ 情報開示・内部統制・リスク管理
適時かつ正確な情報開示が行われるよう監督を行う
内部統制やリスク管理体制を適切に整備する
オ 利益相反の管理
経営陣・支配株主等の関連当事者と会社との間に生じ得る利益相反を適切に管理する

い 補充原則4-31

経営陣幹部の選任や解任について,会社の業績等の評価を踏まえ,公正かつ透明性の高い手続に従い,適切に実行する

う 補充原則4-32

ア 背景
コンプライアンスや財務報告に係る内部統制や先を見越したリスク管理体制の整備
→適切なリスクテイクの裏付けとなる
イ 取締役会の監督の重点
『ア』の体制の適切な構築・その運用が有効に行われているか否かの監督に重点を置く
個別の業務執行に係るコンプライアンスの審査に終始しない

このように原則的な事項が規定されています。
企業の不祥事があった場合は上記の『取締役会の監督』の懈怠と言えることが多いです。