1 デジタル証拠×民事訴訟法|『電磁的記録』と呼ばれる
2 磁気テープ×『文書』提出命令→認められる
3 電子データ×『文書』提出命令→認められる

1 デジタル証拠×民事訴訟法|『電磁的記録』と呼ばれる

訴訟では多くの『デジタル証拠』が活用されます。
(別記事『特性』;リンクは末尾に表示)
民事訴訟法では,デジタル証拠について,ちょっと固い用語があります。
『証拠』として用いることが当然の前提となっています。

<デジタル証拠×民事訴訟法>

あ 民事訴訟法上の名称

『電磁的記録』

い 民事訴訟法上の定義

次のいずれにも該当する記録
ア 人の知覚によっては認識できない方式で作られる
イ 電子計算機による情報処理の用に供される
記録方式の例=電子的方式・磁気的方式など
※民事訴訟法3条の7第3項など

2 磁気テープ×『文書』提出命令→認められる

磁気テープが『文書』提出命令の対象となるかどうかの解釈論がありました。
結論としては認められています。

<磁気テープ×『文書』提出命令>

あ 事案

火力発電所の周辺住民が,大気汚染による健康被害を主張した
関西電力に対して損害賠償・大気汚染差止を請求した

い 磁気テープの扱い

『大気中の汚染物質濃度の測定データ』が磁気テープに記録されていた
住民=原告は『文書提出命令』を申し立てた

う 裁判所の評価

磁気テープそれ自体は,内容形態を視読できない
『文書』と同じではない
磁気テープのデータをアウトプットすることが予定されている

え 裁判所の判断

次の両方をまとめて『準文書』として認める
→文書提出命令を発令した
ア 磁気テープ
イ アウトプットに必要なプログラム
※民事訴訟法231条,223条
※大阪高裁昭和53年3月6日

3 電子データ×『文書』提出命令→認められる

電子データがシステム・サーバーの中に保管されていることが多いです。
この『データ』の提出命令も認められることがあります。

<電子データ×『文書』提出命令>

あ 事案

製薬会社において男女の性差による差別が主張された
女性従業員が損害賠償請求等を求めた

い 争点

賃金格差・昇格・昇級格差の有無

う 電子データ×文書提出命令

次の情報について『文書』提出命令の申し立てがなされた
対象情報=賃金台帳・労働者名簿などの電子データ

え 裁判所の評価

対象データは,コンピュータ画面上での閲覧しか予定されていない
他のソフトウェアを用いることにより,画面を印刷することができる

お 裁判所の判断

対象データを『準文書』として認める
→文書提出命令を発令した
※民事訴訟法231条,223条
※大阪高裁平成17年4月12日

『データ』そのものを『提出』するというのは違和感もあります。
しかしこのような理由で『提出命令』が使えないということはないのです。