【相手方が欠席した場合の訴訟等の進行・擬制自白】

1 被告が欠席すると自動的に敗訴となるが例外もある;擬制自白
2 『公示送達』の場合『擬制自白』は適用されない→立証が必要になる
3 被告が欠席しても審理自体は止まらない
4 代理人ではなく『本人』の出席が必要なシーンもある|参考
5 当事者双方の欠席は期日が空転するが判決は可能(概要)

1 被告が欠席すると自動的に敗訴となるが例外もある;擬制自白

一般論として,民事訴訟においては,被告が欠席すると,擬制自白により,原告勝訴の判決となります。

<擬制自白の規定(概要)>

あ 前提事情

ア 被告が答弁書などで反論しないイ 被告が期日に出席しない

い 法的効果

原告は証明が不要になる
→裁判所は原告の主張を認めることになる
※民事訴訟法159条
詳しくはこちら|裁判上の自白・擬制自白の基本(対象となる『事実』)

擬制自白が適用されると,結果的に,原告勝訴の判決が言い渡されます。
俗称として,欠席判決と呼ばれています。
ところで,付郵便送達の場合,被告は実際には訴状を手にしていないことがほとんどです。
通常送達を受領しなかったために付郵便送達を行うことになった,という経過をたどっているはずだからです。
いわば不戦勝,ということになります。
被告は,100%敗訴となります。
この結果は,被告が訴状・呼出状を受領する機会があったのに受領しなかったことが原因です。
一種のペナルティとも言えます。

2 『公示送達』の場合『擬制自白』は適用されない→立証が必要になる

この点,公示送達で訴状等が送達された場合は,擬制自白は適用されません。
公示送達は住所等が不明の場合に行われます。
詳しくはこちら|民事訴訟における公示送達の要件(公示送達を使える状況)
この原因は,夜逃げなど,被告の意図的なものだったらペナルティを与えても良いでしょう。
しかし,単純に,悪意なく引っ越して,住民票を移すのを怠ったまま,という可能性もあります。
そのような場合にまでペナルティを課すのは,ちょっと過剰,ということになってしまいます。
そこで,公示送達の場合は擬制自白は適用されないのです。
ですから,公示送達の場合,原則に戻って,証拠による立証が必要となります。
例えば,契約書・借用書などの証拠を原告が裁判所に提出して,裁判所がこれによって取引や貸金を認定するプロセスが必要となります。
とは言っても,被告が期日に出席しない場合,反論が一切ない状態です。
原告の主張や立証が軽いものであってもスムーズに認定される傾向にあります。

3 被告が欠席しても審理自体は止まらない

いずれにせよ,送達さえ完了していれば,その後の審理は被告欠席のままでも何事もなく進められます。
『当事者一方の欠席』については『手続が止まる』という規定がないのです。
この点『訴訟』ではなく『強制執行』の手続でも『当事者が参加する』期日などもあります。
差押などの強制執行についても『一方当事者の欠席』があっても,特に問題なく手続は進められます。

4 代理人ではなく『本人』の出席が必要なシーンもある|参考

以上のは『当事者が欠席』した,という場合についての説明です。
この点『代理人が出席』すれば『当事者本人の出席』と同じ扱いとなります。
ただし,家事事件の一部の手続については,『当事者本人の出席が必要』という特殊な扱いもあります。
別記事にて詳しく説明しています。
詳しくはこちら|家事調停・審判・訴訟における当事者本人の出席の要否

5 当事者双方の欠席は期日が空転するが判決は可能(概要)

以上の説明は,裁判期日に当事者の一方だけが欠席したケースについてでした。
この点,当事者双方(両方)が欠席すると,原則的には訴訟手続を進めることはできません。
状況によっては訴え自体の取下とみなされます。
しかし,判決言渡と証拠調べは例外的に両方が欠席していても行われます。
詳しくはこちら|当事者双方の欠席で取下擬制となり得るが判決言渡・証拠調べは可能

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