1 ビットコインの法的扱い|MTGOX事件・裁判所の判断|結論
2 ビットコインの法的扱い|MTGOX事件・裁判所の判断|破産手続における扱い
3 破産手続×『債権』|金銭以外の債権の扱い・評価|一般論
4 MTGOX事件×ビットコイン建て債権の扱い|法的分類

1 ビットコインの法的扱い|MTGOX事件・裁判所の判断|結論

MTGOX事件の破産手続での扱いにおいて,実質的な公的判断が示されています。
結論部分をまとめます。

<ビットコインの法的性質|裁判所の解釈登場>

あ ビットコインを預けたユーザーの権利

ア 『預けた』と言える前提事情
『秘密キー』をウォレット業者が管理している場合
典型例=SPVクライアント型ウォレット
イ 法的解釈
ウォレット業者に対して『ビットコイン返還請求権』が存在する
=ビットコイン建て債権

い ビットコインの財産性

ビットコイン(の残高)は『財産』として扱う

詳しい内容は次に説明します。

2 ビットコインの法的扱い|MTGOX事件・裁判所の判断|破産手続における扱い

MTGOX事件では,具体的には破産管財人の報告書で『ビットコインの扱い』が記載されています。
これは単に『破産管財人の判断・独断』というわけではありません。
通常,裁判所としっかりと協議して,その内容が前提となっています。
つまり,破産管財人の扱い・報告書の内容は,裁判所の判断が反映されているはずなのです。
MTGOX事件での破産手続におけるビットコインの扱いについて整理します。

<ビットコインの交換所の破産|MTGOX事件での扱い>

あ ビットコイン返還請求権

ア 結論
ユーザー=ビットコイン保有者→『保管業者』に対して
『ビットコイン返還請求権』が存在する
イ 具体的な扱い
ビットコイン返還請求権』を『破産債権』として扱っている
ウ 『破産債権』の内容
『財産的請求権』全般が対象である
『金銭債権』だけに限定されない
※破産法2条5項,97条,168条
エ 法的構成;明記なし
『不特定物or特定物の引渡請求権』と思われる
『消費寄託』と同じ構成と思われる

い ビットコインの『残高』の財産性

ア 結論
『ビットコインの残高』は『財産』として扱う
イ 具体的扱い
ビットコイン残高を『破産財団』として扱っている
ウ 『破産財団』
(破産者の)『財産』
→換価することが予定されている
※破産法2条14項

う ビットコインの具体的管理方法

破産管財人の管理するアドレスでの保管(送金・移動)

※株式会社MTGOX事件|破産管財人作成『破産法157条報告書』平成26年7月23日
外部サイト|MTGOX|破産法157条報告書|平成26年7月23日

以上は破産手続における『破産者の財産=財団』の扱いを中心とした説明でした。
次に『債権者の持つ債権』の扱いについて説明します。

3 破産手続×『債権』|金銭以外の債権の扱い・評価|一般論

破産手続における一般的な債権の扱いは,法律上分類・整理されています。

<破産手続×『債権』|金銭以外の債権の扱い・評価|一般論>

あ イレギュラー債権(※1)

ア 対象債権
・金銭の支払を目的としない債権
・金銭債権で,額が不確定のもの
・外国通貨建ての債権
・金額or存続期間が不確定である定期金債権
イ 評価基準
参加する金額=『破産手続開始』時における『評価額』

い 『あ』以外の債権

典型例=ごく一般的な金銭債権
→参加する金額=『債権額』
※破産法103条

4 MTGOX事件×ビットコイン建て債権の扱い|法的分類

以上の一般的な規定を元にMTGOX事件での『ビットコイン建て債権』の扱いをまとめてみます。

<MTGOX事件×ビットコイン建て債権の扱い|法的分類>

あ ビットコイン建ての債権の分類

『金銭の支払を目的としない債権』or『外国通貨建ての債権』
→前記※1のイレギュラー債権として扱っていると言える

い 具体的な扱い

『破産手続開始』時点での日本円への両替レートを用いる
→複数の『両替所』におけるレートを平均するなど

このように法律を適用した(する)と思われます。