【下請法|趣旨=下請構造の依存→不公平|独占禁止法との関係】

1 下請関係×不平等・不公平|メカニズム=既得権保全
2 下請関係→依存→不平等・不公平現象
3 下請法|趣旨=下請構造の不公平→是正する
4 下請法と独占禁止法の関係|下請法が狭く深い

1 下請関係×不平等・不公平|メカニズム=既得権保全

多くの業界では『下請』の構造が構築されています。
これに伴う問題点とその対応については後述します。
まずは『下請』という構造の要因についてまとめておきます。

<下請関係×不平等・不公平|メカニズム=既得権保全>

あ 理想的マーケット・メカニズム

取引をするかしないか・条件の提示は自由
=取引を『強いられる』ことはない
→マーケット・メカニズムが機能する
→サービス・商品流通の最適化が実現する
詳しくはこちら|マーケットメカニズムの基本|自由経済・商品流通の最適化・供給者の新陳代謝

い 既得権保護による歪み現象

資格・許認可などが結果的に既得権者の保護として機能する
既得権の保全の一環として『多重下請構造』が形成される
→『他の選択肢がない・依存』という状況が生じる
→『下請』と『不平等・不公平』は必然的な併存関係となる
詳しくはこちら|マーケットの既得権者が全体最適妨害|元祖ラッダイト→ネオ・ラッダイト

本来的には『取引』は自由なので『強いられた』ということはあり得ません。
しかし制度的・人為的要因による参入障壁がある場合は原則どおりにはならないのです。

2 下請関係→依存→不平等・不公平現象

業界によっては『下請関係』と『依存→不公平・不平等』が直結します。

<下請関係→依存→不平等・不公平現象>

あ 一般的な『下請』における現象

需給のバランスによって『依存』が生じる
=今後の取引継続のために下請業者が『弱い立場』に置かれる
→『不平等・不公平』が生じることがある
=いわゆる『上下関係』・『強弱関係』

い 不平等・不公平現象|例

ア 取引の条件について,発注者の強引な要求が通ってしまうイ 下請業者が不当な要求を受け入れざるを得ない

3 下請法|趣旨=下請構造の不公平→是正する

下請構造の不公平は普遍的に生じる現象です。
そこで『下請』という関係についてのルールが設定されています。

<下請法|趣旨=不公平の是正>

あ 下請法の目的

『不平等・不公平』な関係を是正する
→『親事業者』に,一定の義務・禁止事項を定める

い 下請法の正式名称

下請代金支払遅延等防止法

下請法は,公平な取引を実現するためのルールを定めています。

4 下請法と独占禁止法の関係|下請法が狭く深い

下請法は独占禁止法と共通するところ・違うところがあります。
これらをまとめます。

<下請法と独占禁止法の関係>

あ 共通する目的

取引における立場の違いを利用した不正行為を阻止するという

い 性格の違い
法律 性格
独占禁止法 やや広く浅い規制
下請法 狭く深い(細かい)
う 適用の優先関係

重複する内容は『下請法が優先』となる
※下請法8条

独占禁止法は,適用範囲が広いです。
『独占』という,一般的な状態を規制するものです。
一方,下請法は適用範囲が明確に定められています。
義務・禁止行為について詳細・具体的な内容が規定されているのです。

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