1 業務に影響を与えるSNS利用|『公式/プライベート』の2つがある
2 SNSガイドライン|公開の発言→個人の権利・利益への配慮
3 SNSガイドライン|クラウド利用ルールが参考になるが『社会性』が違う
4 SNSガイドライン|名称のバラエティ
5 SNSガイドライン|意義=被害防止だけではない
6 SNSガイドライン|運用面|周知・コミュニケーション・ペナルティ
7 SNSガイドライン|運用面|人員整備
8 SNSガイドライン|従業員以外のルール設定

本記事では,SNSガイドラインを作る上での基礎的事項を説明します。
SNSガイドラインのサンプルは別記事で紹介しています(リンクは末尾に表示)。

1 業務に影響を与えるSNS利用|『公式/プライベート』の2つがある

SNSの利用によって,企業の業務に悪影響・被害が生じることがあります。
詳しくはこちら|企業×SNS|基本|公式アカウント=中の人|従業員のSNS利用の監督
SNSガイドラインの作成においては『SNS利用=発言の立場』によって,大きく2つに分類します。

<業務に影響を与えるSNS利用|『投稿・利用』の『立場』の峻別>

あ 公式発言・公式アカウント:中の人

企業の代表者・担当者としての立場の発言
ア 業務の一環である
イ 業務命令・指揮監督の対象範囲内
ウ マニュアル化しやすい

い プライベートでの発言・利用

ア 企業のインフラ・端末(PC)の利用
・管理者=雇用主が規制(禁止)できる
・モニタリングの適法性・心理的影響含めて検討要
イ 個人の保有する端末によるアクセス
原則自由=規制対象ではない
ただし,会社への影響が生じる可能性はある

2 SNSガイドライン|公開の発言→個人の権利・利益への配慮

SNSはその名前どおり,ソーシャル=社会的な役割・機能があります。
つまり,友人・知人とのコミュニケーションの1つなのです。
SNSガイドライン作成においては『従業員のプライベート』という側面に配慮する必要があります。

<SNS利用ルール×個人の権利・利益への配慮>

あ 表現の自由への配慮

憲法上の『表現の自由』は本来私的な関係では適用されない
規模の大きな組織は『間接的に適用』される
→表現の自由への『配慮』が必要となる

い プライバシー権の侵害

ルールの内容によっては,従業員のプライバシー権侵害となり得る
→規制・ガイドライン策定の全体について配慮が必要となる

3 SNSガイドライン|クラウド利用ルールが参考になるが『社会性』が違う

オンラインでの情報の扱い,という意味では,SNSと『クラウド』は似ています。
しかし『社会性』が大きく違いので,これをしっかりと意識しながら参考にすると良いでしょう。

<SNSとクラウドの比較>

サービス 公開の有無 機能
SNS 一定範囲で公開が原則 コミュニケーション
クラウド 非公開が原則 情報の保管

4 SNSガイドライン|名称のバラエティ

SNS利用のルールを作る際,『名称』については特に決まりはありません。
『厳格な拘束力がない』という性格から『ガイドライン・ポリシー』という語法が妥当でしょう。

<SNSルール|名称>

あ 名称の前半部分

ア SNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)
イ ソーシャル・メディア

い 名称の後半部分

ア ガイドライン
イ ポリシー
ウ 規則・規程・規定
『拘束力が強い』ルールについて用いるのが通常
ただしこれらを名称に用いても誤りではない

5 SNSガイドライン|意義=被害防止だけではない

SNSガイドラインを作成し運用する意義は『被害防止』が根本的なものです。
しかし,それだけにとどまりません。

<ソーシャル・メディア・ポリシーの意義>

あ 『炎上』『祭り』の発生防止

企業のイメージダウン・信用失墜を予防する

い ルールを『社外に公表する』

最近ではガイドラインなどをウェブ上で公開する企業が増えている
企業の姿勢・理念が広くに伝わる
《伝達先=閲覧者の範囲》
ア 従業員
イ 顧客(ユーザー)
ウ 取引先

う 教育・啓蒙
え 事故発生時の懲戒処分の『責任』を明確化する

本来は『被害防止』である
その裏返しとして違反があった場合の責任判断の1要素となる
例;懲戒処分など

お 取引先の安心

ルール化・管理をしっかり行っていることを説明する
→顧客・取引先がプラスイメージを持つことにつながる

か 内部統制構築義務の一環となる

社会的に会社が一般的に負う『内部統制構築』の義務の1つとなる
融資する金融機関・上場規則上の義務となっていることもある

このようにSNSを『良い方向に』積極的に使う,という姿勢も盛り込むべきです。

6 SNSガイドライン|運用面|周知・コミュニケーション・ペナルティ

SNSガイドラインは,単に作成し公表しただけでは『活きない』です。
作成した後の運用によって初めて『十分に活かせる』と言えます。

<SNSガイドラインを活かすための運用>

あ 従業員教育

ア SNSポリシー・ガイドライン
作成→周知の徹底
=定期的研修・その他のコミュニケーション

い 違反時→懲戒処分

『組織としての対外的な責任』にもなる
=対外的な安心感・信頼につながる

7 SNSガイドライン|運用面|人員整備

SNSガイドラインを実際に運用する際は『人員の整備』も重要です。

<人員整備>

あ ソーシャルメディアに関する業務を扱う部署・担当者

ア 運用継続・撤退の判断
イ 問題が生じた時の対応の判断
例;SNS責任者

い 『中の人』との分離

『中の人』とは別部署・別人がベター
『中の人』は『発言する人(部署)』である
→『SNS担当者=抑止する人』とは相反する立場にあるため

企業の規模や全体の業務の状態によって『妥当な規模』が大きく違います。
以上の整理は,あくまでも一般的な傾向です。

8 SNSガイドライン|従業員以外のルール設定

SNSガイドラインは『従業員が理解し各自の行動に取り入れる』ことを前提としています。
実際には『従業員以外』の方にも順守を要請するべきこともあります。

<SNSガイドライン|従業員以外の関係者への適用>

あ 派遣社員・業務委託

次のような契約類の中の条項としてルールを盛り込む
『契約書本体』とは別の規約として調印しても良い
《これらの契約に盛り込む》
ア 人材派遣契約
イ 外注業者との業務委託契約

い インターシップ・産学連携など

規約・契約などの書面としてルールを調印する
『雇用』ではないとしても『ルール遵守』の徹底の必要性は同様である

う ポリシー・ガイドラインを『示す』

以上のように直接拘束する関係にない場合
→ルール『示す』だけでもベターである
=最低限『リスクの認識』だけでも行動に影響することが期待される