1 将棋|平安時代にさかのぼる伝統的戦(いくさ)シミュレーションゲーム
2 将棋×テクノロジー|棋士vsコンピュータ=電脳戦
3 将棋×テクノロジー|電脳戦の発展|ルール設定でおもしろさ最適化
4 将棋・チェス×『インターネッツ集合知』|カスパロフvsワールドin1999
5 将棋・チェス×『インターネッツ集合知』|チェス王者vsワールドin1996
6 将棋・チェス×テクノロジー|インターネッツ×集合知|民主制の検討
7 将棋×テクノロジー|『人間の脳のメカニズム』の研究
8 将棋×テクノロジー→『愉しみ』の広がり

1 将棋|平安時代にさかのぼる伝統的戦(いくさ)シミュレーションゲーム

将棋は,和室と着物が象徴とされる,日本の伝統的な戦シミュレーションゲームです。
本質的に偶然の要素はなく,個人の思考能力で勝負するゲームです。
平安時代頃から日本の各地で,手軽なレクリエーションとして多くの方に楽しまれてきました。
(日本への伝来時期は諸説があり,判例等の統一的公式見解はない)

2 将棋×テクノロジー|棋士vsコンピュータ=電脳戦

従前,人々の趣向の多様化により,将棋人口は減りつつありました。
しかし最近,改めて注目されるべき状況が訪れています。
伝統個人競技であるはずの将棋界に,コンピュータの活躍の領域が広がってきています。
『人間対コンピュータの対戦』は,日頃将棋に興味を持たない者をも含めて強い関心を得ています。
なお,これは比喩であり『棋士対プログラマ』という人間同士の戦い,というのが本質でしょう。
しかし,個々の対局の勝敗と,今後の将棋の発展は別です。

<今後の将棋の発展の流れ>

『コンピュータに勝つ/負ける』
『将棋の対局』というコンテンツ消費の拡大
『コンピュータやそのプログラムの発展』の土俵(盤)

3 将棋×テクノロジー|電脳戦の発展|ルール設定でおもしろさ最適化

『勝ち負け』自体と言うよりも『見る人の興味の最大化』が図られていくことが期待されます。
コンテンツ提供としての最適化とも言えます。
『条件・ルールの設定』によって『ハラハラする勝負・良い勝負』を作る,という意味です。
アイデアの例をまとめます。

<電脳戦|おもしろさアップ・アイデア>

あ 基本方針

『条件設定の工夫』を究める

い 条件設定|例

コンピュータ側に次のような制限を加える
ア 消費電力制限
イ 温度(発熱)制限
ウ ネットワーク利用制限

4 将棋・チェス×『インターネッツ集合知』|カスパロフvsワールドin1999

将棋ではなく『チェス』ですが,テクノロジーとの組み合わせの実例を紹介します。
『集合知』という将来活用が期待される手法の研究と直結しています。

<『カスパロフvsワールド』in1999>

あ 対戦者
チェス王者(当時) 挑戦者
ガルリ・カスパロフ 『ワールド・ティーム』
い 『ワールド・ティーム』|投票システム

75か国以上に散在する一般プレイヤー約5万人
→インターネッツで『次の1手』を投票する
→得票数が最大の『次手』が選択される

う 『ワールド・ティーム』|協議システム

各プレイヤーは投票前にインターネッツ上で協議しても良い

え アマチュア×セミプロ→プロに匹敵現象

インターネッツ上の意見交換=協議で『リーダー』が登場した
ア リーダー
アイリーナ・クラッシュ;元・全米女子王者;当時15歳
イ リーダーの役割
うpされた多くの候補手の『評価→位置付け・整理』のコメントを行った

お 勝負の行方

最終的には王者カスパロフが勝利した
しかし『辛勝』と言える戦局であった
《カスパロフのコメント》
『今までのゲームで,これほどエネルギーを使ったゲームはない』
※参考情報後記

5 将棋・チェス×『インターネッツ集合知』|チェス王者vsワールドin1996

カスパロフvsワールドは非常に興味深い対戦でした。
それ以前に,これと似ている対戦が行なわれています。
この2つの『違い』が,集合知の研究テーマとなっています。

<『チェス王者vsワールド』in1996>

あ システムの違い

システムは次の点以外は1999と同様であった
《システムの違い》
投票時間が短い=1手あたり10分
→『投票前にプレイヤーの意見交換』が実質的に不可能

い 勝負の行方

王者の『圧勝』
※参考情報後記

6 将棋・チェス×テクノロジー|インターネッツ×集合知|民主制の検討

2つの『チェス王者vsワールド・ティーム』のゲームから有益な現象が読み取れました。
『民主制』の効率化につながる研究テーマと言えます。

<2つの『ワールド対戦』から判明したこと>

あ 複雑な意思決定の実効性・効率性アップ

次の要件が揃うと強烈な実効性・効率を獲得できる
ア アマチュアの集合知
イ 適切な専門的リーダーの助言
ウ 熟議を尽くす

い 多い船頭→船山に登る現象

『アマチュア(素人)の集合知』の多数決だけの場合
→適切ではない結論に達する(選択してしまう)
=『直接民主制』が構造的に抱える問題
≒『お手軽だけのネット投票』の問題点
※参考情報後記

このように将棋・チェスは,現在,単なる伝統的レクレーションという立場に収まっていないのです。
テクノロジーの進化・社会の発展にいろいろな形で結びついているのです。

関連性は薄いですが,参考として『船頭の多い』として話題になっているホテルがあります。
外部サイト|サンクルーズホテルinS.Korea

<参考情報>

Wedge15年5月p88『集合知とネット民主主義』
ハーバード・ビジネスレビュー13年9月『集合知のちから』
東京大学名誉教授 西垣通氏

7 将棋×テクノロジー|『人間の脳のメカニズム』の研究

将棋とサイエンス・テクノロジーとの結びつきはまだあります。
『プロ棋士』の思考能力が卓越していることも研究テーマになっています。
脳の働き方を機能的磁気共鳴画像測定(fMRT)や脳波測定で分析・解析する実験が行われています。
一般の方との違いも発見されており,今後,人工知能・人間型コンピュータの開発につながることが期待されています。

8 将棋×テクノロジー→『愉しみ』の広がり

以上のように,将棋というリクリエーションは,コンピュータの登場により,新たなステージに入りました。
今まで以上に面白みが出てきているとともに,科学・技術の発展にもつながるという様相を見せています。
『愉しむ』方法も大きく拡がることが期待されます。

<『将棋の愉しみ』発展の具体例>

あ リクリエーションとしての発展

ア 高齢者社会における『老後』の過ごし方の一環
イ コンピュータの登場による若年層ファンへの拡がり
ウ 女性棋士(女流棋士)の活躍→女性ファンへの拡がり

い 棋士とファンの『オンライン×オフライン』コミュニケーション

ア オンライン
電子書籍,SNS
イ オフライン
・講演・ライブ解説
・飲食店とのコラボ
例;『道場』より気軽な将棋バー,将棋カフェ

う 棋士vsコンピュータ

『条件設定の工夫』を究める(前述)

え タッグティーム制導入|例(※1)

ア 『プロ棋士+コンピュータ』のタッグ
イ 複数のプロ棋士のタッグティーム

お 『集合知』活用対戦

例;『プロ棋士』vs『オープンネットワーク』
ネット上で次の1手を募集し,最多の手を採用(前述)

<『複数のプロ棋士がタッグを組む』の問題点(上記※1)>

ア 伝統との兼ね合い
イ 見解の不一致時の対処(仲間割れ)→紛争的