1 再エネ一般×森林法|保安林の保護
2 再エネ一般×森林法|保安林指定解除
3 再エネ一般×国有林野法|国有林の貸与要件→緩和の方向性
4 再エネ一般×国有林野法|国有林の貸与|5ヘクタール上限→緩和
5 再エネ一般×自然公園法|一定の開発は『許可』が必要
6 再エネ一般×自然環境保全法|原生自然環境保全地域→発電事業NG
7 再エネ一般×農地法|転用許可制度
8 再エネ一般×農地法|転用許可|規制緩和
9 再エネ一般×農地法|非農地証明→地目変更

再生可能エネルギーによる発電事業に共通する『立地の規制』についてまとめます。
発電方式別の規制・法律問題はそれぞれ別記事にまとめてあります(リンクは末尾に表示)。

1 再エネ一般×森林法|保安林の保護

発電事業では『保安林』として指定された土地を利用するケースもあります。

<再エネ一般×森林法|保安林の保護>

あ 『保安林』の保護|対象行為

ア 立木の伐採or損傷
イ 土石・樹根採掘
ウ 開墾・その他の土地の形状を変更する行為

い 『保安林』×許可制度

都道府県知事の許可が必要
※森林法34条1項,2項

う 『保安林』の解除申請

『保安林』の指定解除を申請する手続
→農林水産大臣or都道府県知事に対して申請する
※森林法27条1項

2 再エネ一般×森林法|保安林指定解除

『保安林としての指定』自体を解消する手続があります。
指定が解除されれば,当然,保安林としての規制が適用されなくなります。

<再エネ一般×保安林の指定解除>

あ 保安林の指定解除の要件

『指定理由の消滅or公益上の理由の発生』を証明する必要がある
※森林法26条

い 『公益上の理由』の内容

現在では『土地収用法における収容』のみ

う 土地収用法における『公共の利益となる事業』

電気事業法上の『一般電気事業』『卸電気事業』『特定電気事業』
→再生可能エネルギー発電に関する設備は含まれていない
※土地収用法3条17号

3 再エネ一般×国有林野法|国有林の貸与要件→緩和の方向性

発電事業用地が『国有林』というケースもあります。
この場合,政府から土地(国有林)の『貸与を受ける』必要があります。

<国有林野の貸与|発電事業者間の差別解消>

あ 貸与を認める基準の『差別』

次の2事業で要件・基準が異なる
→公正な競争になっていない
ア 『一般電気事業者』
イ 『再生可能エネルギー発電事業者』
※国有林野法7条,8条

い 具体的な基準内容と改良案

ア 『一般電気事業者への売電』に限定されている
→『特定規模電気事業者(PPS)』も含まれると公平になる
イ 『地域の進行計画に位置づけられる』が要件
→『自治体の同意』まで緩和するとベター

4 再エネ一般×国有林野法|国有林の貸与|5ヘクタール上限→緩和

国有林の貸与を受ける場合『面積の上限』の規定があります。
この上限は,再エネ発電事業については緩和されています。

<国有林野の貸与|5ヘクタール上限の緩和>

あ 国有林野法の貸与の上限|原則

5ヘクタール
※国有林野法7条1項5号,2条1号

い 上限面積の緩和方針

次のいずれにも該当する場合『5ヘクタール超過』も可能となる
ア 自然エネルギーを利用した発電事業
イ 一定の条件を満たす
※国有林野法7条1項1号
※林野庁長官通知;国有林野を自然エネルギーを利用した発電の用に供する場合の取扱いについて

5 再エネ一般×自然公園法|一定の開発は『許可』が必要

『国立公園・国定公園』を発電事業で利用する場合,一定範囲で『許可』が必要です。

<再エネ一般×自然公園法>

あ 規制行為=要許可行為

ア 木竹の伐採or損傷
イ 工作物の新築
ウ 土石の採取
エ 土地の形状を変更する

い 許可

環境大臣or都道府県知事の許可が必要
※自然公園法20条3項2号,3号,4号,10号,21条3項1号,2号

う 再エネ×要許可行為

ア 物理探査など→地下の情報を収集する行為
イ 掘削行為
ウ 発電所建設行為

6 再エネ一般×自然環境保全法|原生自然環境保全地域→発電事業NG

『原生自然環境保全地域』に指定されているエリアは原則的に発電事業ができません。
文字どおり『環境を維持・保護する』対象なので,当然ではあります。

<再エネ一般×自然環境保全法>

あ 規制対象エリア

『原生自然環境保全地域』

い 規制対象行為|抜粋

ア 建築物・工作物の新築・改築・増築
イ 鉱物の掘採・土石の採取
ウ 木竹の伐採・損傷
エ 動物の捕獲・殺傷

う 許可制度

環境大臣の許可が必要

え 許可要件

学術研究その他公益上の事由により特に必要である
※自然環境保全法17条1項

7 再エネ一般×農地法|転用許可制度

発電事業用地が『農地法上の農地』である場合は,そのままでは土地を利用できません。

<再エネ一般×農地法|許可制度>

あ 許可が必要な行為|概要

『田・畑=農地』を農業以外に利用する場合

い 許可が必要な行為|種類=転用・権利移動
許可の種類 農地法
転用 4条
転用のための権利移動 5条
う 許可申請先

都道府県知事or農林水産大臣

8 再エネ一般×農地法|転用許可|規制緩和

再エネ発電事業については農地法の転用許可の基準が緩和されています。

<再エネ一般×農地法|規制緩和>

あ 立法

農山漁村再生可能エネルギー促進法
→規制緩和・事業促進

い 主な促進策・メリット

ア 促進が見込まれる地域を明確化した
イ 市町村が許可・所有権移転を実質的に一括代行する
ウ 農漁村にとって売電収入が村の活性化につながる

う 施行日

平成26年5月1日

9 再エネ一般×農地法|非農地証明→地目変更

登記上は『田・畑』であっても,実際には農業が行われていない土地も多いです。
この場合『農地法の転用許可』が不要ということもあり得ます。

<『田・畑』の地目変更|非農地証明>

あ 状況

登記上の地目は『田・畑』である
実態として農地ではない場合

い 対応

農業委員会から『非農地証明』を得る
→『地目変更』の登記申請を行う
→登記上の地目が現状に変更される
※通達;昭和56年8月28日56構改B第1345号
『登記簿上の地目が農地である土地の農地以外への地目変更登記に係る登記官からの照会の取扱いについて』

う 『地目変更』|要件

次のいずれにも該当する
ア 災害により農地等としての利用ができなくなった
イ 農地等への復旧が将来においても不可能である』
例;周防市非農地証明交付基準3条1項4号

<参考情報>

高橋滋『震災・原発事故と環境法』民事法研究会p54〜187
豊永晋輔『NBL』964号商事法務p66〜