1 みんなのUBERのサービス提供
2 みんなのUBERに対する行政指導
3 通達による『有償』判断基準(概要)
4 みんなのUBERの『有償』該当性の考察
5 みんなのUBERの発展性

1 みんなのUBERのサービス提供

みんなのUBERというサービスについて国交省が行政指導をしたことが話題になったことがあります。
みんなのUBER事件は法規制の解釈についての曖昧な部分が表面化したといえます。
本記事ではみんなのUBER事件について説明します。
まずはみんなのUBERのサービスの内容をまとめます。

<みんなのUBERのサービス提供>

あ システム

UBERのユーザーがスマホで『配車依頼』を行う
UBERに登録済の一般ドライバーが『運送』を行う

い 対価性

ユーザーは『対価』を支払わない=無償
ドライバーはUBERに『走行データ』を提供する
UBERはユーザーに対し『データ収集の対価』を支払う

う サービスローンチ時期

平成27年2月5日開始

え 産学連携

ア 基本的事項
このプロジェクトは『産学連携機構九州』と提携している
イ 産学連携機構九州という組織の目的
九州大学の知的資源を活かした新事業・新産業の創造など
国立大学の改革の1つとしての好ましい活動といえる
詳しくはこちら|国立大学の意義・法人化したが独立採算ではない

『みんなのUBER』ですが,サービスローンチ直後に国交省から『指導』が入りました。

2 みんなのUBERに対する行政指導

国交省がみんなのUBERについて,道路運送法に抵触する可能性を指摘しました。

<みんなのUBERに対する行政指導>

あ 結論部分

『道路運送法に抵触する可能性が高い』
※平成27年3月4日各社報道

い 判断の理由

ア 金額
ドライバーが受領した金銭は1週間で数万円というケースもあった
→一般的なタクシー代金と同程度と言える
イ 募集における『金銭の強調』
ドライバーの募集において『収入が得られる』ことを強調していた
ウ 総合判断
有償性が認められると判断した
※国交省からのヒアリング平成27年4月

サービス提供者としては,無償なので道路運送法の規制は適用されないと考えていました。
しかし国交省は『有償』であると判断したようです。

3 通達による『有償』判断基準(概要)

道路運送法の『有償』については,国交省の通達で基準が示されています。
まずはこの基準の内容を整理します。

<通達による『有償』判断基準(概要;※1)>

あ 『有償』判断基準

『い』のいずれかに該当する場合
→『有償』に該当しない

い 『有償』が否定される事情

ア 任意の謝礼
イ 換価困難な財物
ウ 実費の負担のみ
エ 公費負担=ユーザー負担なし
オ 施設利用者の無料送迎
カ ユーザー所有車による運送
※平成18年9月29日自動車交通局旅客課長事務連絡
詳しくはこちら|道路運送法|無償/有償・判断基準|国交省解釈・通達

4 みんなのUBERの『有償』該当性の考察

みんなのUBER事件では,事業者と国交省で『有償』についての判断が異なっていました(前記)。
ここで,有償に該当するかどうか,について,通達の基準(前記※1)を元にして考察してみます。

<みんなのUBERの『有償』該当性の考察>

あ 各項目の検討
通達の基準項目 実情 該当するか
『行為に対する任意の謝礼』 ドライバーの金銭受領が前提 該当しない
『給付』内容が『換価困難』 受領物は『金銭』 該当しない
実費の負担のみ データ提供料
負担は公費のみ・施設使用料への反映なし 負担者はUBER 該当しない
ユーザーの所有する自動車を用いる 乗客の所有車ではない 該当しない
い まとめ

ア 『実費の負担』(※2)
ドライバーに支払われる金銭が『実費の負担』の範囲内と言えるか
→実質的に『一般のタクシーと同レベル』の金額である
=実費の範囲を超えている
→『有償』に該当する
イ 支払者(UBER)と乗客の違い
『第三者が負担』であっても
サービス提供者がサービスの対価を受け取っている
→『有償』に該当する方向性

みんなのUBER事件では実質的な『金額』が小さくなかったことが重視されていました。
この点,金額を実費以内に抑えて適法性を『安全方向』に設定しているサービスもあります。
外部サイト|長距離ライドシェア・notteco
結局『顧客の集客力』と『適法性』のバランス,という一般的な事業の経営判断の1つと言えます。



5 みんなのUBERの発展性

UBERとしては,さらに工夫して適法にサービス提供をする意向をコメントしています。
ここで『発展形』のバリエーションについての適法性をまとめます。

<みんなのUBERの発展性>

あ UBERのコメント

今後はガソリン代やデータ通信費などの実費を支払う
※各社報道

い これらの費用と『有償』該当性

実費として明確に特定されている場合
→『有償』ではない(前記※2)

みんなのUBER事件では,適法性に関する疑問を指摘され,ブレーキがかってしまいました。
改めて,便利なサービスが普及されることが期待されます。
なお,みんなのUBER事件は認知度を高めるという意味では大きなプラス効果が生じたともいえます。