【不動産仲介・マッチング×IT活用|宅建業法の規制・回避法】

1 不動産流通×IT活用→社会的メリット

不動産の流通(売買・賃貸)については、『仲介業者』が活躍します。
仲介業者の行う業務を分解するといろいろなものが含まれています。
IT活用によるイノベーションが期待される業務が多くあります。
ベンチャー企業が見つめる航海のチャートと言うべきものでしょう。
参考として、ニューヨークでの実情も含めて整理します。

<不動産仲介業務の内容分析|全体>

業務 宅建業該当性(後記※1 代替・競合業種 ニューヨークの例
客付け(広告・情報流通) HP・アプリ 仲介業者
査定 HP・アプリ(後記※2)・不動産鑑定士 仲介業者
現地・建物調査 調査会社(後記※3 インスペクション会社
権利関係の調査 弁護士・司法書士 タイトルカンパニー
現地案内 仲介業者
融資付け(後記※4 モーゲージブローカー
重要事項説明 弁護士・不動産鑑定士 弁護士
契約書作成+調印立会(後記※4 弁護士・司法書士 弁護士
登記手続 司法書士 弁護士
トラブル処理(後記※5 各種管理サービス・弁護士

※HP→インターネット上のサイト、という意味

2 不動産仲介業務の内容分析|補足・注意事項

上記の内容分析の中のいくつかの点について説明を補足します。

<不動産仲介業務の内容分析|補足・注意事項>

あ 宅建業該当性(※1)

主に『媒介』の解釈が問題となる(後記)

い 査定アプリ(※2)

現在でも既にローンチ済・運用中のものもある
外部サイト|マンション.navi

う 建物調査会社;インスペクター(※3)

日本でも取り組む事業者がある
外部サイト|株式会社 日本建築検査研究所

え 融資付け・契約書作成(※4)

この2つの業務は実際には、連携する部分がある
例;『融資特約』を契約書に盛り込む

お トラブル処理(※5)

仲介業者がトラブル処理を行うことがある
アフターサービスや管理サービスとしての業務である
内容・説明は後述する

3 宅建業法の規制|対象行為+負担|概要

『テクノロジーの開発・普及』にブレーキとなっているのが法規制です。
『業法の法規制は既得権益による人為的参入障壁だ』と言う格言もあるくらいです。
いずれにしても、現行の法規制について説明します。
具体的な『ブレーキ』となる法規制は宅建業法です。
『媒介』に該当すると多くの規制が適用されます。
規制対象となった場合の負担の主要なものをまとめます。

<宅建業法の規制|対象行為+負担|概要>

あ 対象行為|概要

不動産の賃貸・売買の『媒介』に該当する行為
→『宅地建物取引業』に該当する

い 宅地建物取引業×参入規制=免許取得

一定の『宅建士』を確保する
→『宅地建物取引業の免許』を取得する

う 宅地建物取引業×行為規制=重要事項説明義務

一定の業務量となっており、高いコストの根源となっている
参考コンテンツ|不動産の仲介の免許制度とイノベーション|内見→外注|重要事項説明オンライン化

逆に言えば『媒介』に該当しなければ、IT活用→コスト削減・スピードアップ、が実現するのです。
一方、重要事項説明は排除すれば良い、というわけではありません。
これに代わる『トラブル回避措置』が重要になります。
外部サイト|参考|米国の査定サイトZillowに関するブログ記事

4 『媒介』の解釈論|概要|情報提供だけなら該当しない

『媒介』に該当するかどうかの判断基準を概要をまとめます。

<『媒介』の解釈論|概要>

あ 『媒介』と認定される主要な事情

『情報提供+契約交渉』

い 『媒介』と認定されない状況

次のいずれか一方だけ
→『媒介』と認定されない傾向にある
ア 『情報提供(いわゆる客付け)だけ』イ 『契約交渉だけ』

う マッチングサービス×『媒介』

Webサイト・アプリによるマッチングサービス
→『情報提供』だけである
→『媒介』に該当しない

この解釈論は、最高裁判例などの統一的・明確な見解・基準ではありません。
しかし、一般的にこれを前提として実際に遂行されている事業も多いです。
『媒介』の詳しい解釈論については別記事で説明しています。
(別記事『宅建業法・規制内容・解釈論』;リンクは末尾に表示)

5 不動産流通×近未来の動き|業務を小分け×ITツールでの組み合わせ

不動産流通業界は古いインフラを前提として構築されています。
現在はスマホや各種センサーなどでインフラ自体が飛躍的に発展しています。
不動産流通は、近い将来に、次のような方向性で進むと思われます。

<不動産流通×ITによる進化・方向性>

あ 流通システムの変化

現在は仲介業者が『多くのパッケージ』をまとめて提供している
また『過剰業務』も多い
→『仲介業務』の一部について『ITの活用』が進む
=新サービスによるリプレイス
→コスト削減・スピードアップが図れる

い 既存仲介業者の行方

既存仲介業者は2方向に分かれる
ア 『ITに代替される』イ 『ITを活用する』 行き先に影響を与える要素=既存生態系=しがらみ

既存業者・ベンチャー企業が切磋琢磨して、社会的により有用・効率的な構造を作ることが望まれます。

6 マッチング|理想的な取引形態=直接取引

仲介業者の業務のうち、大きなサービスは『客付け』です(前記)。
要するに『売る人と買う人』『貸す人と借りる人』をつなげることです。
この点、ITの活用でマッチングの実現する方法が大きく変わりつつあります。

<マッチング|理想的な取引形態=直接取引>

あ 理想的な形態

オーナーと借り主が直接つながる方法
=直接取引

い 効率化・コストダウン

仲介業務自体が不要になる
面倒な媒介契約をしなくて済む
来店も不要になる
※ホリエモンドットコム|鈴木直樹氏(後記)

もちろん『マッチング』以外に必要なサービスもあります(前記)。
特に『売買』では『アドバイス』が必要なことが多いと思われます。
上記のまとめは主に『賃貸』を前提にした『理想』という意味です。

7 仲介業者×トラブル処理|管理的な業務

仲介業者が一定のトラブルの対応をすることもあります。
本質的な『仲介業務』ではありません。
トラブル処理に関する業務をまとめます。

<仲介業者×トラブル処理|管理的な業務>

あ 仲介業者×トラブル処理|位置付け

主に次のような形態がある
ア 仲介業務のアフターサービスとして遂行するイ 賃貸物件の仲介業務として受注する

い トラブル処理×アウトソース

トラブル処理のメイン作業を仲介業者が行うことは少ない
通常、外部の事業者のサービスを活用する

う トラブル処理・具体例

ア 鍵の紛失 アウトソース=24時間現場に赴くサービスを利用する
イ 火災時の賠償 アウトソース=保険会社が対応する
※ホリエモンドットコム|鈴木直樹氏(後記)

このように、仲介業者自身が大きな役割を遂行するわけではありません。
役割が小さいことについては、次にも説明します。

8 仲介×リプレイス|IT活用によるサービス高度化・低額化

不動産流通業界はサービスが進化する余地が大きいと思われます。
仲介業務の進化の方向性をまとめます。

<仲介×リプレイス|IT活用によるサービス高度化・低額化>

あ 提供サービス・価値×リプレイス
従来の提供サービス 現在のリプレイス例
入居者を探すこと マッチング・プラットフォーム(後記※6
トラブル処理 アウトソース

(※6)オンラインのサイト・アプリのことである

い 仲介省略の展望

仲介業者は、ほぼ連絡の取り次ぎだけしかしない
→仲介業者をなくしても何のトラブルも起きないと思う
※ホリエモンドットコム|鈴木直樹氏(後記)

実際にIT活用によるサービスの進化が見られます。
多くの事業者が熱心にサービスの高度化や低額化に取り組んでいらっしゃいます。
これについては別に説明しています。
(別記事『不動産流通×ICT活用・サービス実例』;リンクは末尾に表示)

9 参考情報|Nomad・鈴木直樹氏

以上の説明では『Nomad』を作られた鈴木直樹氏のコメントを参考にしています。
このコメントのオリジナルを記しておきます。

<参考情報|Nomad・鈴木直樹氏>

あ 対談|ホリエモンドットコム

鈴木直樹氏・堀江貴文氏
『テクノロジーで不動産賃貸の取り引きを変える』
ノマドの鈴木直樹が考える『お部屋探しサービス』の未来とは?
外部サイト|ホリエモンドットコム|鈴木直樹氏・対談

い スピーカー

鈴木直樹氏
ノマド株式会社代表取締役
次の物件紹介サービスの運営を開始した
現在はイタンジ株式会社が運営を承継している

う サービス|Nomad

『Nomad(ノマド)』
キャッチ=便利でお得なお部屋情報紹介サービス
特徴=賃貸・仲介手数料・全物件ゼロ円
外部サイト|Nomad

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