【強姦罪・痴漢の発生メカニズムと冤罪リスクや冤罪ビジネス】

1 性犯罪の深刻さ
2 根本的原因の理解=生物進化論
3 厳罰化よりも根本的原因の理解が予防につながる
4 意図的冤罪=『でっち上げ・冤罪ビジネス』も多い
5 性犯罪の冤罪の典型要因=合意の立証困難性
6 結婚前提の性交渉だけしか合意の証拠化ができない
7 テクノロジーを使った冤罪リスクの防衛策

1 性犯罪の深刻さ

もちろん,常識を逸脱した性的な行動は,被害者に著しい長期的・重い精神的なダメージを与えます。
心的外傷後ストレス障害(PTSD),トラウマという症状・現象を遺すことも多いです。

2 根本的原因の理解=生物進化論

性差によって,この『ダメージを理解すること自体ができていない』という根本的な問題があります。
根本的な原因について説明します。
生物進化・性淘汰という過程でヒトも含めた動物は『繁殖を目的とした最適化』が実現されています。

<進化における『欲望』の男女の差>

あ 進化における最適戦略

動物の進化のプロセルにおいて
繁殖に最適戦略が選択される

い 最適戦略の内容(男女の差)

ア オスが極端に強い性的欲望を持つイ (繁殖適齢の)メスが極端に高い魅力を持つ

う 最適戦略の内容(感情の例)

ア 恋愛に関する感情 異性への好意・嫌悪感
同性への嫉妬
イ 性交渉への欲望や恐怖感

う 性選択のメカニズム

オスがメスに押し寄せる
→メスが大量のオスの中から繁殖に適した個体を厳選できる
『利己的な遺伝子』リチャード・ドーキンス

なお,この最適戦略を構成するのは,非常に多くの『感情』です。
恋愛小説では『トリッキーな心の動き』として描写されているものです。
以上のような『欲望』や『感情』については,強烈な『性差』があるのです。
絶滅せずにヒトが現在まで生き延びるために必要不可欠であった欲望や感情です。

3 厳罰化よりも根本的原因の理解が予防につながる

要するに,現代社会,人間社会は『プリミティブな感情・欲望を抑圧することで維持されている社会』と言えます。
もちろん,現代社会は法治社会です。
『欲望の赴くままの暴力・腕力』は許されません。
社会制度による規制・ルール化自体は適切であることは言うまでもありません。
(結婚制度に最適化の余地がある,など,制度設計の内容は別ですがここでは触れません)

問題は,『各種の性的なアクション』に対する感情・欲望が男女で極端に違う,ということを『理解する』ということです。
『自分だったら◯◯と思う』という思考回路では『痛み・ダメージを理解する』ことはできません。
痛みの理解がないと,再犯可能性の根絶が実現しないでしょう。
この点,『重罰化』は『再犯へのブレーキ』としての1つの方法です。
しかし,痛みの理解がないと効果は弱いと思います。
打開策のヒントは『教育(制度)』であると思います。
いずれにしても,社会で取り組むべき重大な課題です。

4 意図的冤罪=『でっち上げ・冤罪ビジネス』も多い

『強引系』,つまり性犯罪については,他方で,『冤罪リスク』も大きいです。
『強姦罪』や『準強姦罪』では,『合意・納得していたかどうか』(主観面)の認定が曖昧である傾向が強いのです。
また,痴漢については,『明確な証拠がない』『当事者以外の目撃者がいない』という特殊性があります。
実際に,これを『悪用』する女性も存在します。
示談金目的で,痴漢をでっち上げる,言わば冤罪ビジネスというケースもあります。
特に,収入や資産,社会的地位のある男性が『冤罪ビジネス・でっち上げ』のターゲットとなるケースが目立ちます。

5 性犯罪の冤罪の典型要因=合意の立証困難性

性交渉が『強姦罪』になるかならないかの違いは,『無理やり』なのか『お互い納得していた』か,ということです。
ビジネス上の取引であれば,『契約書』の有無・内容で判断するところです。
しかし,性交渉では,その前に『意思を証拠にする=契約書の調印』ということは非現実的です。
女性が『性交に合意したことを確認する』という書面への調印を求められたらどうでしょうか。
成就すべき恋愛も冷めてしまいます。
破局というか,恋愛未満のまま終了するでしょう。
一方,『ノーマルな恋愛における,納得していた性交渉』だったとしても,その後の経緯で女性側の感情が大きく変化します。
2人の仲が破局など,悪化すると,『納得していた』から『強引にされた』という感覚に変化します。
これは,『不本意な男性に体を許した』という事実を否定したい,という潜在的・本能的感覚が元になっていると考えられます。

<性犯罪の冤罪の典型要因=合意の立証困難性>

あ 明確な合意の形式の不存在

ノーマルな恋愛における性交渉において
要するに『明確な意思確認』がない
例;初めての性交渉の前に合意書を調印する
→類型的に『強引』と主張されるリスクが残る
一般的な取引とは大きく異なる特徴である

い 行為から敵意へのスイッチング

恋愛・交際は終りを迎えることもよくある
終わり方が良くないと『行為が敵意に変わる』こともある

う まとめ

自然な恋愛感情による性交渉に至る経緯において
→後の事情によって『強引であった』と主張されるリスクがある

え 民事における合意の判断(参考)

被害者の供述だけで『合意のない性交渉』が認定される傾向がある
詳しくはこちら|性的侵害の事実認定の特徴(被害者の供述重視・合意に関する経験則)
被害者が従属的態度であったことでは『合意』を認めないことも多い
詳しくはこちら|職場の性的言動(セクハラ)の違法性判断基準と被害者の従属的態度

このような恋愛感情のメカニズムについては,生物進化論・性淘汰・性選択の研究によって,解明されていますが,ここでは省略します。

6 結婚前提の性交渉だけしか合意の証拠化ができない

数十年前は『性交渉の前提として結婚する』という価値観がありました。
この場合は,『婚姻』や『婚姻届への調印』が,性交渉に先行するのが通常でした。その後の性交渉は合意によるものであることが明確でした。
しかし,このプロセスは,現代社会の価値観においては非現実的でしょう。
むしろ『性交渉と結婚を交換条件にする』ということは取引のようなニュアンスさえ生じます。経済的にみると,『高額な財産的価値が引き換え』という構図になります。
『性と財産の交換』は,法的な責任を生じることもあります。
詳しくはこちら|結婚債権と投資との比較
詳しくはこちら|男女交際・性行為に関する刑罰|売春防止法・児童ポルノ法・青少年育成条例・強姦罪 

7 テクノロジーを使った冤罪リスクの防衛策

恋愛進行中の男性にとっては,この『冤罪リスク』は怖いものです。
実際に,当初仲が良い男女でも,事後的に,関係が悪化した時に『でっち上げ』が生じることがあるのです。
後から女性に『あの時は強引にされた!』と言われた時に,これを覆す明確な証拠はないのが普通です。
この点,テクノロジー進化を活用した『防衛策』が提唱されています。

<テクノロジーを使った冤罪リスクの防衛策>

全過程録音が提唱されている
刑事事件の取調可視化の動きを流用したアイデアである
ラボでの全過程録画も施行例がある
例;STAP再現実験

なお,ラボと同じく,本当に性交渉の全過程を『録画』してしまうと,別の法的問題が生じます。ヌードの盗撮ですから『迷惑防止条例違反』に該当するリスクがあるのです。
詳しくはこちら|盗撮・迷惑防止条例|東京都・神奈川県の条文規定・定義・罰則
実際はこれはちょっと大げさで,迷惑防止条例は撮影場所が公共の場所に限定されています。特殊なシチュエーションなら別ですが,住居やホテルでの撮影は条例違反に該当することはありません。

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