1 責任能力・起訴前鑑定|検察官主導なので注意が必要
2 責任能力・私的鑑定|弁護人側で独自に手配する
3 責任能力・裁判所への鑑定請求|中立のはずだがやり直しができない
4 責任能力の審理|カンファレンス=準備段階の意見交換会
5 責任能力の審理|インテーク鑑定=メイン鑑定の準備的な鑑定
6 カンファレンス・インテーク鑑定|予断排除が害される
7 責任能力×裁判員裁判|注意点=理論の本質から説明すべし

1 責任能力・起訴前鑑定|検察官主導なので注意が必要

刑事裁判では責任能力の有無・程度について熾烈に対立することがよくあります(別記事;リンクは末尾に表示)。
刑事裁判で,具体的に『責任能力の立証』を行う方法について説明します。
まずは『起訴前鑑定』についてまとめます。

<責任能力・起訴前鑑定|問題点>

あ 問題点|概要

検察官が主体となって行う

い 具体的な検察官の裁量

鑑定受託者選定
鑑定資料選択

う 事後的に覆す→ハードルが高い

事後的に裁判所に『再鑑定』を請求する
→認められない可能性が高い

2 責任能力・私的鑑定|弁護人側で独自に手配する

責任能力の鑑定として『私的鑑定』もよく用います。

<責任能力・私的鑑定|特徴>

あ メリット

鑑定結果をみてから提出するか否かを決められる

い デメリット

ア 鑑定費用
イ 面会時間の制限
医師と本人との面会時間の制限が大きい
→『鑑定結果の信用性が低い』という判断につながるリスク

3 責任能力・裁判所への鑑定請求|中立のはずだがやり直しができない

責任能力の鑑定を裁判所に『鑑定請求』をする方法もあります。
裁判所が中立の専門家に鑑定を依頼する,という方法です。
形式としては中立・公平ですが,注意も必要です。

<責任能力・裁判所への鑑定請求|特徴>

あ メリット

ア 信用性が高い
イ 費用がかからない

い デメリット

ア 実施されないリスク
起訴前鑑定が実施済みの場合
→鑑定の必要性なし,と判断される傾向が強い
イ 不利な鑑定結果
被告人に不利な鑑定結果となる可能性もある
この場合『証拠にしない』という選択ができない

4 責任能力の審理|カンファレンス=準備段階の意見交換会

責任能力が問題となっている案件では『カンファレンス』が実施されることもあります。

<責任能力の審理|カンファレンス>

あ 対象案件

被告人の責任能力が審理対象となるケース

い 実施の判断

裁判所が『カンファレンス』を実施を要請することがある

う カンファレンス|位置付け・内容

裁判所の『審判の準備』の一部
対象者に対する適切な処遇のために参加者が自由に意見交換をする

え カンファレンス|参加者|例

裁判官・鑑定人
検察官・弁護人・付添人

5 責任能力の審理|インテーク鑑定=メイン鑑定の準備的な鑑定

責任能力の審理のために『インテーク鑑定』が行われることもあります。

<責任能力の審理|インテーク鑑定>

あ 対象案件

被告人の責任能力が審理対象となるケース

い 鑑定申立

当事者から鑑定申請がなされた

う 裁判所の鑑定実施

ア 時期
公判前整理手続段階
イ 鑑定対象事項
『責任能力の鑑定』の必要性を判断するための『事実調べ』

6 カンファレンス・インテーク鑑定|予断排除が害される

カンファレンス・インテーク鑑定は審理の『準備』と言えます。
メインの審理を充実させる,という面があります。
一方で被告人サイドに不利になることもあります。

<カンファレンス・インテーク鑑定|問題点>

あ 問題点

予断排除の原則に反する
=裁判官が『正式な手続=公判』以外で事案を知ってしまう
→裁判官が証拠調べなどの審理前に『先入観』を持ってしまう
※刑事訴訟法256条6項

い 対応

事案の内容から影響をしっかりと考慮・判断すべき
→事情によってはカンファレンスなどの実施に反対した方が良い

7 責任能力×裁判員裁判|注意点=理論の本質から説明すべし

責任能力に関する主張する刑事裁判が『裁判員裁判』となった場合は注意が必要です。

<責任能力×裁判員裁判|注意点>

あ 裁判員への影響・リスク

『病気があるから軽くして欲しい』と受け取られる
→『社会に戻すのは危険→収監が良い』と短絡的に思われるリスクがある

い 悪影響のケア

責任能力の本質から説明するような弁論がベターである

一般的な裁判官による裁判と同様に考えると『不利な結果』につながる可能性があるのです。

<参考情報>

『第一東京弁護士会会報 ICHIBEN Bulletin』11年11月1日号p34〜