【重要事項説明義務の基本(説明の相手方・時期・内容)】

1 宅建業者の重要事項説明義務(基本)
2 重要事項説明義務の対象取引
3 重要事項説明の相手方
4 重要事項説明の説明時期
5 重要事項説明の方法・重要事項説明書
6 重要事項の内容
7 重要事項説明義務違反の法的責任(概要)
8 37条書面との比較(概要)
9 重要事項説明と取引中止の責任(概要)

1 宅建業者の重要事項説明義務(基本)

宅建業者は不動産の取引に関するサービスを行う業者です。
詳しくはこちら|宅建業法の参入規制(免許制)と『宅地建物取引業(者)』の定義
宅建業者は取引対象の不動産について『重要事項を説明する義務』があります。
重要事項説明の目的は当事者が取引をするかどうかの判断に必要な情報を提供するというものです。

<重要事項説明義務の基本と目的>

あ 重要事項説明義務(基本)

不動産の取引において
取引の内容=売買・交換・賃貸
宅建業者は一定の事項を説明する義務がある
略して『じゅうせつ』と呼んでいる
※宅建業法35条1項

い 重要事項説明の目的

取引候補者に対して
契約を締結するかどうかの意思決定に対する判断材料を事前に提供する
※岡本正治ほか『全訂版 詳解 不動産仲介契約』大成出版社2012年p304

う 重要事項説明の性質

意思決定に影響を与える事項を事前に説明する
例;契約の目的物とこれに関する情報
※岡本正治ほか『全訂版 詳解 不動産仲介契約』大成出版社2012年p304

2 重要事項説明義務の対象取引

重要事項説明が義務付けられる状況は宅建業者が一定の関与をした取引です。

<重要事項説明義務の対象取引>

あ 宅建業者が当事者

宅建業者が売買・交換契約の『当事者』である
例;売主
宅建業者が『賃貸人』の取引は適用されない
詳しくはこちら|重要事項説明義務の適用がないケース

い 宅建業者が仲介(媒介・代理)

宅建業者が売買・賃貸の『媒介・代理』を行っている
※宅建業法35条1項

3 重要事項説明の相手方

宅建業者は,取引の当事者全員に重要事項を説明する義務があるわけではありません。
物件を取得する者や入居する者に限られています。

<重要事項説明の相手方(※1)

あ 説明の相手方

重要事項を説明する相手方について
物件を取得・利用する予定者に限られる

い 適用対象外

売主・賃貸人に対する説明義務はない
※宅建業法35条1項
詳しくはこちら|重要事項説明の相手方

4 重要事項説明の説明時期

重要事項説明の目的は契約を締結するかどうかの判断の材料の提供です(前記)。
そこで,説明の時期は契約締結『前』となります。

<重要事項説明の説明時期>

あ 説明の時期

契約が成立する『前』(に説明する)
※宅建業法35条1項

い 違法な方法の例(概要)

契約締結時に行うことは違法である
詳しくはこちら|重要事項説明書と37条書面の比較

5 重要事項説明の方法・重要事項説明書

重要事項説明の具体的な説明方法についてまとめます。

<重要事項説明の方法・重要事項説明書>

あ 重要事項説明書

書面で説明する必要がある
口頭の説明だけでは違反となる

い 宅地建物取引士による説明

宅地建物取引士に説明をさせる必要がある
宅地建物取引士が『取引士証』を提示する必要がある

う 実務における記録化

宅建業者としては後から『説明していない』と言われたら困る
→『説明を行ったこと』の記録化が事実上必要と言える
→説明を受けた者に『重要事項説明書』へのサインを要請する

え サインの義務

重要説明を受けた者に法的な『サインする義務』があるわけではない
説明を受け,納得している場合,現実的に『サインを拒否する』理由はない
もちろん説明が不十分なのにサインをすることは避けるべきである

重要事項の説明方法については今後発展していくことが期待されています。
詳しくはこちら|不動産の仲介の免許制度とイノベーション|内見→外注|重要事項説明オンライン化

6 重要事項の内容

『重要事項説明』の対象は,宅建業法上規定されています。

<重要事項の内容>

あ 物件に関する情報

ア 物件の表示イ 登記事項ウ 法令に基づく用途,利用の制限エ ライフライン 例;水道・電気・ガスなど
オ 不動産の形状・構造カ マンション管理規約 分譲マンション=区分所有建物の場合

い 契約に関する情報

ア 当事者イ 損害賠償,違約金 典型例=ローン特約

う 賃貸の場合の説明事項

ア 契約の種類と期間イ 更新に関連する情報ウ 解約予告に関する情報エ 契約解除に関する情報オ 敷金・保証金

え その他の情報

ア 管理の委託先イ 宅地建物取引業者の報酬額 例;仲介手数料の金額
※宅建業法35条1項

なお,宅建業者が売主となっている新築住宅の売買契約の際は,資力確保措置も重要事項の1つになります。
詳しくはこちら|住宅瑕疵担保責任履行確保法による被害者救済制度(資力確保措置)

7 重要事項説明義務違反の法的責任(概要)

宅建業者が重要事項説明を怠った場合は,法的責任が生じます。
これについては別記事で説明しています。
詳しくはこちら|宅建業法×禁止事項・重要事項説明義務|不正セールス手法・行政/刑事責任

8 37条書面との比較(概要)

重要事項説明書とは別に,宅建業者が交付する書面として37条書面があります。
この2つの書面は目的や性格が大きく異なります。
そこで,交付の相手方や交付する時期が異なります。
誤った運用で違法になってしまっている実例もよくあるようです。
詳しくはこちら|重要事項説明書と37条書面の比較

9 重要事項説明と取引中止の責任(概要)

重要事項説明は,売買や賃貸などの契約を締結するか否かの判断材料です(前記)。
実際に,重要説明を受けた後で,取引予定者が契約締結を断念することがあります。
この場合には,原則的に法的責任は生じません。

<重要事項説明と取引中止の責任(概要)>

あ 原則

契約締結前に契約を断念・拒否した
=契約が成立していない
→法的拘束は生じない
→契約締結を断念したことの責任は生じない

い 例外

特殊事情がある場合
→交渉を破棄した責任が生じることもある
詳しくはこちら|契約締結に向けた交渉を破棄した責任(全体)

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