【太陽光発電×土地利用形態・担保設定|ビジネスモデルのバリエーション】

代表弁護士三平聡史1 太陽光パネル設置×土地使用形態|所有・地上権・賃貸借・使用貸借
2 太陽光パネル設置のための地上権も認められる
3 再生可能エネルギー事業用地については農地法や海岸法の譲渡規制が緩和された
4 動産担保債権担保などにより発電事業への担保設定ができる
5 太陽光発電×ビジネスモデル・バリエーション|パラメータ整理
6 再エネプロジェクトには法的サポートが必要;みずほ中央の実績

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1 太陽光パネル設置×土地使用形態|所有・地上権・賃貸借・使用貸借

ソーラーパネルを設置する用地を利用する法的な形式はいくつかあります。
大きく分けると『自分で所有する/他人の所有土地を利用させてもらう』の2つになります。
『自分で所有する』の中には,共有という形態も含みます。
一方『利用させてもらう』場合の『使用形態・利用権』としては,次の3つがあります。
それぞれについて,終了時期・登記による保全の可否などの違いがあります。

<太陽光パネル設置×土地使用形態>

あ 種類

ア 地上権設定イ 賃貸借契約ウ 使用貸借契約

い 借地借家法の適用

適用されない
理由=『建物所有目的』に該当しない
※借地借家法2条1号
詳しくはこちら|建物所有目的ではない場合は,借地借家法の適用はない

2 太陽光パネル設置のための地上権も認められる

民法の条文上『地上権』の対象は,『目的』が限定されています。
『太陽光パネルの設置』も含まれると解釈されています。
実際に,多くの事例において『地上権設定契約・登記』がなされています。

<太陽光パネル設置×地上権>

あ 『地上権』の目的

『工作物・竹木』の所有
※民法265条

い 『工作物』の解釈

地上・地下の一切の建造物が含まれる
『建物』に限られない

う 『工作物』|例

ア 一般的解釈 建物・橋梁・道路・溝や堀・池
銅像・テレビ棟・穴蔵・トンネル
地下鉄・高架路線
※『新版注釈民法(7)物権(2)』有斐閣p871
イ 資源エネルギー庁の申請関連 申請の説明の中で『地上権』が含まれている
外部サイト|資源エネルギー庁|新エネルギーについて

3 再生可能エネルギー事業用地については農地法や海岸法の譲渡規制が緩和された

通常は,農地海岸については,譲渡について大きな規制がなされています。
この点,太陽光,風力発電などの再生可能エネルギーの売電事業用地としての譲渡については特例が設けられました。
平成26年5月1日に,農山漁村再生可能エネルギー法が施行されました。
売電事業に関して,農地法や海岸法等の土地譲渡規制が緩和されています。

4 動産担保債権担保などにより発電事業への担保設定ができる

太陽光発電事業の資金を借入金でまかなう方法は多く実行されています。
『事業』を構成する要素のうち,法制度に適応する『担保対象』をまとめます。

<太陽光発電事業における融資の担保設定バリエーション>

あ 動産譲渡担保→動産譲渡登記

発電設備一式↓=集合動産に対して譲渡担保権を設定する方法
・太陽光パネル
・パワーコンディショナー(パワコン)
・架台

い 工場抵当→工場抵当登記

工場抵当法による制度の利用も可能です。

う 債権譲渡担保→債権譲渡登記

『電力会社に対する売電債権』に担保を設定する方法

太陽光パネル・設備を担保とした融資,ということが実際に普及しつつあります。

5 太陽光発電×ビジネスモデル・バリエーション|パラメータ整理

太陽光発電事業は,パラメータの設定で多くの組み合わせが作れます。
ここではパラメータと選択肢をまとめておきます。

<太陽光発電×ビジネスモデル・バリエーション>

パラメータ 設定するバリエーション
場所の提供 利用権の設定にはバリエーションがある(前記)
設置資金の負担 建物・土地所有者・別の出資者
パネルの所有権 建物・土地所有者・別の出資者
売電収入の帰属 パネルの所有者・他の者が担保設定を受ける

組み合わせによって,適用される法規制が違ってきます。
この点,米国ではシェアリング・エコノミーの方式を導入したモデルがローンチしています。
外部サイト|TECHABLE|ソーラーエネルギーをシェア!Airbnb型プラットフォーム『Yeloha』が誕生

6 再エネプロジェクトには法的サポートが必要;みずほ中央の実績

プロジェクトにおける用地確保の段階では権利者との交渉だけではなく,公的規制をクリアすることが必須です。
一般的な土地の利用権に関するノウハウは当然として,特別法など再エネに関する公的規制をしっかりと把握している必要があります。
みずほ中央法律事務所では,以上のような,太陽光パネル,風力発電の事業遂行に関する法的問題を扱っております。
将来のさらなる発展が期待される事業について,法的な側面からの協力をさせていただくことを歓迎しています。

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