1 高架建設予定の不告知と売主・仲介の責任(総論)
2 業者売主と仲介の高架建設予定の説明義務違反(事案)
3 業者売主と仲介の高架建設予定の説明義務違反(判断)

1 高架建設予定の不告知と売主・仲介の責任(総論)

隣地に幹線道路の高架が建設されると,騒音や日照悪化など,大きな悪影響を受けます。
通常,そのような予定が分かっている土地を住宅の敷地として購入することは避けます。
隣地の高架建設予定の説明がないまま土地を購入してしまうと買主は大きな損失を受けます。
このようなケースについて,売主と仲介業者の連帯責任を認めた裁判例を紹介します。

2 業者売主と仲介の高架建設予定の説明義務違反(事案)

まずは,売買契約締結に至る経緯をまとめます。
売主と仲介業者は買主に高架建設予定を説明していなかったのです。
仲介業者は当然,宅建業者です。さらに売主も宅建業者であるという特殊事情がありました。

<業者売主と仲介の高架建設予定の説明義務違反(事案)>

あ 当事者

売主A=宅建業者
仲介業者B
買主C

い 売買契約

『あ』の当事者は土地の売買契約を締結した
Cは家屋を建築する目的で土地を入手した

う 高架建設予定

南側隣接地には県道バイパス敷設が予定されていた
高架道路が建設される予定であった

え 不告知

A・BはCに対して
『う』の高架建設予定を説明していなかった

お 実害発生

売買契約後,実際に高架道路が建設された
高さ約8メートルのコンクリート擁壁が造られた
Cは日照・通風などの被害を受けた
※松山地裁平成10年5月11日

3 業者売主と仲介の高架建設予定の説明義務違反(判断)

裁判所は,売主と仲介業者に損害賠償の連帯責任を認めました。
財産的な損害に加えて慰謝料も認めました。
このように,両方の損害賠償責任を認めるのは例外的なことです。
高架建設予定を隠していたことが悪質であると評価されたのでしょう。

<業者売主と仲介の高架建設予定の説明義務違反(判断)>

あ 責任の内容

裁判所は『ア・イ』の責任を認めた
ア 売主A
債務不履行責任による損害賠償
イ 仲介業者B
不法行為責任による損害賠償

い 損害賠償の内容

ア 土地の物的損害
日照・通風などによる減価損10%
イ 建物の物的損害
機能的・経済的減価損38.8%
ウ 精神的損害
慰謝料200万円
特別事情による慰謝料が認められた
詳しくはこちら|財産的損害による慰謝料の発生の基本(理論と特別事情の分類)

う 過失相殺

買主の過失(過失相殺)→なし

え 2つの損害賠償の関係

A・Bが負う損害賠償責任について
→連帯債務とした
※松山地裁平成10年5月11日