【交渉中の契約未満の合意による交渉破棄の責任】

1 契約未満の合意と破棄による責任(基本)
2 合意による破棄の責任を認めた裁判例(集約)

1 契約未満の合意と破棄による責任(基本)

契約締結に向けた交渉を破棄しても原則的に責任は発生しません。
しかし例外的に責任が発生することもあります。
詳しくはこちら|契約締結に向けた交渉を破棄した責任(全体)
契約破棄の責任の分類の中に,一定の合意が責任の根拠となるものもあります。
本記事では,契約未満の合意により認められる交渉破棄の責任について説明します。
まずは基本的な理論をまとめます。

<契約未満の合意と破棄による責任(基本)>

あ 基本的な理論構成

当事者が,後日契約を締結することを合意している
合意の具体例;仮契約・協定など
最終的な契約書の作成・調印だけが未了という状態である
当事者間の合意に基づいて『誠実交渉義務』を認める

い 特殊な義務の内容

『独占交渉義務』が認められることもある
※東京地裁平成18年2月13日

う 交渉破棄の責任

交渉破棄は合意に違反する
→法的責任が発生する

え 法的責任の種類

ア 債務不履行責任イ 信義則上の義務違反に基づく責任

2 合意による破棄の責任を認めた裁判例(集約)

契約未満の合意を根拠にして交渉破棄の責任を認めた裁判例は多くのものがあります。

<合意による破棄の責任を認めた裁判例(集約)>

裁判例 交渉していた契約 法的責任の種類
京都地裁昭和61年2月20日 不動産売買契約 債務不履行責任
東京地裁平成6年1月24日 不動産売買契約 信義則上の義務違反
東京地裁平成18年2月13日 業務提携契約 債務不履行責任

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