1 売買後の地下の空洞の発覚と法的責任(概要)
2 防空壕の存在と瑕疵担保責任(事案)
3 防空壕の存在と瑕疵担保責任(肯定裁判例)

1 売買後の地下の空洞の発覚と法的責任(概要)

売買した土地について,後から地下の空洞が発覚するケースがあります。
空洞の規模によっては,建物建築などの土地の利用に大きな支障が生じます。
これにより生じる可能性のある売買に関する責任を整理します。

<売買後の地下の空洞の発覚と法的責任(概要)>

あ 典型的トラブル

売買契約の後において
地下に空洞があることが発覚する

い 実害

空洞の規模によっては,建物建築に支障が生じる

う 法的責任(概要)

ア 基本的事項
『イ・ウ』の法的責任が発生することがある
イ 瑕疵担保責任
売買契約解除や売主の損害賠償責任
ウ 調査・説明義務違反
売主や仲介業者の調査・説明義務違反
→損害賠償責任
詳しくはこちら|不動産売買・建築の欠陥・不備の責任の種類

2 防空壕の存在と瑕疵担保責任(事案)

実際に,売買の後に地下に空洞が発覚したケースを紹介します。
過去の防空壕がそのまま残っていたのです。
まずは事案の内容をまとめます。

<防空壕の存在と瑕疵担保責任(事案)>

あ 防空壕の位置関係

防空壕は,土地の北西部分の急な傾斜地に存在する
この傾斜地に隣接する高台に建物が建っている
防空壕は『い』のような大きな規模のものであった

い 防空壕の規模

高さ約1メートル
幅約2メートル
奥行き約6メートル

う 行政指導

土地上の建物建築について,行政指導がなされた

え 当事者の認識

本件売買契約の締結時には当事者間で明らかになっていなかった
※東京地裁平成20年10月2日

3 防空壕の存在と瑕疵担保責任(肯定裁判例)

前記の事案について,裁判所は『瑕疵』と認めました。
防空壕の存在は『建物を建築する』という目的に大きな影響を及ぼすと判断したのです。
『地下の埋め戻しコストがかかることはない』という買主の期待・発想が保護されました。

<防空壕の存在と瑕疵担保責任(肯定裁判例)>

あ 瑕疵の判断

防空壕の存在は土地についての『隠れた瑕疵』と認める
損害賠償請求を認める

い 損害額
埋め戻し工事費用 約130万円
設計変更に要した費用 約70万円

受水槽やプロパンガスの設置位置の変更など
※東京地裁平成20年10月2日