1 瑕疵担保責任に関する権利の期間制限(総論)
2 解除権・損害賠償請求権の消滅時効
3 解除権・損害賠償請求権の消滅時効の起算点
4 解除後の既払代金返還請求の消滅時効

1 瑕疵担保責任に関する権利の期間制限(総論)

瑕疵担保責任には期間制限があります。
詳しくはこちら|瑕疵担保責任の期間制限の規定と特約の制限(まとめ)
これとは別に,瑕疵担保責任の内容についての期間制限もあります。
具体的には解除権や損害賠償請求権と,解除後の代金返還請求権の消滅時効です。
本記事では,これらの瑕疵担保責任に関連する期間制限について説明します。

2 解除権・損害賠償請求権の消滅時効

解除権や損害賠償請求そのものの消滅時効があります。

<解除権・損害賠償請求権の消滅時効>

あ 前提事情

売買契約の後に買主が『隠れた瑕疵』を発見した
買主は除斥期間経過前に瑕疵担保責任を主張した
=瑕疵担保責任の期間制限には該当しない

い 解除権・損害賠償請求権の消滅時効(基本;※1)

解除権・損害賠償請求権としての消滅時効がある
時効期間=10年or5年
※最高裁昭和62年10月8日
詳しくはこちら|解除権の消滅時効と解除により生じる債権の消滅時効
消滅時効の起算点は2つの見解がある(後記※2)

う 瑕疵担保責任との関係

解除権・損害賠償請求権の消滅時効(い)について
→『瑕疵担保責任の除斥期間』とは別に適用される
『一方は制限期間内だが他方は制限期間外』ということもあり得る

3 解除権・損害賠償請求権の消滅時効の起算点

解除権・損害賠償請求権の消滅時効は,その起算点について2つの見解があります。

<解除権・損害賠償請求権の消滅時効の起算点(※2)>

あ 基本的事項

解除権・損害賠償請求権の消滅時効(前記※1)の起算点について
→『い・う』の2つの見解がある

い 瑕疵を知った時

解除・損害賠償請求の権利行使が可能な時
→『瑕疵を知った時』を起算点とする
※大阪高裁昭和55年11月11日

う 瑕疵担保責任の主張時

瑕疵担保責任の主張をした時を起算点とする
例;通知書送付の時点
瑕疵担保責任の除斥期間内である必要がある
※東京地裁平成9年8月26日;趣旨

4 解除後の既払代金返還請求の消滅時効

解除そのものとは別に,解除後に具体化する代金返還請求権の消滅時効があります。
解除の期間制限はクリアしても,代金返還請求権が期限を過ぎているということもあるのです。

<解除後の既払代金返還請求の消滅時効>

あ 前提事情

売買契約を締結し,買主が売主に代金を支払った
その後,買主が売買契約を解除した
例;瑕疵担保責任としての解除

い 代金返還請求権の発生

売主は代金返還請求権を取得する
→返還請求権には消滅時効が適用される
時効期間=10年
※民法703条,167条1項

う 返還請求権の消滅時効の起算点

『い』の消滅時効の起算点について
→解除時である
※大判大正7年4月13日
※最高裁昭和35年11月1日
詳しくはこちら|解除権の消滅時効と解除により生じる債権の消滅時効