1 瑕疵担保責任免除特約の効力(条文規定)
2 特殊事情による担保責任免除特約の無効化
3 『知っていた』推認による無効化事例
4 重過失への類推適用による無効化事例

1 瑕疵担保責任免除特約の効力(条文規定)

売買や請負などの有償契約では瑕疵担保責任が発生することがあります。
詳しくはこちら|売買・請負の瑕疵担保責任の基本
実際の契約では瑕疵担保責任を免除する特約が用いられることが多いです。
本記事では,瑕疵担保責任を免除する特約の有効性について説明します。
まずは,条文において,特約が無効となる事情が規定されています。

<瑕疵担保責任免除特約の効力(条文規定)>

あ 前提事情

瑕疵担保責任を免除する特約が合意されていた

い 原則

買主は瑕疵担保責任の追及はできない

う 例外(※1)

『ア〜ウ』のいずれかに該当する場合
→瑕疵担保責任免除特約は無効である
ア 知りながら告げなかった事実
イ 売主が第三者のために権利を設定した
ウ 売主が第三者に権利を譲り渡した
※民法572条

2 特殊事情による担保責任免除特約の無効化

瑕疵担保責任免除特約は,条文の規定以外の事情によって無効となることがあります。
裁判例で無効と判断された事情がいくつかあります。これをまとめます。

<特殊事情による担保責任免除特約の無効化>

あ 基本的事項

条文規定上の例外(前記※1)以外にも
特殊事情により免除特約が無効となることがある
無効となる理論には『い・う』がある

い 事実認定上の特別処理

『売主が瑕疵を知っていた』と推認する
→『知りながら告げなかった事実』として
民法572条を『適用』する(後記※2)

う 法解釈上の特殊処理

売主が瑕疵を知らなかったことに『重過失』を認める
→『瑕疵を知らない』ので,民法572条には該当しない
→民法572条を『類推適用』する(後記※3)

3 『知っていた』推認による無効化事例

売主が瑕疵を『知っていた』と推認することにより,特約を無効化した裁判例を紹介します。

<『知っていた』推認による無効化事例(※2)>

あ 事案

土地の売買が行われた
瑕疵担保責任を負う場合を一定事由に限定する特約があった
地中に埋設物が存在した
埋設物=隣地使用者と共用共有の浄化槽・生活排水管など

い 裁判所の判断

『隠れた瑕疵』に該当する
『売主が浄化槽が隣地所有者との共有共用であった事実を知っていた』ものと推認できる
売主はそれを売買契約締結時に買主に告げなかった
売主は責任を免れることができない
※民法572条
※東京地裁平成16年10月28日

4 重過失への類推適用による無効化事例

売主に重過失があったという認定を前提にして,民法572条を類推適用した裁判例を紹介します。

<重過失への類推適用による無効化事例(※3)>

あ 事案

住宅建設用の土地の売買が行われた
担保責任免除特約があった
地中にコンクリートなどが埋設されていた
売主はこのことを知らなかった

い 裁判所の判断

『隠れた瑕疵』に該当する
売主には悪意と同視すべき重大な過失がある
民法572条を類推適用する
→売主は担保責任免除特約の効力を主張できない
※東京地裁平成15年5月16日