1 形状と所有権の未確定の土地売買における責任(総論)
2 事案(売買契約と問題点)
3 裁判所の判断(瑕疵)
4 裁判所の判断(調査・説明義務)
5 裁判所の判断(損害の算定)

1 形状と所有権の未確定の土地売買における責任(総論)

土地の売買では,境界が不明確であったことによる問題がよくあります。
詳しくはこちら|土地売買における境界未確定と売主・仲介業者の調査・説明義務違反
本記事では,売買された土地の形状や所有権は不明確であったケースの1つを紹介します。
売主や仲介業者の責任が判断されています。
法律的な扱いとしては,瑕疵と調査・説明義務違反の両方が認められています。
ただし,瑕疵担保責任は期間制限を理由として否定されています。
以下,順にまとめます。

2 事案(売買契約と問題点)

<事案(売買契約と問題点)>

あ 売買契約と当事者

土地甲の売買契約が締結された
代金=2200万円
売主=A
買主=B
買主の依頼した仲介業者=C

い 契約当時の問題点

土地の現況と公図上の形状が大きく異なっていた

う 契約後のトラブル発生

Dが土地甲は自己の所有土地であると主張してきた
DはBに土地の明渡を請求している
※東京地裁平成22年3月9日

3 裁判所の判断(瑕疵)

<裁判所の判断(瑕疵)>

あ 瑕疵の認定

売買当時において
所有権をめぐる紛争が将来生じる可能性があった
→売買取引をするについて通常有すべき性能を備えていない
→土地には瑕疵があった

い 瑕疵担保責任

しかし瑕疵担保責任は除斥期間が経過していた
→瑕疵担保責任は認めない
※東京地裁平成22年3月9日

4 裁判所の判断(調査・説明義務)

<裁判所の判断(調査・説明義務)>

あ 仲介業者の調査・説明義務

Cは『ア・イ』の義務を負っていた
ア 調査義務
土地の権利関係を調査する
イ 説明義務
土地の権利関係に疑義が生じるおそれのあることを認識した場合
→依頼者にこれを説明する
=依頼者が土地に関する正確かつ適切な情報に基づいて取引することができる環境を整える

い 義務違反の責任

Cは調査・説明義務に違反している
→損害賠償責任を負う
※東京地裁平成22年3月9日

5 裁判所の判断(損害の算定)

<裁判所の判断(損害の算定)>

あ 土地所有権の制限

Cは事実上,土地所有権の行使の制限(ア・イ)を受けている
ア 土地上に建物を建築できない
イ 土地を転売できない

い 収益

Cは土地を駐車場として利用することで収益を得ている

う 損害額の算定

損害額は売買代金の3割相当とする
=660万円
※東京地裁平成22年3月9日