【借地の更新料の金額の相場】

1 借地の更新料の金額の相場

借地の更新料は特約がなければ支払義務がありません。
詳しくはこちら|借地の更新料の支払義務(全体・更新料特約なし)
しかし実際には更新料の特約があり、借地の更新の際に更新料の支払いが行われることがよくあります。
更新料の特約がないのに支払われることもあります。
詳しくはこちら|借地の更新料の基本(更新料の意味と支払の実情)
本記事では、更新料が支払われたケースについて、金額の相場を説明します。

2 借地の更新料の相場(まとめ)

借地において、更新料の支払が行われる場合の金額として、どのような金額(計算方法)が正しいか、ということとは別に、実際に支払が行われたケースではどのような金額が決められているか、という相場があります。
借地権価格の5%という計算方法や、更地価格の2〜5%という計算方法があります。また、地代の5〜8年分、という統計上のデータもあります。

借地の更新料の相場(まとめ)

あ 借地権基準

借地権価格の5%程度(後記※1

い 更地価格基準

更地価格の2~5%程度(後記※1)(後記※3

う 地代基準

地代の5〜8年分程度(後記※2

このまとめは、いろいろな情報が元になっています。
元となった情報については、以下順に説明します。

3 昭和60年の更新料の調査結果

昭和60年の更新料の調査があります。この情報が実務で広く普及しています。

昭和60年の更新料の調査結果(※1)

あ 調査結果

更新料の金額について
公示価格の約5%であった
実勢価格を基準にすると約3.5%であった
※日税不動産鑑定士会『更新料の実態調べ』(昭和60年)

い 安直な情報の拡がり

『地価の3%』という相場が拡がった
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務 第38版』清文社2016年p609、610

う 相場としての不合理性

ア 理論面の不合理性 地価の一定割合が更新料の金額になることについて
理論的な関係があるわけではない
イ 実態としての不合理性 東京における更新料の実態調査について
地価の割合では把握できなかった
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務 第38版』清文社2016年p610

4 平成9〜11年の更新料の調査結果

平成9年から11年の更新料の調査も非常に参考となるものです。

平成9〜11年の更新料の調査結果(※2)

あ 更新直前の地代との比率

『更新直前の地代』と『更新料の金額』について
→相関関係があった

い 更新料の相場
エリア 地代倍率のボリュームゾーン
商業地 58〜100か月
住宅地 50〜95か月
併用地 60〜84か月

※平成9年〜平成11年の東京都23区の更新料事例
※日税不動産鑑定士会『継続地代の実態調べ(平成12年版)』
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務 第38版』清文社2016年p610

5 平成28年現在の更新料の相場

現在(平成28年)の更新料の相場の目安を地価ベースで指摘したものがあります。

平成28年現在の更新料の相場(※3)

平成28年において
地価水準がバブルの急騰前の水準に戻っている
→地価の2%程度が妥当な水準といえる
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務 第38版』清文社2016年p611

6 地価の3〜5%という相場を指摘した裁判例

参考として、訴訟の中で、借地の更新料の相場が問題となり、判決の中に、相場が登場したものがあります。
平成20年の時点で、東京都内では地価の3〜5%の更新料の支払がなされる事例が多い、という指摘です。以上で説明した相場と整合しています。

地価の3〜5%という相場を指摘した裁判例

・・・東京都内において、借地契約の期間満了に当たり、当事者双方の合意に基づき借地人から地主に地価の3~5パーセントの更新料を支払う事例が多いことは当裁判所に顕著なところであるが、・・・
※東京地判平成20年12月25日

7 更新料と増改築承諾料の加算

実際に更新料の支払いが行われるケースで、純粋な更新料とは違う趣旨が含まれることもあります。増改築の承諾料です。
この場合は以上の説明の相場がストレートにあてはまるわけではありません。

更新料と増改築承諾料の加算

あ 典型的な実例

契約更新時に増改築を承諾するケースも多い
承諾料を含めて『更新料』と称することがある

い 更新料と承諾料

『あ』のケースにおける『更新料』について
→純粋な『更新料』に承諾料を加算したものである
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務 第38版』清文社2016年p611

本記事では、借地の更新料の金額の相場について説明しました。
実際には、個別的な事情によって、法的判断や最適な対応方法は違ってきます。
実際に借地の更新料(その他の契約満了・明渡請求や更新)に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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