1 借地の更新料の趣旨や目的(全体)
2 更新料を受け取った地主側の理由
3 更新料を支払った借地人側の理由

1 借地の更新料の趣旨や目的(全体)

借地の更新料は,法的な義務ではありませんが,実際に支払われるケースも多いです。
詳しくはこちら|借地の更新料の基本(実情と支払義務)
本記事では,借地の更新料の趣旨や目的について説明します。
まずはいろいろな更新料の趣旨をまとめたものを示します。

<借地の更新料の趣旨や目的(全体)>

あ 不足地代の後払い

過去の地代が安すぎた
→その不足分を補うためのものである

い 地代の前払い

将来の地代の増額が難しい
→賃借人が前払いする

う 借地権消滅リスクに対する安心料

地主が更新拒絶をした場合
→裁判所が更新を認めない可能性が僅かに存在する
解決のために時間・費用・精神的コストを要する
このコスト負担を回避する

え 将来の地主の承諾獲得

地主との関係を円満にしておく
→将来,地主の増改築や条件変更の承諾を得ることにつながる

お 朽廃規定の適用回避(旧借地法)

当初契約・法定更新の場合
→建物の朽廃により借地権は消滅する
※借地法2条1項
合意更新の場合
→期間内に建物が朽廃しても借地権は消滅しない
詳しくはこちら|建物の朽廃や滅失で借地が終了する,旧借地法or借地借家法で違う,土地の滅失
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務 第38版』清文社2016年p608

2 更新料を受け取った地主側の理由

実際に更新料が支払われたケースのアンケート調査があります。
まずは地主が更新料を受け取った理由について紹介します。

<更新料を受け取った地主側の理由>

受け取った理由 回答数 割合
地代が安いことの対価 29 27.4
もらえるならもらったほうがよい 4.7
借地契約存続の異議を行使しない対価 1.9
もらうことが当然だと認識していた 67 63.2
その他 2.8

※昭和48〜52年の都内の借地更新事例
※日税不動産鑑定士会『更新料の実態調べ』
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務 第38版』清文社2016年p609

3 更新料を支払った借地人側の理由

前記と同じ調査において,借地人が更新料を支払った理由を紹介します。

<更新料を支払った借地人側の理由>

支払った理由 回答数 割合
地代が安いことの対価 0.9
再三再四請求されたため 8.2
借地権を確実にしておくため 10 9.1
借地権の消滅をおそれたため 7.3
訴訟のために要する費用程度であったため 4.5
近所の人が払っている,近所付合いとして 15 13.6
支払うことが慣行だと思っていた 35 31.8
支払い得る額だったので抵抗はなかった 1.8
地主と争うのはいやだから 22 20.0
その他 2.7

※昭和48〜52年の都内の借地更新事例
※日税不動産鑑定士会『更新料の実態調べ』
※鵜野和夫『不動産の評価・権利調整と税務 第38版』清文社2016年p609

借地は期間がとても長いので,広い意味で信頼関係を維持することが重視されていることが分かります。