1 抵当権設定後の建物解体・再築と法定地上権
2 抵当権登記の流用と法的効力

1 抵当権設定後の建物解体・再築と法定地上権

不動産の競売の際,一定の状況があると法定地上権が成立します。
詳しくはこちら|法定地上権の基本的な成立要件
法定地上権の条文のとおりの状況とは多少異なる場合に解釈が問題となることがあります。その1つが抵当権設定後の建物の再築というケースです。法定地上権の成立について,見解が分かれています。

<抵当権設定後の建物解体・再築と法定地上権>

あ 前提事情

当初,土地・建物の両方に抵当権が設定された(共同抵当)
その後,その建物が取り壊された
→新たに建物が建築された

い 法定地上権の成否(※1)

ア 従前の見解
法定地上権が成立する
イ 現在の東京地裁の扱い
原則として法定地上権の成立を認めない
※内田貴『民法3 第3版』東京大学出版会p387
※『月報司法書士2012年2月』日本司法書士会連合会p45

原則どおりに考えると,建物解体によって,従前の担保権は消滅します。新たな建物は『同一』ではないので,抵当権が復活するということは生じません。東京地裁の運用はこの原則論に沿ったものが多いです。しかし,必ずこの見解を採用するというわけではありません。
この見解の前提となる理論について,次に説明します。

2 抵当権登記の流用と法的効力

抵当権登記を流用することについての法的な解釈論があります。2つの見解をまとめます。

<抵当権登記の流用と法的効力>

あ 登記の流用の例

弁済などによって抵当権が消滅した
抵当権の登記を新たに設定した登記として流用した
当事者は合意している

い 登記の効力(原則)

第三者との関係では原則的に無効である
※最高裁昭和40年5月4日

う 登記の効力(例外)

『流用登記が有効であることを前提として出現した第三者』との関係
→対抗力を認める=登記は有効である
例;抵当権の負担付として抵当不動産を譲り受けた者
※大判昭和11年1月14日

この解釈論が『法定地上権の成否』(前記※1)につながっているのです。