1 借地契約解除と建物買取請求権|概論
2 債務不履行解除と建物買取請求権
3 無断譲渡による解除と建物買取請求権

1 借地契約解除と建物買取請求権|概論

借地契約の終了時に建物買取請求権が行使できます。
しかし,一定の要件があります。
詳しくはこちら|建物買取請求権の基本・要件・趣旨
実務では『解除』との関係が問題となることが多いです。
本記事では解除と建物買取請求権との関係を説明します。

2 債務不履行解除と建物買取請求権

借地契約の『期間満了』は建物買取請求権の要件となっています。
しかし『債務不履行による解除』は要件に入っていません。
この点,借地契約が『終了』するという意味では同じです。
そこで,(類推)適用できるという発想があります。
しかし,判例でこれは否定されています。

<債務不履行解除と建物買取請求権>

あ 前提事情

借地人に債務不履行があった
→地主により借地契約が解除された

い 建物買取請求権の扱い

建物買取請求権は誠実な借地人を保護するものである
→債務不履行を行った借地人は『誠実な借地人』ではない
→(類推)適用されない
=建物買取請求は認められない
※最高裁昭和35年2月9日

3 無断譲渡による解除と建物買取請求権

借地権譲渡を地主が承諾しない場合に建物買取請求権が認められます。
ところで,無断譲渡により地主は契約を解除できます。
この2つの関係を整理します。

<無断譲渡による解除と建物買取請求権>

あ 前提事情

借地人が地主の承諾なく借地権を第三者に譲渡した
地主が無断譲渡による賃貸借契約解除の意思表示を行った

い 建物買取請求権の扱い

原則的に解除により借地契約が終了する
→借地借家法の適用がなくなる
→建物買取請求権の行使はできなくなる
ただし,借地人保護の方向の救済的解釈もあり得る

救済的な解釈によって,建物買取請求権が認められる可能性もあります。
いずれにしても,地主としては,解除の通知をしておいた方が有利です。
建物・借地権の無断譲渡が発覚したらすぐに解除通知を出すと良いでしょう。