1 一部弁済×原債権者と代位権者の優劣|基本
2 一部弁済×原債権者と代位権者の優劣|破産
3 一部の債権の全額弁済×原債権者と代位権者の優劣
4 根抵当権への代位×元本確定前/後
5 根抵当権への代位×原債権者との優劣

1 一部弁済×原債権者と代位権者の優劣|基本

債権の一部の弁済により『一部代位』が生じます。
この場合,原債権者と代位権者の優劣の問題が生じます。
まずは基本的事項を整理します。

<一部弁済×原債権者と代位権者の優劣|基本>

あ 代位・抵当権実行

債務者以外が債権額の一部を弁済した
→代位が生じた
詳しくはこちら|一部弁済による代位|基本
原債権を担保する抵当権が実行された

い 配当・優劣

配当について
→原債権者が優先される
優先範囲=債権の残額全部の満足を得るまで
※最高裁昭和60年5月23日
※最高裁昭和62年4月23日

2 一部弁済×原債権者と代位権者の優劣|破産

前記は抵当権実行における配当についての説明でした。
一方,破産手続での配当についても同様の解釈論があります。
実質的には同じ内容の解釈が取られています。

<一部弁済×原債権者と代位権者の優劣|破産>

あ 前提事情

債務者について破産手続開始決定がなされた
その後,債務者以外が一部弁済を行った
→代位が生じた

い 権利行使・優劣

届出債権の全額について
→破産債権者が権利行使をすることができる
※最高裁平成14年9月24日

う 法改正

『い』の判例後に破産法が改正された
判例内容が条文として明文化された
※破産法104条5項

3 一部の債権の全額弁済×原債権者と代位権者の優劣

前記と似ているけどちょっと異なるケースがあります。
解釈の結論が違います。
判例の理論を整理します。

<一部の債権の全額弁済×原債権者と代位権者の優劣>

あ 担保状況

1個の抵当権が数個の債権を担保していた
その中の1個の債権のみの保証人Aがいた

い 代位弁済

Aは保証対象の債権の全額を代位弁済した

う 担保権実行

原債権の担保権が実行された

え 裁判所の判断

代位権者と原債権者の配当について
→各債権額に応じて案分配当を受ける
※最高裁平成17年1月27日

4 根抵当権への代位×元本確定前/後

根抵当権の被担保債権の弁済についての代位を説明します。
まず元本確定の前か後かによって大きく違います。

<根抵当権への代位×元本確定前/後>

あ 元本確定前

根抵当権の元本確定前の弁済について
→代位できない
※福岡地裁平成15年3月18日

い 元本確定後

元本確定により根抵当権は抵当権と同様になる
債務者以外の弁済について
→代位できる
原債権者との優劣について判例がある(後記※1)

元本確定後だけ代位が認められます。
代位の内容についての解釈論は次に説明します。

5 根抵当権への代位×原債権者との優劣

根抵当権への代位について,原債権者との優劣が問題となります。
判例の解釈論をまとめます。

<根抵当権への代位×原債権者との優劣(※1)>

あ 前提事情

根抵当権の元本が確定した
複数の被担保債権がある
その中の1つの債権に保証人Aがいる
Aが保証対象の債権全額を代位弁済した

い 原債権の根抵当権実行

原債権の根抵当権が実行された

う 配当

もともと根抵当権は複数の債権を担保するものである
その中の1つの債権の全額の代位弁済について
→一部弁済と同じである
→代位権者よりも原債権者が優先される
※福岡高裁平成19年3月15日
※最高裁昭和62年4月23日