1 売買の一方当事者が複数×法律問題|総論
2 買主が複数|基本|代金債務の可分性
3 買主が複数|共同出資者による落札→共有
4 売主が複数|基本|代金債権の可分性
5 売主が複数|共有者間の代金分配義務
6 売主が複数|共有地の買収×代金の帰属
7 入会団体の財産の売却×代金の帰属|概要

1 売買の一方当事者が複数×法律問題|総論

売買の一方当事者が複数存在するケースがあります。
買主が複数人であれば所有形態が共有となる傾向があります。
売主が複数人の場合は売却代金の帰属が問題となります。
つまり共有不動産の売却というケースです。
本記事ではこのような問題について説明します。
なお,賃貸借に関する債権の扱いは別に説明しています。
詳しくはこちら|賃貸借|貸主or借主が複数|賃料・損害金・敷金返還×可分/不可分

2 買主が複数|基本|代金債務の可分性

買主が複数人いるというタイプの説明をします。
代金を支払う人が複数存在するということです。
代金債務の法的扱いをまとめます。

<買主が複数|基本|代金債務の可分性>

あ 前提事情

売買契約が締結された
買主が複数人である

い 代金債務×可分性

一般的に金銭債務は可分給付である
→代金債務は可分となる
※最高裁昭和45年10月13日

3 買主が複数|共同出資者による落札→共有

複数人で出資して不動産を購入したケースを紹介します。
タイプとしては『買主が複数』に分類できます。
このケースは競売による落札というものです。
実質と異なる形式で入札がなされたと思われます。

<買主が複数|共同出資者による落札→共有>

あ 共同出資者による落札

競売不動産に複数の出資者が共同して入札した
共同出資者のうち1名Aが代表として入札した
この入札が最高価買受人となり落札した

い 所有権の帰属

不動産は共同出資者の共有となる
各自の出資額の割合に応じた共有持分を取得する
※最高裁昭和51年10月26日

4 売主が複数|基本|代金債権の可分性

売主が複数いるというタイプの説明をします。
代金を請求する人が複数存在するということです。
代金請求権の法的扱いをまとめます。

<売主が複数|基本|代金債権の可分性>

あ 前提事情

売買契約が締結された
売主が複数人である

い 代金債権×可分性

一般的に金銭債権は可分給付である
→代金債権は可分となる
※最高裁昭和52年9月19日
※我妻榮ほか『我妻・有泉コンメンタール民法 第3版 総則・物権・債権』日本評論社p764

5 売主が複数|共有者間の代金分配義務

売主が複数というケースの判例を紹介します。
代金請求権の分割が前提となっています。
その上で代表として1名が受領するのが一般的です。
その後の分配についての判断がなされました。

<売主が複数|共有者間の代金分配義務>

あ 共有不動産の売却

不動産をA・Bが共有していた
遺産共有であった
A・Bの合意により第三者に売却した
Aが代金を受領した

い 代金債権の帰属

A・Bは分割された代金債権を取得する
Aは受領権限を委任されている

う 金銭交付義務

AはBに対してB持分相当の金額を交付する義務がある
※民法646条1項前段
※最高裁昭和52年9月19日

6 売主が複数|共有地の買収×代金の帰属

共有不動産の売却における代金の帰属が問題となったケースです。
単純な売却ではありません。
『買収』という特殊なものでした。
そのため,見解の対立が生じたと思われます。
『売主が複数』のタイプの中の変わったケースと言えます。

<売主が複数|共有地の買収×代金の帰属>

あ 共有の土地

農地or牧野である土地甲が共有となっていた

い 裁判所の判断|買収の可否

土地甲は買収の対象となる
根拠=自作農創設特別措置法

う 裁判所の判断|買収金額算定

ア 原則論
買収金額は保有面積を用いる
イ 共有地への適用
『面積』の算定方法について
→共有持分に応じ共有地の面積を按分する
※最高裁昭和30年3月8日

7 入会団体の財産の売却×代金の帰属|概要

共有不動産の売却代金の帰属に関する別の判例もあります。
単なる共有ではなく入会権という性質があったケースです。
このケースでは,代金の帰属にも特殊性が反映されています。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|入会権・入会団体|全体・基本|所有形態