1 抵当権消滅請求|対象者・評価額の主張
2 抵当権消滅請求|抵当権者の選択
3 抵当権消滅請求|みなし承諾
4 抵当権者の選択|考慮内容
5 共有持分の第三取得者×消滅請求|概要

1 抵当権消滅請求|対象者・評価額の主張

抵当権が付いたままで不動産が売買されることもあります。
この場合,買主は抵当権への対応をすることになります。
詳しくはこちら|抵当権付のままでの売買|基本|買主の対応|代価弁済・第三者弁済
その1つが『抵当権消滅請求』です。
本記事では抵当権消滅請求について説明します。
最初にこの手続の基本と最初のアクションをまとめます。

<抵当権消滅請求|対象者・評価額の主張>

あ 適用対象者

抵当不動産の第三取得者
例;抵当権が付いたままで不動産を購入した者
本記事では『買主』と呼ぶ
※民法379条

い 評価額の主張(※1)

買主が『評価額』を抵当権者に提示する
買主による代価弁済の金額の提案という趣旨になる
抵当権消滅請求の準備段階と言える
※民法379条,383条

2 抵当権消滅請求|抵当権者の選択

抵当権消滅請求は買主の評価額の主張から始まります(前記)。
これに対する抵当権者の対応をまとめます。

<抵当権消滅請求|抵当権者の選択>

あ 抵当権者の選択

抵当権者は次の『い・う』のいずれかを選択する

い 承諾

抵当権者が上記※1の評価額を承諾する
→買主が代価弁済を行う
→抵当権は消滅する
※民法386条

う 競売申立

抵当権者が抵当権を実行する
=競売の申立を行う
※民法379条

3 抵当権消滅請求|みなし承諾

抵当権者の対応については『締め切り』があります。

<抵当権消滅請求|みなし承諾>

消滅請求の通知を受けた後2か月以内において
抵当権者が競売の申立をしない場合
→『承諾』したものとみなす
※民法384条1号

抵当権者の考慮期間は2か月だけしか与えられていないのです。
2か月以内に承諾か競売のどちらかに決めることが強要されます。

4 抵当権者の選択|考慮内容

買主からの評価額の主張がなされると抵当権者の手番です。
抵当権者は承諾と競売の選択を迫られます。
この判断における一般的な考慮内容をまとめます。

<抵当権者の選択|考慮内容>

抵当権者の予測 消滅請求への対応
競売による売却金額>消滅請求の評価額 拒否
競売による売却金額<消滅金額の評価額 承諾

このように競売の予測が重要な判断基準になります。
正確には売却金額と言うよりも『配当額』です。
売却金額から手続費用が差し引かれます。
とにかく,どちらが有利かを判断しなくてはならないのです。

5 共有持分の第三取得者×消滅請求|概要

以上の説明は不動産全体が売却されたことが前提です。
この点,不動産の『共有持分』が売却されるケースもあります。
買主は,新たな『共有持分権者』となります。
この場合の抵当権消滅請求は否定されています。

<共有持分の第三取得者×消滅請求|概要>

不動産全体に抵当権が設定されていた
Aが不動産の共有持分を取得した
→Aは抵当権消滅請求をできないと思われる
詳しくはこちら|滌除|改正前の制度|買主の主張・抵当権者の選択|共有持分取得者