1 入会権確認訴訟×訴訟形態
2 入会権確認訴訟×訴訟形態|具体例
3 入会権確認訴訟|死亡→手続承継
4 総有権確認訴訟×入会団体の原告適格
5 登記請求訴訟×原告適格
6 構成員の使用収益権の確認・妨害排除請求×訴訟形態
7 用益物権登記抹消請求×訴訟形態

1 入会権確認訴訟×訴訟形態

入会権についてはいくつかの法的問題があります。
詳しくはこちら|入会権・入会団体|全体・基本|所有形態
本記事では入会権・入会団体に関する訴訟について説明します。
原告適格や訴訟形態についての判例の解釈を紹介します。
まずは『入会権』を確認する訴訟の共同訴訟形態をまとめます。

<入会権確認訴訟×訴訟形態>

あ 入会権確認訴訟|当事者

入会権確認訴訟について
→固有必要的共同訴訟である
→構成員全員が共同してのみ提起可能である

い 入会権の性質の影響

入会権の性質によって結論は変わらない
例;『共有』の性質の有無
※最高裁平成20年7月17日
※最高裁昭和41年11月25日
※大判明治39年2月5日

構成員全員が当事者となる必要があるのです。
構成員が多いとか,関係が悪化している場合はハードルが高くなります。

2 入会権確認訴訟×訴訟形態|具体例

入会権確認訴訟の具体例を説明します。
構成員の中で意向が一致していない状況があったケースです。

<入会権確認訴訟×訴訟形態|具体例>

あ 事案|当事者

入会集団の構成員A・B
第三者C

い 事案|見解の対立

土地甲が次のいずれかについて争いがある
見解の対立=入会地or第三者Cの所有地

う 確認訴訟提起の経緯

AがCに対して『入会地であることの確認』を求める
Bは提訴に賛同しない

え 確認訴訟提起の方法

AはB・Cを被告として提訴することができる
※最高裁平成20年7月17日

3 入会権確認訴訟|死亡→手続承継

入会権確認訴訟は構成員全員が当事者になります(前記)。
多くの人数が当事者となる傾向があります。
構成員の1人が亡くなると訴訟手続上の対応が必要となります。

<入会権確認訴訟|死亡→手続承継>

あ 訴訟手続の承継

入会権確認訴訟が提起・係属している
入会権者が死亡した場合
→入会権を承継・取得した者が訴訟手続を承継する

い 入会権の承継者

入会慣行に従って定まる
詳しくはこちら|入会権・入会団体|慣習・会則・公序良俗違反
※最高裁昭和48年3月13日

4 総有権確認訴訟×入会団体の原告適格

入会権確認訴訟は構成員全員が当事者になります(前記)。
人数が多い傾向があり,実際の提訴では高いハードルとなりがちです。
この点『入会団体』自体を原告にするというアイデアがあります。
入会団体の原告適格が最高裁で認められました。

<総有権確認訴訟×入会団体の原告適格>

あ 入会団体の原告適格

『入会団体』の総有権確認請求訴訟について
入会団体が権利能力なき社団に該当する場合
→『入会団体』は原告適格を有する

い 構成員からの授権

『総有権』確認請求訴訟の追行について
代表者が構成員から授権を受けることが必要である

う 授権・内容

対象物の『処分』に必要な手続が必要である
例;規約による総会の議決
※最高裁平成6年5月31日

5 登記請求訴訟×原告適格

前記の判例では『登記請求』の訴訟についても判断が示されています。
入会団体の原告適格は判断されていません。
構成員の原告適格だけが判断されました。

<登記請求訴訟×原告適格>

あ 規約による手続

Aが不動産の登記名義人となると決められた
例;規約に定められた手続によって決められた
Aは入会団体の代表者ではない

い 原告適格

Aは『登記手続請求訴訟』の原告適格を有する
※最高裁平成6年5月31日

6 構成員の使用収益権の確認・妨害排除請求×訴訟形態

入会団体に関する訴訟はほかにもあります。
『使用収益権』が侵害されているケースがありました。
これは『構成員個人の権利が侵害されている』状況と言えます。
このような考え方を前提として原告適格が判断されました。

<構成員の使用収益権の確認・妨害排除請求×訴訟形態>

あ 事案|使用収益権の妨害

次のいずれかに該当する
ア 使用収益権についての見解の相違がある
構成員同士における見解の相違である
イ 使用収益権の行使を妨害されている
構成員同士or構成員と第三者のいずれか

い 構成員の法的手段

構成員は次の請求を行うことができる
ア 使用収益権の確認
イ 妨害排除請求

う 当事者適格

構成員各自に当事者適格がある
→単独で提訴できる
※最高裁昭和57年7月1日山中浅間神社土地訴訟

7 用益物権登記抹消請求×訴訟形態

前記判例では用益権登記を抹消する請求についても判断されています。
これについては『構成員個人の権利侵害』という扱いはされていません。
このような考え方を前提として原告適格が判断されました。

<用益物権登記抹消請求×訴訟形態>

あ 事案|用益物権の登記

入会地に地上権設定仮登記がなされている

い 抹消登記請求|分類

『抹消登記請求』の提訴について
→『管理処分』に該当する

う 抹消登記請求|当事者適格

『使用収益権』だけを有する構成員について
→入会団体の財産の管理処分権はない
→抹消登記請求訴訟の当事者適格はない
※最高裁昭和57年7月1日山中浅間神社土地訴訟