1 株式の準共有×権利行使の方法|基本
2 株式の準共有×権利行使者の指定|方法
3 準共有の株式|議決権行使→管理
4 株式準共有×会社からの権利行使の承認|法改正
5 株式の準共有×会社からの権利行使の承認|例外
6 権利行使者による議決権行使×内部拘束違反
7 株式の準共有|全体|概要

1 株式の準共有×権利行使の方法|基本

株式が『準共有』となるケースもよくあります。
詳しくはこちら|準共有|基本・全体|具体例|共有の規定vs特別法の規定
複数の株主がいるという状況です。
この場合,株主としての権利行使の方法が決まっています。

<株式の準共有×権利行使の方法|基本>

あ 準共有者の1人の権利行使

準共有の株式について
→準共有者単独での権利行使はできない

い 権利行使の方法

株式の準共有者において
→『権利行使者』を定めることができる
→決定した『権利行使者』を会社に通知する
※会社法106条

2 株式の準共有×権利行使者の指定|方法

『権利行使者』を指定する方法についてまとめます。

<株式の準共有×権利行使者の指定|方法>

あ 基本

準共有の株式の権利行使者の指定について
要件の解釈は『い・う』の2つがある

い 管理説|最高裁

『管理』行為に該当する
→持分の価格の過半数をもって決する
※最高裁平成9年1月28日;有限会社の事例
※最高裁平成11年12月14日

う 全員説|参考

『変更』行為に該当する
→全員の合意を要する
※徳島地裁昭和46年1月19日

え 実務=過半数説

ア 全員説への批判
誰も(どのグループも)過半数に達しない
→権利行使ができない状態になる
このようなデッドロックがより生じやすいことにつながる
イ 実務の扱い
『い』の最高裁判例後について
→実務では一般的に過半数説が取られている

実務では過半数の持分割合が必要となります。
準共有者の意向次第で『過半数に達しない』ことも生じます。

3 準共有の株式|議決権行使→管理

前記は『権利行使者の指定』でした。
権利行使者が決められても,また別の問題があります。
権利行使者は,自由に議決権を行使できるわけではないのです。
議決権行使についても準共有者の間で決める必要があります。
決める方法,つまり必要な要件について整理します。

<準共有の株式|議決権行使→管理(※1)>

あ 前提事情

準共有の株式についての議決権の行使

い 原則

『管理』に該当する
→持分の価格の過半数で決する

う 例外

特段の事情がある場合
例;株式の処分・内容の変更など
→『変更』に該当する
→共有者全員の同意が必要である
※最高裁平成27年2月19日

4 株式準共有×会社からの権利行使の承認|法改正

準共有の株式を『会社側がどう扱うか』は別の問題です。
これに関して法改正がありました。
間違えやすいところです。
改正の前後の違いを含めて整理します。

<株式の準共有×会社からの権利行使の承認|法改正>

あ 会社からの承認|基本

権利行使者の指定・通知がない場合
→会社が『一部の共有者による権利行使』を認めることは可能である
※会社法106条ただし書

い 参考|法改正前

会社が『一部の共有者による権利行使』を認めることについて
→以前は判例で否定されていた
※最高裁平成11年12月14日

う 会社からの承認|範囲

議決権行使が民法の共有の規定(前記※1)に従っていない場合
→会社は議決権行使を承認できない
=承認したとしても議決権行使は適法にならない
※最高裁平成27年2月19日

平成11年の最高裁判例は現在では『生きていない』です。
誤解が生じやすいので注意が必要です。
さらに,現在の解釈論の中にも例外的扱いがあります。
次に説明します。

5 株式の準共有×会社からの権利行使の承認|例外

会社側の準共有株式の扱いの例外があります。
これについてまとめます。

<株式の準共有×会社からの権利行使の承認|例外>

会社の支配関係に不当な影響を及ぼすおそれがある場合
例;遺産分割協議中
→会社側からの『権利行使の承認』はできない
※上村達男『逐条解説会社法 第2巻』中央経済社p42

6 権利行使者による議決権行使×内部拘束違反

株式の準共有者で,通常は『権利行使者』を決めます(前述)。
この時に『議決権の行使内容』などを約束することも多いです。
この場合の『合意内容の拘束力』について整理します。

<権利行使者による議決権行使×内部拘束違反>

あ 権利行使者の指定

株式準共有者で『株主権行使者の指定+会社への通知』を行った

い 議決権行使内容・合意×違反

株式準共有者間で権利行使内容について合意をした
権利行使者が,内部的合意に反して権利行使を行った

う 権利行使の効力

対会社では議決権行使は有効である
※最高裁昭和53年4月14日

7 株式の準共有|全体|概要

以上の説明は権利行使者の指定や議決権行使に関する問題でした。
株式の準共有については,これ以外の法的解釈論もあります。
議決権・権利行使者以外の問題については別に説明しています。
詳しくはこちら|株式の準共有|全体|訴訟・原告適格|分割請求×単位未満株式